SBI証券のS株とは?手数料は高い?メリット・デメリットを解説

SBI証券のS株は、国内株を1株から取引できるサービスです。一般的には「単元未満株(ミニ株)」と呼ばれており、少額から投資を始められるサービスとして人気を集めています。

しかし、単元株(100株単位)とは手数料体系が異なるため、取引コストが気になっている人も多いでしょう。本記事では、SBI証券でS株を取引する手数料や、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。

目次

  1. S株の手数料は高い?他社との比較表
  2. S株の売却手数料を無料にする方法
  3. S株が100株になったらどうなる?
  4. SBI証券でS株を取引するメリット
  5. SBI証券でS株を取引するデメリット
  6. SBI証券でS株を取引する方法
  7. SBI証券のS株は低コストで少額投資ができる


S株の手数料は高い?他社との比較表

SBI証券のS株は、他社のサービスよりも手数料を抑えやすいのでしょうか。まずは、各社の単元未満株(ミニ株)とコスト面を比較してみましょう。

証券会社名サービス名称取引コストの種類取引コスト
SBI証券S株取引手数料購入:0円
売却:約定代金×0.55%
最低売却手数料:55円
auカブコム証券プチ株取引手数料購入:約定代×0.55%
売却:約定代金×0.55%
最低売買手数料:52円
大和コネクト証券国内株
(ひな株)
スプレッド購入:約定代×0.50%
売却:約定代金×0.50%
マネックス証券ワン株取引手数料購入:0円
売却:約定代金×0.55%
最低売却手数料:52円
LINE証券いち株スプレッド購入:約定代金×0.3~1.0%
売却:約定代金×0.35~1.0%
SMBC日興証券日興フロッギースプレッド購入(100万円以下):0円
売却(100万円以下):約定代×0.50%
購入(100万円超):約定代×1.0%
売却(100万円超):約定代×1.0%
野村證券まめ株取引手数料購入:約定代金×1.1%
売却:約定代金×1.1%
最低売買手数料:550円
(※手数料は全て税込)
(※2023年2月時点のデータ)

単元未満株(ミニ株)の取引コストは、約定代金に対してかかる「取引手数料」と、取引金額に手数料が含まれる「スプレッド」があります。このうち、SBI証券のS株では取引手数料が採用されています。

購入手数料を比較すると、SBI証券やマネックス証券、SMBC日興証券が業界最安水準です。これらのネット証券では購入手数料がかからないため、取引コストを気にせずに単元未満株(ミニ株)をコツコツ増やせます。

売却手数料が安いネット証券としては、大和コネクト証券やSMBC日興証券が挙げられます。ただし、SBI証券との差はわずかであり、仮に1万円分の取引をする場合は5円(1万円×0.05%)しか変わらない計算です。

なお、LINE証券の手数料は取引時間によって変わります。最低手数料は「約定代金×0.35%」ですが、1.0%の手数料が差し引かれる時間帯もあるので注意してください。

S株の売却手数料を無料にする方法

SBI証券のS株は、保有株数が1単元(※通常は100株)を超えると単元株として扱われます。つまり、通常の国内株と同じ手数料体系になるため、定額制の「アクティブプラン」に加入している場合は、売却手数料を無料にできます。

<SBI証券のアクティブプラン>

1日の約定代金手数料(税込)
100万円まで0円
200万円まで1,238円
300万円まで1,691円
300万円超100万円ごとに295円増加

<S株の売却手数料を無料にする方法>
・一つの銘柄を100株まで増やす
・国内株の「アクティブプラン」に加入する
・1日の約定代金を100万円以内に抑える

S株の取引コストを抑えたい人は、一つの銘柄を長期保有してコツコツと増やしましょう。

S株が100株になったらどうなる?

SBI証券のS株が100株を超えると、手数料以外にもさまざまな点が変わります。ここからは単元株になった後の扱いや、それによって生じるメリットなどを解説します。

単元株として取引できる

国内株には「単元」という取引単位があり、通常は1単元=100株として取引をします。この取引単位を満たした株が「単元株」と呼ばれており、SBI証券のS株も100株に達すると単元株として扱われます。

なお、同一銘柄が1単元に達すると、それ以降はS株として売却することができません。100株未満で売却をしたい人は、保有株数に注意しながら運用しましょう。

銘柄によっては配当金や株主優待を狙える

銘柄によりますが、SBI証券のS株では配当金や株主優待も受け取れます。

配当金:業績に応じて、企業から株主に分配される利益のこと。
株主優待:自社製品や割引券など、企業が株主に贈る現金以外の特典。

参考として、以下では1株でもらえる株主優待を紹介しましょう。

<1株でもらえる株主優待の例>
ニップン:健康食品シリーズやワインセレクションの優待販売
パソナグループ:淡路島飲食施設での30%OFFクーポン
いちご:Jリーグ試合チケットの抽選権

