金利が上がると株価が下がる理由と活かし方
(画像=JoPanuwatD/stock.adobe.com)

金利と株価には深い関係があり、2022年12月に日銀が長期金利の変動幅拡大を示唆したことで、日経平均株価が1,000円ほど下落しました。米国を中心とする政策金利の引き上げは、世界的な株安を引き起こす要因になっています。

本記事では、金利が上がると株価が下がる傾向がある理由や、近年の金利動向などをまとめました。株式投資や投資信託をはじめ、さまざまな金融商品に影響するので、投資をしている人は確認しましょう。

目次

  1. 今年は米国株が軟調
  2. 米国株が一方で金利は上昇
  3. 世の中の動向に合わせて、リターンを得やすい金融商品に投資しよう


今年は米国株が軟調

投資において、相場が下がっていることを「軟調」といいますが、米国の代表的な株価指数を見てみると、2022年は米国株が下落気味でした。実際にどのような推移をたどっているのか、S&P500などの動向を見ていきましょう。

S&P500の動向

S&P500は、時価総額の大きい500銘柄で構成されている米国の株価指数です。2020年~2021年にかけては上昇傾向でしたが、2022年に入ってからはそのペースが落ちています。

TradingView
(引用:TradingView「S&P500」)

2022年12月23日現在と比べると、2019年からは+62.5%、2022年初頭からは-19.8%の騰落率になりました。特に2022年8月からの2ヵ月は大きく下げており、同年10月には年内最安値となる約3,577ドルを記録しています。

NASDAQ総合指数の動向

NASDAQ総合指数は、米国のナスダック市場に上場する全銘柄で構成された株価指数です。こちらも2021年までは上昇を続けていましたが、2022年に入ってからは軟調が続いています。

TradingView
(引用:TradingView「NASDAQ Composite Index」)

騰落率を計算してみると、2019年からは+59.1%、2022年初頭からは-33.0%になりました。直近1年では2022年1月~6月にかけて大きく下落しており、同年10月に最低値となる約10,321ポイントをつけています。

ダウ平均株価の動向

ダウ平均株価も、米国の代表的な銘柄で構成される株価指数です。2021年には一時3万6,000ドルを超えましたが、こちらも2022年に入ってからは低調に推移しています。

TradingView
(引用:TradingView「Dow Jones Industrial Average」)

2019年からの騰落率は+43.2%、2022年初頭からは-9.1%となりました。前述の2つに比べると下落幅は小さめですが、2022年9月~10月にかけては30,000ドルを割り込んでいます。

米国株が一方で金利は上昇

次に、米国10年債の推移を見ていきましょう。

TradingView
(引用:TradingView「US10Y チャート」)

直近5年間のデータを見ると、2019年~2020年にかけては下落気味であったことが分かります。一方、2021年からは右肩上がりの状態であり、2022年9月頃には最高値を更新しました。

金利と株価はシーソーの関係にある

上記のチャートを比較すると分かるように、金利と株価はシーソーのような関係にあります。2022年に入ってから米国株は軟調であり、その一方で米国金利は直近5年間の最高値を更新しました。

要因はいくつかありますが、分かりやすい例としては「利回り商品の需要」が挙げられます。金利が上昇すると、相対的に債券や預貯金などの需要が伸びるため、その国の株式は下落しやすい傾向があります。

ただし、金利と株価は必ずしも反対に動くわけではありません。資金の借入れ需要が少ないときに景気が落ち込むなど、金利と株価が同じような動きをするケースもあるので、安易に判断することは控えましょう。

なぜ金利が上昇したのか

米国金利が上昇した背景には、ワクチン普及によるコロナ禍からの脱却や、1.9兆ドルの大規模な経済政策があります。これらの出来事は、いずれも景気や消費の過熱につながるため、米国では過剰なインフレが懸念されています。

このような状況において、預貯金や債券投資を促す金利上昇には抑止効果があります。2022年11月からは「インフレが落ち着いた」との見解もありますが、世の中の動向次第ではさらなる金利上昇も考えられるでしょう。

金利が上がりそうなときの対処方法

投資を成功させたい場合、金利の上昇局面ではどのような対処方法があるでしょうか。

日本の金利が上がりそうな局面では、利回り商品にあたる預貯金や債券、国内株などが投資先の選択肢になるでしょう。金利が上昇すると、投資家の興味はグロース株(成長株)からバリュー株(割安株)に移ると言われます。

そのため、世界的にバリュー株が多いとされる国内の株式市場は活性化する可能性が高いでしょう。ただし、ハイテク株のように金利の影響を受けやすい銘柄もあるので、業種を意識しながら投資先を選んでください。

一方で、グロース株が多いとされる米国市場では、株式ではなく利回り商品に関心が集まると考えられます。実際にグロース株の比重が高いNASDAQ100指数は、2022年に入ってから30%ほど下落しました。預貯金や債券のリターンが高くなりやすいので、これらの金融商品の特徴を踏まえて、今後の投資先を選んでみましょう。

世の中の動向に合わせて、リターンを得やすい金融商品に投資しよう

2022年に入ってから、世界の株式市場や金利はこれまでとは異なる動きを見せています。世の中の動向に変化があると、リターンを得やすい金融商品も変わってくるため、株価指数や金利は引き続きチェックする必要があるでしょう。

不安定な状況が続いているからこそ、本記事を参考にしながら慎重に運用プランを考えてみてください。