100円投資の利益はどれくらい?始めるメリットやデメリット、おすすめの商品まで解説
(画像=お金のミカタイムZ 編集部)

リターンは小さいですが、初心者にとって100円投資は大きな意味を持つことがあります。

毎月の積立金額を100円、投資先は投資信託、想定利回りを年3.0%として、20年後までの運用成果を簡単にシミュレーションしてみます。

投資の年数利益総額資産額(元本+利益)
4年目290円5,090円
8年目1,230円10,830円
12年目2,910円17,310円
16年目5,400円24,600円
20年目8,830円32,830円
※利益総額は1円以下、資産額は10円以下を切り捨てて計算

上記は毎年利益を受け取った場合のシミュレーションです。投資信託の分配金(※)を再投資すれば、さらに利益が増えやすくなります。   (※)投資家に投資信託の収益を還元するお金のこと

目次

  1. 100円から投資を始める7つのメリット
    1. 投資の実践経験を積める
    2. 損失のリスクを抑えられる
    3. 分散投資しやすい
    4. さまざまな金融商品・投資手法に触れられる
    5. 情報収集や分析のモチベーションが上がる
    6. 複利効果で大きな利益になる可能性がある
  2. 100円投資で活用できるおすすめのサービスや制度
    1. 投信積立サービス:一定間隔で同じ金額分を積み立てる
    2. つみたてNISA:個人投資家向の税制優遇制度
    3. ポイント投資:ポイントで株や投信を購入できる
    4. ミニ株(単元未満株):1~10株から取引できる
    5. 暗号資産(仮想通貨):インターネット上だけの通貨
  3. 100円投資の注意点やデメリット
    1. 少額でも情報収集や分析は必要
    2. 手数料で赤字になるリスクがある
    3. 取引できる商品が少ない
    4. 長期投資が前提になる
    5. モチベーションの維持が難しい


100円から投資を始める6つのメリット

ここからは、100円から投資を始める6つのメリットについて見ていきましょう。

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

投資の実践経験を積める

実際に手元にあるお金を使って投資すると効率的に知識や投資のスキルを学べます。資金を増やしたときにその知識やスキルを活かせば、投資の成功率を高められるでしょう。

損失のリスクを抑えられる

投資は元本100万円で始めるよりも、100円で始めたほうが損失額を減らせます。

◯投資資金による損失の違い

1口あたり100円の投資信託を購入し、1口80円まで下がってから売却した場合

・投資資金が10万円の損失額
1口100円で1,000口購入
1口80円まで下落した場合、損失額は20,000円

・投資資金が1万円の損失額
1口100円で100口購入
1口80円まで下落した場合、損失額は2,000円

・投資資金が100円の損失額
1口100円で1口購入
1口80円まで下落した場合、損失額は20円

上記の通り、投資は資金が少ないほど損失を減らせるので、100円投資は初心者でも気軽に始められるでしょう。

分散投資しやすい

投資では購入金額が少ないほど、さまざまな種類の商品を購入できるため、少額投資は分散投資(※)を行いやすくなっています。

(※)投資先の地域や業界などを分散させて損失のリスクを抑えること

◯分散投資で必要になる資金の違い

リスクを抑えるために、30種類の金融商品を購入する場合

・1口10,000円の投資信託を購入
1口10,000円×30種類で、30万円の資金が必要

・毎月100円の積立投信サービスを利用
1口10,000円×30種類で、3,000円の資金が必要

なお、商品の組み合わせ次第では分散効果が表れないケースもあるので、分散先はポートフォリオを調整しながら選ぶことが大切です。

さまざまな金融商品・投資手法に触れられる

ここまで解説したように、100円投資は損失リスクを抑えやすい手法です。毎月積み立てても最大損失額は限られるので、積極的にさまざまな金融商品・投資手法を試せます。

例えば、大手ネット証券のつみたてNISAでは、毎月100円から積み立てられる投資信託が180銘柄ほどあります。

数ヶ月分の資金をまとめて投資する形を選べば(半年に1回600円を投資するなど)、ほかにもさまざまな商品を取引できるでしょう。

情報収集や分析のモチベーションが上がる

デモトレードに比べてモチベーションを維持しやすい点も、100円投資のメリットでしょう。

デモトレードは現金を失うことがないため、情報収集や分析への集中が難しい傾向にあります。

多くの人は「失敗しても損をしない」「必死になっても得をしない」と感じて、次第にモチベーションを失ってしまいます。

その点、100円投資では実際のお金がかかっているため、資産の変動を見ながらモチベーションを高められます。

得られるリターンは少なくても、「資金を10倍にしたら○○円稼げる」「今の自分なら資産を○%増やせる」のように考えれば、分かりやすい投資シミュレーションにもなるでしょう。