(※2023年2月時点での優待情報。)


配当金や株主優待を受け取るには、権利確定日まで該当銘柄を保有する必要があります。保有株数や保有期間で内容が変わることもあるので、しっかりと情報収集をしておきましょう。

議決権を得られる

議決権とは、株主総会の決議に参加できる権利のことです。通常は1単元につき1票が与えられるため、保有株数の多い株主ほど企業に対する発言力があります。

単元未満株(ミニ株)に議決権はありませんが、保有株数が少ない株主にも以下の権利は認められています。

<株主に認められる主な権利>
利益配当請求権:保有株数に応じて、企業から配当金を受け取る権利のこと。
書類閲覧謄写権:会計帳簿などを閲覧する権利のこと。
株主代表訴訟提起権:会社役員の責任を追及するために、訴訟できる権利のこと。

会社経営に携わりたい人は、長期保有をしながら積極的に単元数を増やしましょう。

手数料の仕組みが変わる

前述でも触れましたが、S株が単元株になると手数料の仕組みが変わります。SBI証券では国内株の手数料プランとして、以下の2つが用意されています。

<スタンダードプラン(従量制)>

1回の約定代金手数料
5万円まで55円
10万円まで99円
20万円まで115円
50万円まで275円
100万円まで535円
150万円まで640円
3,000万円まで1,013円
3,000万円超1,070円
(※上記はいずれも現物取引における税込の金額。)

<アクティブプラン(定額制)>

1日の約定代金手数料
100万円まで0円
200万円まで1,238円
300万円まで1,691円
300万円超100万円ごとに295円
(※上記はいずれも現物取引における税込の金額。)

保有株数やプランによって手数料がどれくらい変わるのか、分かりやすい例を見ていきましょう。

株価S株の手数料(99株)スタンダードプランの手数料(100株)アクティブプランの手数料(100株)
100円54円55円0円
500円272円55円0円
1,000円544円99円0円
3,000円1,633円275円0円
5,000円2,722円275円0円
10,000円5,445円535円0円
30,000円16,335円1,013円1,691円
(※上記は売却時のみの税込手数料。小数点以下は切り捨て。)

上記のように比較すると、SBI証券では単元株として売却したほうがお得になることが分かります。あと数株で100株に届くような場面では、単元株にしてから売却することを考えましょう。

SBI証券でS株を取引するメリット

他社の単元未満株(ミニ株)と比べると、SBI証券のS株には以下のメリットがあります。

<S株を取引するメリット>
・手数料を抑えやすい
・対象銘柄が多い
・24時間の注文に対応
・1株だけで株主優待を受け取れる銘柄も多い

メリットを一つずつ確認し、自分に合った運用プランを考えていきましょう。

メリット1.手数料を抑えやすい

SBI証券のS株は、取引手数料を抑えやすい仕組みになっています。

<S株の手数料を抑えやすい理由>
・取引数量に関わらず、購入手数料が全て0円
・売却手数料がそれほど高くない(大手の中では平均的な水準)
・単元株になると、スタンダードプランやアクティブプランが適用される

単元株になってからの手数料プランは、SBI証券のウェブサイトで簡単に切り替えられます。事前に約定代金を確認し、お得になるプランを設定しておきましょう。

なお、月曜日~金曜日(23時29分まで)に手続きをすると、翌日に新しいプランが適用されます。売却するタイミングも踏まえて、事前に手続きを済ませておきましょう。

メリット2.対象銘柄が多い

SBI証券のS株は、対象銘柄のラインナップが業界トップクラスです。

証券会社名単元未満株(ミニ株)の対象銘柄
SBI証券・東証上場銘柄(プライム、スタンダード、グロース)
・名証上場銘柄(プレミア、メイン、ネクスト)
・福証上場銘柄(Q-Boardを含む)
・札証上場銘柄(アンビシャスを含む)
(※東証以外は売却のみ)
auカブコム証券・東証上場銘柄(プライム、スタンダード、グロース)
・名証上場銘柄(プレミア、メイン、ネクスト)
・福証上場銘柄(Q-Boardを含む)
・札証上場銘柄(アンビシャスを含む)
(※福証と札証は売却のみ)
大和コネクト証券・東証上場銘柄のみ(約400銘柄)
マネックス証券・東証上場銘柄(プライム、スタンダード、グロース)
・名証上場銘柄(プレミア、メイン、ネクスト)
・福証上場銘柄(Q-Boardは含まない)
・札証上場銘柄(アンビシャスは含まない)
(※福証と札証は売却のみ)
LINE証券・東証上場銘柄のみ(1,500銘柄以上)
SMBC日興証券・東証上場銘柄のみ(ETFと合わせて約3,900銘柄)
野村證券・東証上場銘柄(プライム、スタンダード、グロース)
・名証上場銘柄(プレミア、メイン、ネクスト)
・福証上場銘柄(Q-Boardを含む)
・札証上場銘柄(アンビシャスを含む)
(※福証と札証は売却のみ)
(※福証と札証は売却のみ)

