SBI証券とSMBC日興証券を5つの項目で比較 使い分け方のポイントも紹介
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

投資を始めるにあたって、どこの証券会社で口座を開設するのかを悩む人は少なくありません。特に大手ネット証券はサービスが充実しているため、違いが分からない人も多いでしょう。

そこで本記事では、業界大手のSBI証券とSMBC日興証券を徹底比較しました。目的やトレードスタイルを意識しながら、自分に合う証券会社を見極めてください。

目次

  1. SBI証券とは
  2. SMBC日興証券とは
  3. SBI証券とSMBC日興証券の比較表
  4. SBI証券の魅力
  5. SMBC日興証券の魅力
  6. SBI証券とSMBC日興証券の使い分け方
  7. まずはトレードスタイルや目的を整理しよう


SBI証券とは

SBI証券のサービス概要
国内株手数料(現物)【スタンダードプラン(従量制)】
10万円:99円
50万円:275円
100万円:535円
【アクティブプラン(定額制)】
100万円:0円
200万円:1,238円
300万円:1,691円
米国株銘柄数5,220銘柄
投資信託本数2,657本
クレカ積立・三井住友カード
・東急カード
・タカシマヤカード
NISA
つみたてNISA商品数184本
iDeCo投資信託:84本
元本確保型:4本
その他のサービス・海外ETF
・債券
・FX
・先物オプション
・CFD
・eワラント
・金銀プラチナ
・銀行
・保険
ポイント・Pontaポイント
・Tポイント
・dポイント
・Vポイント
・東急ポイント
・タカシマヤポイント
ポイント投資
(※2022年8月時点)

SBI証券は、2021年6月時点で700万口座を突破している国内最大手のネット証券です。豊富な商品ラインナップや業界最安水準の手数料が特徴で、初心者から上級者まで幅広いユーザーが利用しています。

近年はIPO(※)にも力を入れており、2020年には85社、2021年には122社の案件を取り扱いました。ポイントプログラムも充実しているので、ポイ活をしながら投資したい人にも最適なネット証券といえます。

(※)証券取引所に新しく上場される株式のこと。

SMBC日興証券とは

SMBC日興証券のサービス概要
国内株手数料(現物)【ダイレクトコース(ネット取引)】
10万円:137円
50万円:440円
100万円:880円
【総合コース(担当者付きの取引)】
100万円:8,855円
200万円:15,785円
300万円:2万1,945円
米国株銘柄数107銘柄
投資信託本数1,092本
クレカ積立なし(※口座振替や引落による投信積立のみ)
NISA
つみたてNISA商品数158本
iDeCo投資信託:29本
元本確保型:1本
その他のサービス・債券
・FX
・日興ファンドラップ
・年金
・保険
・証券担保ローン
・持株会
ポイントdポイント
ポイント投資

SMBC日興証券は、国内屈指のIPO実績や手厚いサポートが魅力のネット証券です。ネット取引中心の「ダイレクトコース」の他にも、支店担当者からアドバイスをもらえる「総合コース」が用意されています。

記事から株式を買えるサービス「日興フロッギー」を運営している点も、SMBC日興証券ならではの特徴です。日興フロッギーでは1,400本以上のオリジナル記事が公開されており、記事で紹介されている株式を購入できます。

SBI証券とSMBC日興証券の比較表

以下の表は、SBI証券とSMBC日興証券のサービスを比較したものです。

比較項目SBI証券SMBC日興証券
国内株手数料(現物)10万円:0円
30万円:0円
50万円:0円
10万円:137円
30万円:275円
50万円:440円
米国株手数料約定代金×0.495%約定代金×(0.20%+1.265%程度)
外国株9ヵ国4ヵ国以上
投資信託本数2,657本1,092本
投資信託内訳国内株式型:421本
国際株式型:765本
国内債券型:48本
国際債券型:627本
バランス型:471本
iDeCo対象商品:84本
国内株式型:183本
国際株式型:363本
国内債券型:34本
国際債券型:239本
バランス型:188本
iDeCo対象商品:29本
クレカ積立×
IPO実績2019年:82社
2020年:85社
2021年:122社
2019年:61社
2020年:52社
2021年:80社
NISA一般:○
つみたて:○
ジュニア:○
一般:○
つみたて:○
ジュニア:○
NISA対象商品一般(投資信託):2,591本
つみたて:184本
一般(投資信託):1,057本
つみたて:158本
最低積立金額(NISA)毎月100円から毎月1,000円から

上記の中で、特に確認しておきたい項目について見ていきましょう。

取引手数料で比較

まずは、国内株・外国株の取引手数料を比較します。

国内株手数料(現物取引)の比較
1回の約定代金SBI証券の手数料(税込)SMBC日興証券の手数料(税込)
10万円まで0円137円
20万円まで0円198円
30万円まで0円275円
50万円まで0円440円
100万円まで0円880円
(※SBI証券はアクティブプラン、SMBC日興証券はダイレクトコースの金額)

