株よりも低リスク?「債券投資」の魅力とは
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「債券投資」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。投資初心者の場合、「投資」と聞くと株式や投資信託をイメージする方が多いかもしれません。また株式や投資信託は、価格が大きく変動するため、投資初心者からするとリスクが高い金融商品だと感じているでしょう。

しかし、投資商品の中には株式や投資信託よりもリスクを抑えた金融商品もあります。そのひとつが「債券」です。今回は、債券がどういった商品なのか債券投資の魅力やリスクについて見ていきましょう。

目次

  1. 債券投資とは?
  2. 債券投資の魅力は?
  3. 債券投資のリスク
  4. リスクをあまりとりたくない投資家におすすめ 


債券投資とは?

債券投資とは、「債券を購入する」ことをいいます。この債券とは、国や地方公共団体、企業などが投資家からお金を借りる際に発行する有価証券のことです。つまり、債券を購入するということは、債券を発行している国や地方公共団体、企業などにお金を貸したことになります。

債券は証券会社などで購入することができます。ただし、実際にはペーパーレス化が進んでいるため、購入した債券の証券が手元に届くことはありません。代わりに、証券会社の残高報告書や取引報告書で購入した債券の情報を確認できます。

債券で利益を得る仕組み

債券は、あらかじめ決めた期日に利子を支払い、満期日となる償還日に投資した際の元本を返す仕組みです。

▼債券投資のイメージ

債券投資

わかりやすいように、例えば、あなたが100万円を誰かに貸すことを想像してみてください。もし数年後に100万円で戻ってくるとしたら、あなたがお金を貸すことによる金銭的なメリットはありません。むしろ、期日までにお金が戻ってこないかもしれない“リスク”を抱えている、とさえいえます。

お金を貸す相手が家族や親戚などの身内であれば、このように無金利でお金を貸そうと思うかもしれません。しかし、まったくの他人にも金銭的なメリットもなくお金を貸そうとは考える方は、そう多くないのではないでしょうか。

債券に置き換えて考えてみましょう。国や地方公共団体などは、多くの人にとって、先ほどの例でいう“まったくの他人”かもしれません。しかし、国や地方公共団体はお金を借りることができなければ、思うように政治資金を集めることができなくなります。そこで、投資家に資金を出してもらえるように、利率や償還日が決まった「債券」を発行して資金を集めているのです。

債券ごとに償還日や利率、取引通貨などは異なります。債券を発行する主体のことを「発行体」といいますが、一般的に倒産(貸し倒れ)のリスクが高い発行体のほうが、利率は高くなる傾向があります。

債券の場合は、「償還日までに売却しなければ償還日に元本が返ってくる」という原則があるため、株式や投資信託よりはリスクが低いといわれています。「株式投資よりも、できるだけリスクを抑えて投資信託を始めたい」という方は、債券や、債券を投資対象としている投資信託を選ぶのも方法といえます。

ただし、債券投資は元本割れ(債券の価値が投資額を下回る)のリスクがないわけではありません。この点に関しては、後ほど詳しく紹介します。

債券投資の魅力は?

ここまでにも少し触れていますが、債券投資の魅力について整理していきましょう。

株式投資よりもリスクが低い

債券は、あらかじめ決められた利率で定期的に利子を受け取れます。償還日まで保有しておけば保有期間中どれだけ市場価格が変動しても、手元に元本が戻ってくる仕組みです。

一方で、株式や投資信託は、配当金や分配金を必ず受け取れる保証はありません。また、基本的には売却しなければ株式そのものの現金化はできないため、売却時の価格が購入時よりも下がっていれば、損をすることもあります。

こういったことから株式や投資信託よりも、比較的、債券のほうが低リスクといわれているのです。

価格の変動を日々気にしなくて良い

債券も、株式や投資信託のように市場における取引価格は変動しています。しかし、償還日が訪れる前に売却することを考えないのなら、償還日には元本が戻ってくるため、日々の価格の変動に一喜一憂する必要がありません。株式や投資信託の場合は「〇円になったから売却しなくては」など日々の価格チェックが必要です。投資で高いリスクをとりたくない方からすると、大きなストレスになるでしょう。

償還日前の現金化も可能

債券は、償還日を迎えるまで現金化できないわけではありません。債券を売買する債券市場で現金化できます。そのため比較的、流動性が高い金融商品といえるでしょう。

債券投資のリスク

債券投資は、メリットばかりに感じるかもしれませんがリスクもあります。最後に債券投資のリスクを見ていきましょう。

売買時に損失(譲渡損)が発生する場合がある

手元に現金が欲しい場合は、債券を債券市場で売却すれば現金化することができます。しかし、日々債券価格は変動しているため、償還日前に売却すると、債券購入時よりも価格が下がっている場合もあるでしょう。

発行体の倒産など諸リスクがある

基本的に債券投資は、元本や利子が確定した取引です。しかし、債券を発行している企業の財務状況が悪化したり、倒産したりすると、利子や元本の支払いができなくなる場合もあります。また発行体の信用力低下に伴い、需要が低下し換金できなくなるケースも考えられるでしょう。

リスクをあまりとりたくない投資家におすすめ 

債券投資の魅力は、何といっても定期的に受け取れる利子と償還日に元本が戻ってくることです。そのため大きなリターンを望まない代わりに、できるだけリスクをとりたくない方に向いています。あるいは、株式投資など他の投資商品と組み合わせて、許容できるリスクへと調整することもできるでしょう。

債券の中でも、発行体の破たんリスクが高い企業や、低い企業などを選ぶこともできるため、自身の投資の方針に合わせて選ぶようにしてください。