SBI証券とマネックス証券のiDeCoはどっちがお得?取扱商品やサポートを比較
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iDeCo(イデコ)は効率的に年金資産を増やせる制度です。現在では多くの金融機関が提供していますが、口座開設先による違いはあるのでしょうか。本記事では、大手ネット証券のSBI証券とマネックス証券のiDeCoを比較しました。

初心者が気になるポイントもまとめているので、悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

目次

  1. そもそもiDeCoとは
  2. iDeCoを利用する証券会社の選び方
  3. SBI証券のiDeCo詳細
  4. マネックス証券のiDeCo詳細
  5. SBI証券とマネックス証券のiDeCo比較表
  6. SBI証券のiDeCoの特徴
  7. マネックス証券のiDeCoの特徴
  8. iDeCoはSBI証券とマネックス証券どっちがよい?
  9. iDeCoのよくある質問集
  10. 各社の違いを踏まえて目的に合った証券会社を選ぼう


そもそもiDeCoとは

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金基金連合会が実施する国民年金・厚生年金とは別の年金制度です。あらかじめ設定した掛金を毎月拠出し、積み立てた資産を使って投資信託や保険商品などを運用できます。

iDeCo(イデコ)の概要
対象者・国民年金の被保険者(第1号~第3号)
・国民年金の任意加入被保険者
加入任意
掛金の拠出限度額(毎月)自営業者等:6万8,000円
サラリーマン:1万2,000~2万3,000円(※)
公務員:12,000円
専業主婦(主夫)など:2万3,000円
国民年金の任意加入被保険者:6万8,000円
運用商品投資信託、保険商品、預貯金など
節税メリット拠出時:全ての掛金が所得控除の対象
運用時:全ての運用益が非課税
給付時:一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除を適用
払出し制限原則60歳までは引き出し不可
(※)企業年金等の加入状況によって異なる。

職種にもよりますが、iDeCoは年間で最大816,000円までを拠出でき、全ての掛金が所得控除の対象になります。運用時・拠出時にも節税効果があるため、税金を抑えながら年金資産をつくりたい人にぴったりでしょう。

iDeCoを利用する証券会社の選び方

iDeCoは口座開設をする証券会社によって、運用方法の幅やコストなどが異なります。資産形成のスピードにも影響するため、証券会社を選ぶ際には以下のポイントを押さえましょう。

・商品ラインナップが充実しているか
・口座管理手数料などのコストは安いか
・サポート面が充実しているか

iDeCoは仕組みがやや複雑なので、問い合わせ窓口などのサポートにもこだわりたいところです。各社さまざまなサポートを用意しているので、取扱商品やコスト面以外も比較しておきましょう。

SBI証券のiDeCo詳細

SBI証券は、国内株の個人取引シェアでNo.1を誇る(※2022年3月期)大手ネット証券です。この他にも外国株や投資信託、債券など幅広い商品を取り扱っており、サポート面でも外部機関から国内最高評価を受けています。

SBI証券のiDeCoの概要
対象商品88本(※2022年4月以降は、新規買付停止の商品あり)
口座管理手数料0円
ロボアドSBI-iDeCoロボ
その他サポートiDeCo(個人型確定拠出年金)サポートデスク
(※土日は新規の受付のみ対応)
年金の受給期間5年・10年・15年・20年から選択(5年刻み)
(※2022年10月時点)

SBI証券のiDeCoでは、や専用窓口などのサポートが用意されています。この中でもSBI-iDeCoロボは、簡単な質問に答えるだけで投資先の候補となる商品を提案してもらえるので、運用方針で悩んでいる人はぜひ活用してみましょう。

また、SBI証券では投資信託の購入・保有を通してPontaポイントなどがたまるため(※総合口座のみ)、ポイント集めをしながら資産形成をしたい人にもおすすめです。

商品ラインナップ

2022年10月現在、SBI証券は以下のiDeCo対象商品を取り扱っています。

<iDeCoの対象商品>
・投資信託:84本
・元本確保型:4本
<投資信託の内訳>
・国内株:19本
・外国株:22本
・国内債券:3本
・外国債券:10本
・国内REIT:4本
・外国REIT:3本
・バランス型:21本
・コモディティ型:2本

(※2022年4月以降は、新規購入停止の商品あり)

特に投資信託はラインナップが豊富であり、国内の株式型からバランス型まで充実しています。また、「SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド」や「SBI-SBIグローバル・バランス・ファンド」のように、独自のファンドを取り扱っている点もSBI証券の魅力でしょう。