外国株手数料(米国株)の比較
SBI証券SMBC日興証券
手数料:約定代金×0.495%
最低金額:0ドル
上限金額:22ドル
手数料:約定代金×0.20%+国内取次手数料(※)
最低金額:0ドル
上限金額:なし
(※)国内取次手数料は約定代金の1.265%程度。売却する場合は0.00229%の「賦課金」もかかる。

上記の通り、株式取引の手数料はSBI証券のほうがお得です。SBI証券は定額制の「アクティブプラン」が人気で、1日の約定代金が100万円を超えない限り、国内株の手数料はかかりません。

外国株で比較

次は、両社が取り扱っている外国株を見てみましょう。

SBI証券の外国株SMBC日興証券の外国株
・米国株(5,220銘柄)
・中国株
・韓国株
・ロシア株
・ベトナム株
・インドネシア株
・シンガポール株
・タイ株
・マレーシア株
・米国株(107銘柄)
・中国株
・インド株
・ブラジル株
・オセアニア株
・ヨーロッパ株 など
(※新興国株はADRまたは香港市場からの取引)
(※銘柄数は2022年8月時点)

SBI証券は9ヵ国の外国株を取り扱っており、その中でも米国株は5,000以上と豊富です。SMBC日興証券も多くの外国株を取り扱っていますが、米国株のラインナップは少なめです。

投資信託で比較

次は、投資信託の本数や銘柄の傾向を比較してみましょう。

SBI証券の投資信託SMBC日興証券の投資信託
全銘柄数:2,657本
国内株式型:421本
国際株式型:765本
国内債券型:48本
国際債券型:627本
バランス型:471本
iDeCo対象商品:84本
全銘柄数:1,092本
国内株式型:183本
国際株式型:363本
国内債券型:34本
国際債券型:239本
バランス型:188本
iDeCo対象商品:29本
(※2022年8月時点)

両社ともにさまざまなファンドを取り扱っていますが、全体的なラインナップはSBI証券のほうが充実しています。全銘柄数は2倍以上であり、iDeCo対象商品数もSBI証券のほうが多いです。

IPO実績で比較

以下の表は、過去5年間のIPO実績を比較したものです。

時期SBI証券のIPO実績SMBC日興証券のIPO実績
2017年83社(8)71社(11)
2018年86社(11)66社(20)
2019年82社(7)61社(20)
2020年85社(15)52社(16)
2021年122社(21)80社(26)
(※カッコ内は主幹事を務めた数)

IPOの実績や銘柄数は、両社ともに業界トップクラスです。案件数はSBI証券のほうがやや多いですが、主幹事(※)を務めた数はSMBC日興証券が上回っています。

(※)主幹事を務めた証券会社には、通常よりも多くのIPO株が割り当てられる。

NISAで比較

次は、両社のNISAに関するサービスや商品数を比較します。

比較項目SBI証券SMBC日興証券
一般NISA
つみたてNISA
ジュニアNISA
NISA対象商品(投資信託)2,591本1,057本
つみたてNISA対象商品184本158本
最低積立金額100円から1,000円から

両社ともNISAを取り扱っていますが、対象商品についてはSBI証券のほうが充実しています。また、SBI証券では毎月100円から積み立てることができ、国内株や投資信託を手数料0円で取引できます。

SBI証券の魅力

SBI証券の魅力としては、以下の4つが挙げられます。

魅力①業界最安水準の手数料やプラン
魅力②業界No.1のIPO実績
魅力③複数のポイントがたまる
魅力④9ヵ国の外国株を取引できる

実際にどのようなメリットがあるのか、以下で見ていきましょう。

魅力①業界最安水準の手数料やプラン

SBI証券は、さまざまなサービスにおいて業界最安水準の手数料を実現しています。参考として、2つのプランが用意されている国内株の手数料を確認しておきましょう。

SBI証券の手数料(国内株の現物取引)
スタンダードプランアクティブプラン
1注文の約定代金手数料1日の約定代金手数料
5万円まで55円100万円まで0円
10万円まで99円200万円まで1,238円
20万円まで115円300万円まで1,691円
50万円まで275円300万円超100万円ごとに295円増加
100万円まで535円
150万円まで640円
3,000万円まで1,013円
3,000万円超1,070円
(※上記はいずれも税込の金額)

仮に10万円分の国内株を現物で取引する場合、SBI証券とSMBC日興証券の手数料の差は137円(※)です。SBI証券のアクティブプランでは、1日の約定代金が100万円を超えない限り手数料がかからないので、少額取引やデイトレードをする人におすすめです。

