【2022年10月以降】フラット35の金利引き下げの仕組み
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固定金利住宅ローンの代表的な商品である「フラット35」に2022年10月、「【フラット35】S(ZEH)」が新設されます。【フラット35】S(ZEH)は金利が当初5年間は0.5%、6年目から10年目までは0.25%に引き下げられる、非常にお得な制度です。詳しい仕組みや対象となる住宅をわかりやすく解説します。

目次

  1. そもそも「フラット35」とは?
  2. 2022年度10月以降に「【フラット35】S(ZEH)」がスタート
  3. そもそも「ZEH」とはどんな住宅?
  4. 【フラット35】S(ZEH)の3つのメリット
  5. 2022年9月以前にフラット35を申し込んだ人には適用される?
  6. 住宅購入を考える際には【フラット35】S(ZEH)を検討してみよう


そもそも「フラット35」とは?

フラット35とは、政府全額出資の独立行政法人である「住宅金融支援機構」が民間金融機関と提携して取り扱う、いわば「半官半民」の住宅ローンのことです。

借入時の金利が全期間変わらない「固定金利」であることが最も大きな特徴で、返済期間は最長35年のため「フラット35」と呼ばれます。

どのような仕組みの制度なのか

フラット35は「証券化」という仕組みを使って投資家から資金調達を行い、固定金利の住宅ローンを実現しています。具体的には以下の通りです。

(1)金融機関が顧客に「フラット35」を融資
(2)金融機関が住宅ローン債権を住宅金融支援機構に売却
(3)住宅金融支援機構はローン債権を担保に、投資家へ債権を発行
(4)投資家からの代金は、住宅金融支援機構が住宅ローン債権を買取った代金に充てる
(5)顧客からの返済金を元に、住宅金融支援機構が投資家に元利払いする

2022年度10月以降に「【フラット35】S(ZEH)」がスタート

「【フラット35】S(ZEH)」とは、ZEH水準の住宅を取得する場合に「フラット35」の借入金利を一定期間引き下げる制度です。

2022年10月以後の設計検査申請分から利用でき、フラット35の借入金利から当初5年間は年0.5%、6年目から10年目までは年0.25%引き下げられます。

そもそも「ZEH」とはどんな住宅?

ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称です。

ZEHの住宅の定義について、公式ホームページでは「外皮の断熱性能などを大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入によって、 室内環境の質を維持しつつ、大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅」と説明されています。

例えば、夏は涼しく冬は暖かく過ごせる「高断熱」や太陽光発電で光熱費やCO2を削減できる住宅が、ZEH住宅に当てはまります。具体的な適合基準については、公式ホームページから確認できます。

※省エネルギ-基準ポータルサイト:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】

【フラット35】S(ZEH)の3つのメリット

メリット1:借入金利が最大で当初10年間 年▲0.5%

【フラット35】S(ZEH)は、借入金利が当初5年間は0.5%、6年目から10年目までは0.25%に引き下げられるということはこれまで述べた通りです。さらに、住宅が「ZEH」かつ、「長期優良住宅」の場合、適用金利が年0.5%引き下げられる期間が5年間から10年間に延長されます。

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅をいいます。国土交通省によると、「長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請する」と認定を受けることができます。

メリット2:税制の特例措置が受けられる

ZEHの対象となる住宅は一般住宅に比べて、以下のように税の特例措置が拡充されます。

<一般住宅とZEH住宅の特例措置比較>

対象税目概要一般住宅ZEH住宅
所得税「住宅借入金等特別控除」の控除対象限度額3,000万円4,500万円
贈与税「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」の非課税限度額500万円1,000万円

メリット3:国からの補助金が利用できる

ZEH住宅を新築したり購入したりする場合、以下のような補助金を利用できます。

<ZEH住宅購入などで利用できる補助金>

制度名対象補助額
地域型住宅グリーン化事業中小工務店などによる木造住宅のZEH上限140万円/戸
戸建住宅ZEH化等支援事業注文・建売住宅におけるZEH定額55万円/戸
こどもみらい住宅支援事業子育て・若者夫婦世帯が建築・購入するZEH100万円/戸

2022年9月以前にフラット35を申し込んだ人には適用される?

2022年9月以前に申し込んだ人も、資金実行が10月以降で、ZEH基準に適合していることが確認できれば【フラット35】S(ZEH)を利用できます。

利用するには、10月以降、ZEHの基準に適合していることがわかる「適合証明書」を申込先の取り扱い金融機関に提出しましょう。ただし、9月以前に適合証明書を取得している場合は、改めて適合証明検査を申請する必要があります。

住宅購入を考える際には【フラット35】S(ZEH)を検討してみよう

フラット35は公的側面の強い住宅ローンであり、新しい【フラット35】S(ZEH)は、世界的な「脱炭素」の流れを受けた国の政策を反映したもです。環境性能に優れた住宅を購入したい方や、子育て支援、地方活性など政策の重点エリアにお住まいの人はこうした金利優遇の恩恵をうまく受けるチャンスですので、検討してみてはいかがでしょうか。