複利効果で大きな利益になる可能性がある

100円投資はリターンの少なさが難点ですが、複利効果を利用すれば大きな利益を得られる可能性もあります。

複利効果とは、株式の配当金や投資信託の分配金などの利益を再投資して、利益が利益を生み出す状態を作り出すことです。

では、複利効果を利用するとどれくらい利益が変わってくるのか、以下で簡単なシミュレーションを行ってみましょう。

◯前提条件
毎月の積立額:100円
積立年数:20年
再投資:半年に1回
利回り:年間5.0%

利益を再投資する場合(複利)利益を再投資しない場合(単利)
年数資産額年数資産額
1年目1,225円1年目1,225円
5年目6,641円5年目6,605円
10年目14,731円10年目14,406円
15年目24,586円15年目23,403円
20年目36,589円20年目33,595円
※税引き後の金額を記載。端数以下は切り捨てて計算した

上記のように、複利と単利とでは20年目に3,000円ほどの差が生じました。今回は半年に1回の再投資で計算しましたが、再投資の機会が増えるほどこの差は広がっていきます。

ネット証券によっては、金融商品の購入時に受け取ったポイントも投資に回せるので、工夫次第ではさらに大きな複利効果を狙えるでしょう。

100円投資で活用できるおすすめのサービスや制度

100円投資といっても、投資であることに変わりはありません。便利なサービスや、お得な制度は積極的に活用していきたいものです。

ここからは100円投資で活用できる、おすすめのサービスや制度をまとめたので、効率的に資産を形成したい方はぜひ参考にしてください。

投信積立サービス:一定間隔で同じ金額分を積み立てる

投信積立サービスとは、毎週や毎月などの一定間隔で同じ金額分の投資信託を積み立てるサービスのことです。大手のネット証券では最低積立金額が100円に設定されているため、ワンコインで手軽に始められます。

◯投信積立サービスの魅力
・毎月100円から始められる
・平均買付単価が平準化される
・実際の投資はプロに任せられる

初心者が押さえたい特徴としては、平均買付単価の平準化が挙げられます。常に同じ間隔・金額で投資を続けると、「安いときに多く買う・高いときに少なく買う」を継続できるため、高値づかみのリスクを大きく抑えられます。

◯投信積立サービスがおすすめな人
・手間をかけずに積立投資を始めたい
・高値づかみのリスクを抑えたい
・個別銘柄の情報収集や分析をする時間がない

また、対象商品である投資信託は、実際の運用をプロが行うタイプの商品です。個別銘柄の情報収集や分析などの作業を減らすことができるので、投信積立サービスは忙しい方に適した選択肢でしょう。

つみたてNISA:個人投資家向の税制優遇制度

つみたてNISAは、長期・積立・分散投資を行う個人投資家に向けて、金融庁が実施している税制優遇制度です。 日本国内に住む成人であれば誰でも利用でき、非課税投資枠(年間40万円)の範囲内であれば全ての運用益が非課税になります。

つみたてNISAの魅力
・非課税投資枠の範囲内で、すべての運用益が非課税になる
・非課税効果が最長で20年間続く
・ローリスクな対象商品が多い

つみたてNISAの対象商品は、長期積立や分散投資に適した一部の投資信託のみです。金融庁の厳しい基準をクリアする必要があるため、ローリスクな商品を中心に運用できます。

つみたてNISAがおすすめな人
・節税をしながら資産運用に取り組みたい
・ローリスクな商品だけで安全な資産形成を目指したい
・余計なコストをできるだけ省きたい

また、全銘柄の販売手数料が0円(ノーロード)なので、余計なコストを抑えながら運用できるでしょう。

ポイント投資:ポイントで株や投信を購入できる

ポイント投資とは、金融商品の取引や保有によって貯めたポイントを使って、株式や投資信託などを購入できるサービスです。

◯ポイント投資の魅力
・資産形成のスピードアップにつながる
・大手のネット証券サービスを利用するだけでポイントが貯まる
・運用に成功すれば資金投入が不要になることも

例えば、SBI証券では国内株や投資信託の購入、新規口座の開設などを通してポイントが貯まります(※Pontaポイント、Tポイント、dポイントから選択)。貯めたポイントには複数の使い道があり、その中の1つに投資信託の購入があります。