(※)SBI証券はアクティブプラン、SMBC日興証券はダイレクトコースで計算。

魅力②業界No.1のIPO実績

業界トップクラスのIPO実績を誇る点も、SBI証券の魅力です。

証券会社名SBI証券SMBC日興証券楽天証券マネックス証券
2019年の実績82社61社26社45社
2020年の実績85社52社38社50社
2021年の実績122社80社74社65社
(※上記は主幹事と引受幹事を務めた案件の合計)

特に2021年は全体の98%にあたるIPO案件を取り扱い、うち21社では主幹事を務めました。SBI証券は抽選に外れたユーザーにIPOチャレンジポイントを付与しているため、初心者にも当選のチャンスがあります。

IPOチャレンジポイントとは、抽選に外れると1ポイントが付与される、独自のポイントサービスです。次回以降の抽選にIPOチャレンジポイントをつかうと、申し込みポイント数に応じて当選率がアップします。抽選に外れた場合は、全てのポイントが返還されます。

魅力③複数のポイントがたまる

SBI証券はポイントプログラムが充実しており、さまざまなサービスを通して6種類のポイントをためられます。

ポイントの対象サービスポイント数ポイントの種類
国内株の購入月間合計手数料×1.1%
(※Vポイントは3.0%)
・Pontaポイント
・Tポイント
・dポイント
・Vポイント
国内株の入庫1回につき100ポイント
投資信託の購入購入代金×還元率
(※還元率はクレジットカードによって異なる)
・Vポイント
・東急ポイント
・タカシマヤポイント
投資信託の保有月間平均保有金額×最大0.25%・Pontaポイント
・Tポイント
・dポイント
・Vポイント
金銀プラチナの購入月間合計手数料×1.0%
SBIラップのおまかせ運用月間運用平均額×最大0.2%
新規口座開設100ポイント
ユーザーの紹介1人につき5,000ポイントTポイント

上記の通り、SBI証券はポイント対象のサービスが多いので、効率的なポイ活をしたい人にも最適です。

④9ヵ国の外国株を取引できる

SBI証券は外国株のラインナップが豊富であり、9ヵ国の銘柄を取引できます。

証券会社名SBI証券SMBC日興証券楽天証券マネックス証券
外国株の種類・米国株
・中国株
・韓国株
・ロシア株
・ベトナム株
・インドネシア株
・シンガポール株
・タイ株
・マレーシア株
・米国株
・中国株
・インド株
・ブラジル株
・オセアニア株
・ヨーロッパ株
・米国株
・中国株
・インドネシア株
・シンガポール株
・タイ株
・マレーシア株
・米国株
・中国株

米国株だけでも5,000銘柄を超えているので、SBI証券は投資の幅を広げたい人にもおすすめです。

SMBC日興証券の魅力

次に、SMBC日興証券の魅力を4つ紹介します。

魅力①国内トップクラスのIPO実績
魅力②取引でdポイントがたまる
魅力③投資情報が充実
魅力④トレーディングツールが使いやすい

SBI証券との違いを1つずつ確認していきましょう。

魅力①国内トップクラスのIPO実績

SMBC日興証券も、IPO実績では国内トップクラスを誇ります。

証券会社名SBI証券SMBC日興証券楽天証券マネックス証券
2019年の実績7社20社0社0社
2020年の実績15社16社0社0社
2021年の実績21社26社0社1社
(※上記は主幹事を務めた案件の合計数)

SMBC日興証券のIPO抽選方法はユニークで、全体の5%を目途にステージ別抽選が行われます。

ステージ条件(※いずれか1つ)抽選票数
ブロンズ・新規口座開設から3ヵ月以上
・預かり資産残高250万円以上
・信用取引建玉金額250万円以上
1票
シルバー・預かり資産残高1,000万円以上
・信用取引建玉金額1,000万円以上
5票
ゴールド・預かり資産残高3,000万円以上
・信用取引建玉金額3,000万円以上
15票
プラチナ・預かり資産残高5,000万円以上
・信用取引建玉金額5,000万円以上
25票

上記の他にも、完全平等の抽選分(※全体の10%を目途)もあるので、初心者にも当選のチャンスがあります。

魅力②取引でdポイントがたまる

SMBC日興証券では、さまざまなサービスを通してdポイントをためられます。

ポイント対象のサービス獲得できるポイント
国内株の現物取引委託手数料200円ごとに1~5ポイント
(※利用状況に応じて変動)
キンカブ取引売買約定金額500円ごとに1ポイント
「日興フロッギー+docomo」の記事閲覧1記事につき3ポイント
投信積立最大300ポイント
(※積立金額に応じて変動)

