老後に向けた資産形成を目指して、近年では多くの人が投資を始めています。貯金のように資産をコツコツと増やしたい人は、「高配当株」への投資を検討してみるとよいでしょう。そこで本記事では、高配当株の銘柄の選び方や注意点などをまとめました。
そもそも高配当株とは
高配当株とは、配当金を受け取れる株式の中でも、特に利回りが高い銘柄のことです。基準はさまざまですが、一般的には配当利回りが3%を超える銘柄を指します。この配当利回りは、1年間に受け取れる配当金に対して、1株あたりの株価を割って計算します。計算式は以下の通りです。
配当利回り(%)=年間の配当金÷1株あたりの株価×100
配当利回りが3%の株式を100万円分購入した場合は、1年間で3万円(100万円×3%)の配当金を受け取れます。東京証券取引所の上場銘柄を見てみると、2022年度の平均利回りは1.8%~2.3%で推移しています。そのため、高配当株を狙って投資をする場合は、ひとまず2%台前半の利回りを目安にするとよいでしょう。
100万円で高配当株に投資した場合のシミュレーション
個人の投資家が受け取る配当金には、通常20.315%(所得税+住民税)の税金が課されます。この税金も含めて、以下では100万円で3%の高配当株に投資した場合のシミュレーションを見ていきましょう。
運用年数 | 実際のリターン(配当金-税金) |
---|---|
1年 | 23,905円 |
2年 | 47,810円 |
3年 | 71,715円 |
4年 | 95,620円 |
5年 | 119,525円 |
6年 | 143,430円 |
7年 | 167,335円 |
8年 | 191,240円 |
9年 | 215,145円 |
10年 | 239,050円 |
上記は、受け取った配当金で再投資をしない場合のシミュレーションです。配当金を再投資する場合は、2年目以降にさらに多くの配当金を受け取れます。
高配当株の選び方
実際に高配当株を選ぶ際には、どのようなポイントを意識すればよいのでしょうか。ここからは、高配当株の基本的な選び方を紹介します。
業績が安定して上がっている企業を選ぶ
原則として配当金は、株主に企業の利益を還元するために支払われるものです。利益が少ない企業では配当金が出ないこともあるので、まずは「安定した業績」に目を向けましょう。
業界内で高いシェアを獲得している企業や、景気の影響を受けにくい企業などは、安定して成長しやすい傾向があります。配当金の原資となる現金が多い企業も、配当金が減ったり無くなったりする可能性が低いといわれています。
安定した配当金を期待できる企業の特徴は以下の通りです。
・業界内で高いシェアを維持している
・景気の影響を受けにくい事業を行っている
・自由に使える現金が多い
上記のように、さまざまな観点から業績や成長性をチェックし、配当金を安定して受け取れる高配当株を探してみましょう。
配当金を継続して増やしている企業を選ぶ
配当金を継続して増やしている「連続増配株」も、狙い目の1つです。2022年9月現在では、花王(32年連続増配)やSPK(24年連続増配)が連続増配株にあたります。
連続増配は利益が安定していないと難しいため、業績の安定性や成長性をチェックする指標になります。
高配当株に投資する注意点
高配当株は、必ずリターンを得られる銘柄ではありません。場合によっては損失につながることもあるので、高配当株の注意点も押さえておきましょう。
配当利回り5%以上は要注意
利回りは配当金が多いほど高くなりますが、株価が下がった場合にも配当利回りはアップします。例えば、1株1,000円で買える企業が30円の配当金を支払った場合、この銘柄の配当利回りは3%(30円÷1,000円×100%)になります。もしこの銘柄が1株500円に下落した場合、配当利回りは6%(30円÷500円×100%)に変化します。
配当利回りが極端に高い企業(一般的には5%以上)は、業績悪化のリスクを抱えている恐れがあります。購入直後に減配されることもあるので、配当利回りがあまりにも高い場合は注意しましょう。
株価の下落リスクを確認する
株式投資のリターンは、配当金だけではなく譲渡益(キャピタルゲイン)によっても変わります。いくら配当金が安定していても、株価が下がるようではリターンを見込めません。
そのため、高配当株を狙う場合は「株価の下落リスク」にも目を向けましょう。配当利回りが高く、株価の下落しにくい銘柄を選ぶことが、投資を成功させるポイントになります。
配当利回りだけではなく、業績や成長性も確認しよう
多くの配当金を受け取れる高配当株は、資産形成に役立ちます。株価が大きく下落しないで、安定して配当金を出し続けている株式に投資できれば、貯金をコツコツと増やせます。ただし、「高配当株=必ず儲かる銘柄」ではないため、業績や成長性も必ず確認しましょう。