◯ポイント投資がおすすめな人
・普段貯めているポイントを使って投資がしたい
・資産形成のスピードアップを図りたい

毎月の積立とポイント投資を組み合わせれば、資産形成のスピードが格段にアップするので、積極的に利用することを考えましょう。

ミニ株(単元未満株):1~10株から取引できる

通常、国内株は1単元(100株)からの注文となりますが、「ミニ株(単元未満株)」が用意されている証券会社では1~10株から取引できます。

◯ミニ株(単元未満株)の魅力
・1~10株から国内株を購入できる
・銘柄によっては配当金や株主優待も受け取れる
・分散投資がしやすい

全ての銘柄ではありませんが、ミニ株(単元未満株)でも配当金や株主優待を受け取れます。

◯ミニ株(単元未満株)がおすすめな人
・国内株を取引したい
・配当金や株主優待を狙いたい
・さまざまな国内株に分散投資したい

また、1取引あたりの投資金額を抑えることで、さまざまな銘柄に投資しやすくなるので、ミニ株(単元未満株)は分散投資にも役立つサービスでしょう。

暗号資産(仮想通貨):インターネット上だけの通貨

暗号資産とは、インターネット上だけで取引される通貨のことです。有名なものとしてはビットコインやイーサリアムがあり、2017年~2018年には多くの「億り人(※)」が誕生したことで話題になりました。

(※)暗号資産の取引によって、資産を1億円以上に増やした投資家

◯暗号資産の魅力
・値動きが大きいため、ハイリターンを狙いやすい
・100円未満から購入できる銘柄が多い
・最先端のサービスや金融資産に詳しくなれる

暗号資産は全体的に値動きの幅が大きく、1年で価格が数十倍~数百倍に膨れ上がる銘柄も存在します。

また、真新しいプラットフォームで取引されるケースが多いため、最先端のネット事情やWebサービスに詳しくなれるメリットもあります。

◯暗号資産(仮想通貨)がおすすめな人
・100円投資でも大きな利益を狙いたい
・最先端のネット事情やWebサービスに詳しくなりたい
・情報収集や分析に時間をかけることが好き

ただし、ハイリターンを狙える分リスクも大きいので、取引の前には十分な情報収集と分析が必要です。

100円投資の注意点やデメリット

100円投資には、以下のデメリットや注意点があります。

◯100円投資のデメリットや注意点
・少額でも情報収集や分析は必要
・手数料で赤字になるリスクがある
・取引できる商品が少ない
・長期投資が前提になる
・モチベーションの維持が難しい

上記のデメリットや注意点について、詳しく解説します。

少額でも情報収集や分析は必要

100円投資だからと言って、情報収集や分析が不要になるわけではありません。

個別銘柄はもちろんですが、プロが運用する投資信託を購入する場合であっても、情報収集や分析は必要です。

そもそも銘柄によってパフォーマンスや利回りは異なりますし、保有中にはこまめに運用状況を確認しなければなりません。

手数料で赤字になるリスクがある

100円投資で特に注意しておきたいものが、「手数料」の存在です。実際の投資では手数料が発生するため、生じた利益をそのまま受け取れるわけではありません。

◯主な金融商品の手数料
・株式投資:取引手数料
・投資信託:買付手数料、信託報酬、信託財産留保額など
・暗号通貨:取引手数料、スプレッド

これらの手数料だけで赤字になってしまう恐れがあるので、商品選びの際には取引コスト・保有コストにも目を向けましょう。

取引できる商品が少ない

100円から取引できる商品は徐々に増えてきたものの、ラインナップが充実しているとは言えません。特につみたてNISAを利用すると、対象商品は投資信託のみとなり、対象銘柄も180程度に絞られてしまいます。

長期投資が前提になる

100円投資は利益の幅が限られるので、まとまった利益を出そうと思ったら「長期投資」が前提になります。

仮に利回りが20%の商品を見つけても、毎月100円の投資額では1年間で数百円しか増えません。

これはハイリターンな商品でも同じであり、例えば暗号通貨への投資についても、しばらくは高騰するまで持ち続けることになります。

したがって、100円投資を続けるには忍耐力が必要です。特に1万円以上の利益を狙っている方は、短くても5年以上の投資になることを覚悟しましょう。

モチベーションの維持が難しい

100円投資ではモチベーションを維持することが難しい傾向にあります。

情報収集や分析に対するモチベーションは、期待できるリターンが大きいほど強くなります。100円投資はローリスク・ローリターンな手法なので、運用成績に関わらずモチベーションを維持しづらい場合があります。

モチベーションの面で悩んだら、投資資金を徐々に増やすことも検討してみましょう。