手数料

次は、SBI証券のiDeCoに関する手数料を見ていきましょう。

手数料の種類SBI証券に支払う金額
初回契約時
加入手数料・移管手数料0円
掛金の拠出時・運用時
口座管理手数料(掛金拠出者)0円
口座管理手数料(運用指図者)0円
その他
還付事務手数料0円
他機関への移管手数料4,400円
プランの変更0円

上記の通り、SBI証券に支払う手数料は「他機関への移管手数料」のみです。つまり、SBI証券から他の金融機関に移管(※)しない限り、新たなコストが発生することはありません。

ただし、実際の運用時には国民年金基金連合会や信託銀行への手数料がかかります(※他の金融機関も共通)。

マネックス証券のiDeCo詳細

マネックス証券は、2022年1月時点で200万口座を突破しているネット証券です。特に米国株のラインナップが充実しており、手数料の無料サービスやキャッシュバックなど、初心者でも利用しやすいサービスを展開しています。

マネックス証券のiDeCoの概要
対象商品27本
口座管理手数料0円
ロボアドiDeCoポートフォリオ診断
その他サポートiDeCo専用ダイヤル
(※日曜日、祝日は非対応)
年金の受給期間5年~20年以下(1年刻み)
(※2022年10月時点)

マネックス証券のiDeCoでは、年金の受給期間を1年刻みで選べます。もちろん、受給年齢(原則60歳)に達した人は一時金としても受け取れるので、ライフプランに合わせて資産形成を目指せるでしょう。

また、商品を選ぶ際のサポートとして、資産配分を提案してくれる「iDeCoポートフォリオ診断」が用意されています。目的に合った銘柄に加えて、運用のシミュレーション結果も表示されるため、将来をイメージしながら運用方法を考えられます。

商品ラインナップ

2020年10月現在、マネックス証券のiDeCo対象商品は以下の通りです。

<iDeCo対象商品>
・投資信託:26本
・元本確保型:1本
<投資信託の内訳>
・国内株:7本
・外国株:8本
・国内債券:1本
・外国債券:3本
・国内REIT:2本
・外国REIT:1本
・バランス型:3本
・コモディティ型:1本

元本確保型は「みずほDC定期預金(1年)」の1本のみですが、投資信託については26本のファンドを厳選して取り扱っています。初心者向けの債権型やバランス型はもちろん、新興国やコモディティを対象にしたファンドもあるので、さまざまな目的に合わせて投資対象を選べるでしょう。

低コストの金融商品が多い点も、初心者にはうれしいポイントです。

手数料

次は、マネックス証券のiDeCoに関する手数料を紹介します。

手数料の種類マネックス証券に支払う金額
初回契約時
加入手数料・移管手数料0円
掛金の拠出時・運用時
口座管理手数料(掛金拠出者)0円
口座管理手数料(運用指図者)0円
その他
還付事務手数料0円
他機関への移管手数料4,400円

マネックス証券も口座管理手数料は0円であり、他機関に移管する以外のコストはかかりません(※国民年金基金連合会や信託銀行への手数料は別途発生)。いずれの手数料も業界最安水準であり、さらに信託報酬等が安いファンドがそろっているので、金融機関を変えない限りはコストを抑えた運用ができます。

SBI証券とマネックス証券のiDeCo比較表

以下の表は、SBI証券とマネックス証券のiDeCoを比較したものです。

比較項目SBI証券マネックス証券
対象商品投資信託:84本
元本確保型:4本
(※2022年4月以降は、新規買付停止の商品あり)
投資信託:26本
元本確保型:1本
投資信託の内訳・国内株:19本
・外国株:22本
・国内債券:3本
・外国債券:10本
・国内REIT:4本
・外国REIT:3本
・バランス型:21本
・コモディティ型:2本
・国内株:7本
・外国株:8本
・国内債券:1本
・外国債券:3本
・国内REIT:2本
・外国REIT:1本
・バランス型:3本
・コモディティ型:1本
独自のファンド×
口座管理手数料0円0円
他社への移管手数料4,400円4,400円
サポートSBI-iDeCoロボiDeCoポートフォリオ診断
サポートデスク
年金の受給方法5年刻み(5~20年)1年刻み(5~20年)
掛金の引き落とし日毎月26日毎月26日
スケジュール引き落としから12営業日後に拠出引き落としから13営業日後に発注
(※2022年10月時点)

いずれのネット証券もコスト面は業界最安水準ですが、対象商品についてはSBI証券の方が充実しています。ポイントの対象サービス(※iDeCo口座のみは対象外)や種類も多いので、SBI証券は資産形成とポイント集めを両立したい人にもおすすめです。

