円安で注目される「外貨預金」、その魅力や注意点は?
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急速に進行する円安が話題になる中、日本円をドルなどの外貨に替えて預け入れる「外貨預金」を始める人が増えています。円安下ではメリットを得やすいといわれる外貨預金の仕組みや注意点を解説します。

目次

  1. 歴史的な円安が急速に進行
  2. 円安で「外貨預金」が注目される理由
  3. 外貨預金の魅力は?
  4. 外貨預金の注意点
  5. 外貨預金の手数料は高い?安い?
  6. 外貨預金では「分散投資」がおすすめ
  7. 円安で外貨預金の魅力が増大、分散投資でリスクを管理しよう


歴史的な円安が急速に進行

外貨に対して円の価値が低くなる「円安」が、かつてないスピードで進んでいます。2022年10月には、一時1ドル=151円台となる約32年ぶりの円安ドル高となりました。2021年9月末の為替相場は1ドル=111円台でしたので、約1年間で一時40円近く円安が進んだといえます。

為替レートが通貨の需要と供給によって変動する「変動相場制」に移行した1973年以降、過去には急激な円安進行もありました。

1990年代には、1995年4月の79円75銭という記録的な円高から、1998年7月に144円台まで急落しました。2010年代では東日本大震災後の2011年10月、戦後最高値の円高である75円32銭を記録しますが、2015年6月には125円台まで円安が進みました。しかし、今回の円安はこれらの過去のケースと比較しても、急速に進行しています。

円安で「外貨預金」が注目される理由

日本円を外貨で預け入れる「外貨預金」では、円安がメリットになる場合もあり、人気を集めています。円安が進むと、外貨預金で得られる為替差益(為替レートの変動による利益)の増加が期待できるため、2022年は外貨定期預金を開設する人が増加しました。

例えば、1ドル=110円のときに円をドルに変えて預け入れたとします。その後円安が進み1ドル=115円になったときに円に戻して引き出せば、1ドルにつき5円あたりの為替差益を得ることができます。

外貨預金の魅力は?

外貨預金には、預け入れたときよりも円安が進むと為替差益が増えるというメリットに加え、金利が高いという魅力もあります。2022年現在は世界的なインフレが続き、米国など各国は金融引き締めを行い、政策金利を引き上げました。政策金利が上がれば、市場の金利も上昇します。

日本でもインフレが長期化していますが、多くの国の金融政策とは対照的に、日銀は金融緩和を続けており低金利を維持しています。そのため、日本円と外貨の金利差が開き、高金利の外貨で資産を持つメリットが大きくなっています。

外貨預金の注意点

円安下ではメリットの多い外貨預金ですが、預けている間に円高になることも考えられます。引き出すときに預け入れたときよりも円高になっていると、利息でカバーできない場合は元本割れとなってしまいます。そのため、外貨預金では預け入れ・引き出しのタイミングが重要です。

外貨預金の手数料は高い?安い?

外貨預金では、銀行が日本円と外貨を交換するため、預け入れ時は外貨を購入し、引き出し時には売却必要があります。その際に、手数料がかかります。手数料は金融機関ごとに設定されており、1円や1ドルなどの単位でかかることが一般的です。注意点としては、日本円の預金に比べて手数料分が高くなりやすい傾向にあります。

外貨預金では「分散投資」がおすすめ

外貨預金では、為替変動に大きな影響を受けます。長く円安が続いていても、為替レートが大きく動いて円高に触れてしまう可能性もあります。為替変動のリスクをできる限り減らすには、分散投資がおすすめです。

為替レートは、各国の政治や世界経済の動き、災害などによって突然変動することもあり、予測できないことが多々あります。そのため、通貨の種類や預け入れる時期を分散させ、外貨預金だけではなく株式などさまざまな種類の資産に投資したり、投資する国(先進国、新興国など)やタイミングを分けたりすることで、リスクを分散しやすくなります。

円安で外貨預金の魅力が増大、分散投資でリスクを管理しよう

外貨預金は、日本円の預金に比べ、金利や為替差益が得やすいという魅力があります。歴史的な円安で、外貨預金がメリットを得やすくなっています。預け入れたときより円安が進んだ状況で引き出せば、日本円の換算額が増えるためです。

一方で外貨預金には、円高になると元本割れしてしまう可能性もあります。為替レートが急激に変動するリスクに備え、多様な資産や国に分散投資することも考えましょう。