S株の有名な対象銘柄としては、トヨタ自動車や三菱UFJ・フィナンシャルグループ、日本郵船などが挙げられます。他にも多くの銘柄があるので、さまざまな目的に合わせて投資先を選べます。

メリット3.24時間の注文に対応

SBI証券のS株は、24時間365日の注文に対応しています。祝休日にも注文が出せるので、平日は忙しい人でも手軽に投資を始められます。

ただし、非営業日に手続きをした場合は、翌営業日7時00分の注文として処理されます。注文のタイミングや口座状況によっては、購入余力不足によって注文が失効することもあるので、注文後の資金管理も忘れないようにしましょう。

メリット4.1株だけで株主優待を受け取れる銘柄も多い

S株の対象銘柄には、1株だけで株主優待を受け取れるものが多くあります。

銘柄名・コード1株で受け取れる株主優待
SBIホールディングス【8473】健康補助食品や化粧品の割引購入申込券
東京日産コンピュータシステム【3316】500円相当のQUOカードPay
日本ケミファ【4539】ヘルスケア商品の優待セール
三菱マテリアル【5711】貴金属製品の優待割引、観光坑道の無料利用券
富士電機【6504】オリジナルカレンダーの贈呈
京セラ【6971】自社製品・サービスの優待割引
テレビ朝日ホールディングス【9409】テレビショッピング販売商品割引
リンコーコーポレーション【9355】ANAクラウンプラザホテル新潟割引券
松風【7979】薬用ハミガキなどの優待割引販売
(※2023年2月時点での優待情報。)

株主優待は現金のリターンではありませんが、電子マネーや優待割引券などを選ぶと、家計の負担を抑えられる可能性があります。他にも株主優待でしか手に入らない品物や、日用品を受け取れる銘柄などバリエーションが豊富なので、気になる優待品を探してみましょう。

SBI証券でS株を取引するデメリット

SBI証券のS株には、注意したいデメリットもあります。

<S株を取引するデメリット>
・約定は1日に3回のみ
・ポイント投資は対象外
・売却時は最低手数料がある

人によっては投資の幅が狭くなったり、運用成績に影響が出たりするので、デメリットも一つずつ確認していきましょう。

デメリット1.約定は1日に3回のみ

SBI証券のS株はいつでも注文できますが、約定のタイミングは1日に3回のみです。リアルタイムの株価は反映されないため、動向を予測した上で注文をしなければなりません。

<S株が約定するタイミング>
0時00分~7時00分の注文:当日9時00分に約定
7時00分~10時30分の注文:当日12時30分に約定
10時30分~13時30分の注文:当日15時00分に約定

(※上記は東証における時間帯。)


平日であっても、13時30分以降の注文は翌営業日9時00分に約定します。購入・売却のいずれも同じ仕組みなので、注文を出すタイミングには注意しましょう。

なお、地方市場(名証・福証・札証)で注文当日に約定をしたい場合は、平日10時29分までに手続きをする必要があります。

デメリット2.ポイント投資は対象外

auカブコム証券や大和コネクト証券など、ポイント投資で単元未満株(ミニ株)を取引できるネット証券はいくつか見られます。SBI証券にもポイント投資サービスはありますが、どのポイントでもS株を購入することはできません。

ただし、SBI証券はポイントプログラムが充実したネット証券なので、サービスの特徴を押さえておきましょう。

<SBI証券のポイントプログラム>

たまるポイントPontaポイント、Tポイント、dポイント、JALマイル、Vポイント、タカシマヤポイント、東急ポイント、アプラスポイント、Uポイント、majicaポイント、QIRAポイント
ポイントをためる方法・国内株の購入(※S株は除く)
・国内株の入庫
・投資信託の購入
・投資信託の保有
・SBIラップのおまかせ運用
・金銀プラチナの購入
・新規口座開設
・ユーザーの紹介
・各種キャンペーン
ポイント投資
ポイント投資の対象商品投資信託
投資信託本数2,654本
つかえるポイントPontaポイント、Tポイント、Vポイント、タカシマヤポイント
ポイント利用単位1ポイント=1円
利用上限:なし
利用下限:1ポイントから
注文方法金額指定買付のみ
(※積立買付や口数買付は不可)
NISAでのポイント投資一般NISA:○
つみたてNISA:×
ジュニアNISA:×