一方で、マネックス証券では年金の受給方法を1年刻みで設定できます。対象商品はやや少ないものの、コスト(信託報酬など)を抑えやすいファンドが中心なので、初心者でも気軽にiDeCoを始められます。

SBI証券のiDeCoの特徴

SBI証券のiDeCoには、次のような特徴があります。

①商品ラインナップが充実
②運用コストを抑えやすい
③ファンド選びのサポートツールが豊富
④投資信託の購入・保有でポイントがたまる

上記について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

①商品ラインナップが充実

SBI証券のiDeCoは、商品ラインナップが業界トップクラスです。マネックス証券に比べると約3倍のファンドを取り扱っており、SBI証券独自の商品も少なくありません。独自のiDeCo対象商品は、以下の通りです。

・SBI-EXE-i先進国株式ファンド
・SBI-EXE-iグローバル中小型株式ファンド
・SBI-EXE-i新興国株式ファンド
・SBI-EXE-iグローバルREITファンド
・SBI-ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド
・SBI-セレブライフ・ストーリー2035
・SBI-SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ<DC年金>
(※2022年10月時点)

対象商品が多いと悩んでしまう場合もありますが、SBI証券はそのような人に向けてセレクトプランを用意しています。こちらのプランでは、「低コスト」と「バラエティ」の観点から対象商品が厳選されているため、初心者でもスムーズに運用方針を決められるでしょう。

②運用コストを抑えやすい

口座管理手数料などの運用コストを抑えやすい点も、SBI証券の魅力です。他機関に支払う手数料を含めても、SBI証券では以下のコストでiDeCoを運用できます。

手数料の種類各機関への手数料合計額
口座管理手数料(掛金拠出者)国民年金基金連合会:105円
信託銀行:66円
SBI証券:0円
毎月171円
口座管理手数料(運用指図者)国民年金基金連合会:0円
信託銀行:66円
SBI証券:0円
毎月66円

さらに運用コストを抑えたい人は、低コスト商品が中心のセレクトプランを考えてみましょう。

③ファンド選びのサポートツールが豊富

iDeCoでは、目標金額や資産に合った商品を選ぶことがポイントになります。その点、SBI証券はファンド選びのサポートツールが充実しているため、初心者でも目的にぴったりなファンドを見極められます。

主なサポートツールは、以下の通りです。

・節税シミュレーション:質問に答えるだけで節税額をチェックできる
・SBI-iDeCoロボ:ファンドや運用方針を提案してくれる
・iDeCo向けスマートフォンサイト:対象商品のレポート等が公開されている

また、iDeCoに関して不明点がある場合は、専用のサポートデスクやチャットボットも利用できます。

④投資信託でポイントがたまる

iDeCoは対象外ですが、SBI証券では投資信託の購入・保有を通してさまざまなポイントをためられます。

SBI証券のポイントプログラム(投資信託)
対象サービス投資信託のクレカ積立または保有
ポイント数(クレカ積立)購入代金×最大3.0%
ポイント数(投資信託の保有)月間平均保有金額×最大0.25%(年率)
ポイントの種類Pontaポイント、Tポイント、dポイントなど

iDeCoは総合口座とは別の扱いであり、掛金のクレジットカード払いができないため、上記のポイントプログラムは対象外となります。ただし、SBI証券は投資信託の保有や、新規口座開設やユーザーの紹介でもポイントを受け取れます。

また、SBI証券で総合口座を開設する場合は、国内株の入庫や保有、金・銀・プラチナの購入などもポイント付与対象になります。

マネックス証券のiDeCoの特徴

次は、マネックス証券のiDeCoの特徴を紹介します。

①低コストの投資信託が充実
②運用コストを抑えやすい
③運用サポート
④休日にもサポートを受けられる

SBI証券との違いを意識しながら、それぞれチェックしていきましょう。

①低コストの投資信託が充実

マネックス証券は数多くの投資信託から、低コストかつ安定運用を期待できるファンドを厳選しています。SBI証券に比べると商品数はやや少なめですが、2022年10月現在では26本のファンドを取り扱っています。

②運用コストを抑えやすい

マネックス証券のiDeCoは、業界最安水準の運用コストで利用できます。

手数料の種類各機関への手数料合計額
口座管理手数料(掛金拠出者)国民年金基金連合会:105円
信託銀行:66円
マネックス証券:0円
毎月171円
口座管理手数料(運用指図者)国民年金基金連合会:0円
信託銀行:66円
マネックス証券:0円
毎月66円

他社への移管時には4,400円の手数料がかかるものの、それ以外のシーンではマネックス証券に支払うコストはありません。途中で金融機関を乗り換えない限り、申し込みから年金の受け取りまで低コストで運用できるでしょう。