上記の他にも、ロボアドバイザーの「THEO+docomo」や、個人型確定拠出年金の「日興iDeCo for docomo」もポイント付与の対象です。ただし、基本的にはダイレクトコースへの加入が前提になるため、ポイ活を重視する人はコース設定に注意しましょう。

魅力③投資情報が充実

決算情報や目標株価、企業レポートなど、SMBC日興証券は日々さまざまな投資情報を提供しています。また、関連サービスの日興フロッギーにも、資産運用やマーケットに関する記事が多く掲載されています。

SMBC日興証券の投資情報には、以下のようなものがあります。

・株式や債券、為替の市況
・市場実勢相場(為替レート)
・日興フロッギー上の記事
・株式や債券、投資信託に関するネットセミナー
・アナリストによるレポートやセミナー

初心者向けから専門的な情報まであるため、情報収集用のサービスとしても活用できるでしょう。

魅力④トレーディングツールが使いやすい

トレーディングツールが使いやすい点も、SMBC日興証券の魅力です。その中でもパソコン専用の「パワートレーダー」は、情報収集から注文まで完結できるツールとして評価されています。

パワートレーダーは月額3,300円のツールですが、初回限定で1ヵ月程度の無料トライアルを利用できます。プロ並みの投資環境に興味がある人は、まずは無料トライアルで使用感を確認してみましょう。

SBI証券とSMBC日興証券の使い分け方

SBI証券とSMBC日興証券には、それぞれ別の魅力があります。よりお得に投資や資産運用をしたい場合は、どのように使い分ければよいのでしょうか。ここからは使い分け方の例を紹介します。

運用しているポイントで使い分ける

投資をしながらポイントをためたい人は、ためているポイントから証券会社を選びましょう。

SBI証券のポイントSMBC日興証券のポイント
・Pontaポイント
・Tポイント
・dポイント
・Vポイント
・東急ポイント
・タカシマヤポイント
・dポイント

例えば、PontaポイントのユーザーがSBI証券を選ぶと、運用するポイントを一本化できます。その結果、ポイントをまとめてつかいやすくなる、有効期限切れを防げます。

なお、両社ともdポイントに対応しているため、dポイントユーザーは「付与対象のサービス」や「ポイントのつかい道」で検討しましょう。

取引したい金融商品で使い分ける

以下のように、取引したい金融商品で使い分ける方法もあります。

SBI証券が便利なケースSMBC日興証券が便利なケース
・さまざまな外国株を取引したい
・多くの銘柄から投資信託を選びたい
・NISAやiDeCoを利用したい
・IPO株を中心に取引したい
・証券担保ローンを利用したい
・dポイントをつかって投資したい
(※上記はいずれも一例)

投資の幅を広げたい人には、商品ラインナップが充実しているSBI証券がおすすめです。一方、SMBC日興証券はIPO投資やdポイント投資に向いています。

取引に不安がある人は、各社のサポート体制にも目を向けましょう。利用するサービスの専用窓口やセミナー動画などに注目すると、自分に合うネット証券を見極めやすくなります。

トレードスタイルで使い分ける

SBI証券とSMBC日興証券は、それぞれ適したトレードスタイルが異なります。

SBI証券は商品ラインナップが豊富なので、多くの銘柄から投資先を選びたい人に向いています。業界最安水準の手数料であることを考えると、取引コストを抑えたい人にも向いているでしょう。

一方でSMBC日興証券は、担当者からアドバイスを受けたい人や情報収集に時間をかけたい人に向いています。ただし、利用状況(加入コースや使用ツールなど)によってはコストがかさむので、各サービスの料金は事前に確認しておきましょう。

IPOの当選率を上げるため複数の口座を開設する

IPOの当選率を上げたい人には、複数口座の開設がおすすめです。SBI証券とSMBC日興証券はいずれもIPO実績が豊富なので、両社からIPOを申し込むと当選率が高まります。

SBI証券のIPO抽選方式SMBC日興証券のIPO抽選方式
60%:平等抽選
30%:IPOチャレンジポイントによる配分
10%:証券会社による独自配分(優遇抽選)
85%:証券会社による独自配分(優遇抽選)
10%程度:平等抽選
5%程度:ステージ別抽選

資金管理は複雑になりますが、複数の証券口座を持つと各社のメリットを活かせます。IPO以外のサービスも併用できるので、これを機に検討するとよいでしょう。

まずはトレードスタイルや目的を整理しよう

SBI証券とSMBC日興証券には、それぞれ異なる強みがあります。SMBC日興証券では担当者によるアドバイスを受けられますが、コスト面や商品ラインナップはSBI証券のほうが優れています。

利用状況によって自分に合った証券会社は変わるので、まずは自分のトレードスタイルや目的を整理することから始めましょう。資金管理に自信がある人やIPO狙いの人には、複数口座の掛け持ちもおすすめします。