特に国内株や投資信託との相性が良いので、これらの金融商品をお得に取引したい人は、SBI証券の利用を検討してみてください。

デメリット3.売却時は最低手数料がある

S株は購入手数料が0円のサービスですが、売却時には55円の最低手数料があります。1回あたりの約定代金が少なくても、手数料が55円を下回ることはありません。

実際にいくらから最低手数料が適用されるのか、以下で簡単に計算してみましょう。

売却時の約定代金約定代金×0.55%適用される手数料
1,000円5.5円55円(※最低手数料)
5,000円27.5円55円(※最低手数料)
10,000円55円55円
20,000円110円110円
30,000円165円165円

上記の通り、S株で最低手数料が適用されるのは約定代金が1万円以下のときです。この金額を下回る取引をすると、コスト面で不利になってしまうので注意してください。

SBI証券でS株を取引する方法

ここからはパソコンとスマホアプリに分けて、SBI証券でS株を取引する方法をまとめました。売却までの手順も紹介しているので、手続きで迷っている人は参考にしてください。

パソコンからS株を購入する方法

パソコンからS株を購入する場合は、以下の流れで手続きを進めます。

<パソコンからS株を購入する流れ>
1.SBI証券のウェブサイトにアクセスする
2.ユーザーネームとパスワードを入力してログインする
3.マイページの「取引」から「国内株式」の画面に進む
4.「単元未満株」を選択する
5.注文内容を入力する
6.取引パスワードを入力する
7.内容を確認し、注文を確定させる

注文内容の入力では、取引をする銘柄のコードや株数の他、口座の種類(預り区分)を選択する必要があります。

「単元未満株(S株)取引ルール(基準となる市場及び取引時間等)」をクリックすると、S株独自の取引ルールが別画面で開かれるため、問題がないことを確認した上で「同意する」にチェックを入れましょう。

国内株の個別銘柄詳細画面では、S株の対象銘柄に「単元未満株」のマークが表示されています。対象銘柄かどうか分からない場合は、こちらの画面で確認してから注文内容を入力してください。

スマホアプリからS株を購入する方法

次は、スマホアプリからS株を購入する方法を見ていきましょう。

<スマホアプリからS株を購入する流れ>
1.「SBI証券 株」アプリをインストールする
2.アプリを開いてログインをする
3.個別銘柄画面の「取引」をタップする
4.「現物買」または「現物売」をタップする
5.注文入力画面で「S株」をタップする
6.注文内容を入力する
7.取引パスワードを入力する
8.内容を確認し、注文を確定させる

スマホアプリの注文入力についても、基本的な流れは同じです。株数や預り区分などを入力し、内容に問題がなければ確認画面へと進みましょう。

「S株」の右に表示されているローソク足のマークをタップすると、指定した銘柄のチャートを確認できます。また、スマホアプリからは銘柄ランキングや決算速報ニュース、アナリストの予想レーティングなどを閲覧できるので、注文前の情報収集や分析に活用しましょう。

S株を売却する手順

S株を売却する場合は、ウェブサイトまたはスマホアプリの「保有証券一覧」にアクセスし、売却したい銘柄を選択します。

パソコンの場合
1.ウェブサイトからログインをする
2.「取引」から「国内株式」の画面に進む
3.「保有株式」をクリックする
スマホアプリの場合
1.アプリを開いてログインする
2.「口座管理」をタップする
3.「保有証券」をタップする

パソコンの場合は、表示された銘柄の「売却」をクリックすると、注文入力画面へと進みます。購入時と同じように、株数や注文方法などの情報を入力してから確認画面に進みましょう。スマホアプリでは、売却したい銘柄を選んで「現物売」をタップすると、注文入力画面に切り替わります。

なお、取引ツールである「HYPER SBI」や、スマートフォン専用サイトでも保有証券は確認できます。ただし、HYPER SBIについてはS株の注文に対応していないため、パソコンを使用する人はウェブサイトから取引してください。

SBI証券のS株は低コストで少額投資ができる

SBI証券のS株は、東証上場銘柄を1株から購入できるサービスです。単元株になるとお得な手数料プランが適用され、さらに購入手数料もかからないので、余計なコストを抑えながら取引できるでしょう。

ただし、約定のタイミングが限られる、ポイント投資の対象外などのデメリットもあります。他社の単元未満株(ミニ株)としっかりと比較し、自分に向いているか慎重に判断してください。