③運用サポート

マネックス証券の「iDeCoポートフォリオ診断」では、以下の質問に答えるだけでおすすめの銘柄名と配分比率を提案してもらえます。

・現在の年齢
・投資経験の有無
・希望するリターンとリスクの大きさ
・市場急変時の対応方法
・老後の資産形成に対する考え方

回答リストには「わからない」も用意されているため、明確な運用プランがない人でも数分で結果をチェックできます。ポートフォリオ全体の信託報酬や配分、将来のシミュレーション結果なども表示されるので、将来の具体的なイメージをもちながらプランを考えられるでしょう。

④休日にもサポートを受けられる

休日の土曜日にiDeCoのサポートを受けられる点も、マネックス証券の魅力です。通話料もかからないので、疑問や不安が生じたら気軽に相談をしてみましょう。

iDeCoはSBI証券とマネックス証券どっちがよい?

ここまでの内容をもとに、以下ではiDeCoの証券会社の選び方をまとめました。SBI証券とマネックス証券の違いを踏まえて、自分にぴったりな証券会社を選びましょう。

運用したい金融商品がある証券会社を選ぶ

iDeCoにはさまざまな対象商品があり、ファンドによって期待できるリターン・リスクの大きさは異なります。証券会社によって取扱ファンドには違いがあるため、まずはiDeCoに加入する目的を明確にし、運用したい金融商品を考えましょう。

取扱商品数が多い証券会社を選ぶ

iDeCoは原則60歳まで運用するため、運用プランの調整・変更が必要になるケースもあります。どのような状況になっても対応できるように、基本的には取扱商品数が多い証券会社を選びましょう。

なお、SBI証券は2018年5月施行の「確定拠出年金法等の一部を改正する法律(※)」に基づき、2022年4月以降は29本の商品を除外しています。今後についても商品ラインナップ見直しの可能性があるので、公式サイトなどから最新の取扱商品をチェックしましょう。

(※)iDeCo対象商品の上限を35本までに定めた法律。

iDeCoのよくある質問集

iDeCoを始める前には、制度の仕組みを理解しておく必要があります。以下ではよくある質問集」をまとめたので、運用プランを立てる前にチェックしておきましょう。

Q1.iDeCoのおすすめ商品を知りたい

積極的にリターンを狙いたい人には投資信託、リスクを極力抑えたい人には元本確保型(保険、預貯金など)がおすすめです。また、手数料を抑えながら投資信託を運用したい人は、「インデックスファンド(※)」と呼ばれる商品を選びましょう。

(※)株価指数などのインデックスとの連動を目指したファンド。

インデックスファンドの例は、以下の通りです。

・One DC 国内株式インデックスファンド
・SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド
・三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

上記は、いずれもSBI証券またはマネックス商品の取扱商品です。リスクを取ってでもハイリターンを狙いたい場合は、新興国などに投資をするファンドが主な選択肢になります。

Q2.iDeCoとつみたてNISAはどっちがお得か

節税効果がある制度としては、税制優遇制度の「つみたてNISA」も有名です。では、iDeCoとつみたてNISAはどちらがお得になるのでしょうか。

比較項目iDeCoつみたてNISA
非課税になる投資額最大で年間81万6,000円年間40万円
非課税期間原則60歳になるまで20年間
その他の節税メリット・全ての掛金が所得控除
・給付時にも控除を適用
なし

上記のように比較すると、iDeCoのほうが非課税になる範囲が広い傾向にあります。ただし、iDeCoとつみたてNISAでは対象商品が異なるので(※)、その点も踏まえて利用する制度を選びましょう。

(※)つみたてNISAは長期積立や分散投資に適した、購入手数料0円のファンドが対象。

Q3.iDeCoでクレカ決済はできるか

iDeCoの掛金は、指定金融機関からの口座振替によって支払う必要があります。いずれの証券会社もクレジットカード払いには対応していないため、投資信託のクレカ積立も利用できません。

Q4.証券会社が潰れたらどうなるか

iDeCoで運用している資産は、証券会社ではなく信託銀行が管理します。そのため、口座開設先の証券会社が倒産したとしても、ユーザーが資産を失うことはありません。

信託銀行が管理する顧客資産についても分別管理が徹底されています。つまり、信託銀行が破たんしても資産は守られるので、安心してiDeCoを利用しましょう。

各社の違いを踏まえて目的に合った証券会社を選ぼう

SBI証券とマネックス証券のiDeCoは、商品ラインナップや年金の受給方法などが異なります。サポート体制にも違いがあるので、各社の違いを踏まえて自分にぴったりな証券会社を選びましょう。