NISA・つみたてNISA・iDeCoとは おすすめは?
(画像=naka/stock.adobe.com)

税制優遇があり、効率的に資産を運用できる手段として人気の「NISA」「つみたてNISA」「iDeCo」ですが、「どれを選んでどのように活用すればよいかわからない」という人も多いのではないでしょうか。

3つの制度の違いやポイントを押さえて、メリットを最大限に活かしましょう。

目次

  1. NISA・つみたてNISA・iDeCoの違いは?
  2. NISAとiDeCoは併用できる?
  3. 独身・ファミリー・主婦にはどれが向いている?
  4. それぞれの違いを理解した上で自分に合う制度を選ぼう

NISA・つみたてNISA・iDeCoの違いは?

まずは3つの制度の違いを確認しておきましょう。

NISAつみたてNISAiDeCo
運用商品株式・投資信託・ETFなど国が定めた基準を満たす投資信託投資信託・定期預金・保険商品
投資方法スポット購入
定期積立
定期積立定期積立
運用可能期間5年
(2014~2023年)
20年
(2018~2037年)
60歳まで
最低運用額金融機関による金融機関による
年間投資上限120万円
(非課税枠)
40万円
(非課税枠)
14万4,000円~
81万6,000円
累計運用額上限600万円800万円
引き出し随時随時原則60歳以上
税優遇拠出・投資全額所得控除
運用時運用益・分配金・配当金が非課税運用益・分配金・配当金が非課税運用益が非課税
受取時退職所得控除
公的年金控除
口座管理料
金融機関変更年ごとに変更可年ごとに変更可変更可

*2022年1月10日現在の情報を基に作成

ここからは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

自分のペースで資産を運用できる「NISA(ニーサ)」

NISA専用口座には「少額投資非課税制度」が適用されるため、年間120万円までの投資で得た利益や配当金、分配金などが最長5年間非課税になります。

非課税期間終了後は、保有している金融商品を翌年の非課税枠に移す(ロールオーバー)ことで、引き続き5年間の非課税枠を利用できます。ロールオーバーをすると投資で得た利益を新たな投資に回せるため、非課税で運用できる金額が増えます。ちなみに現行のNISAは2023年で終了しますが、2024年に新NISAがスタートします。

口座を開設する年の1月1日の時点で満20歳以上の日本在住者であれば、誰でも加入できます。最低運用額が設けられておらず、自分のペースで資産を運用でき、多くの金融機関が取引手数料無料のNISA口座を提供しているため、気軽に始められるのが魅力です。

デメリットは、NISA口座で生じた損益を他の口座で生じた損益と相殺(損益通算)できないことです。損益通算とは株式投資で損失が出た場合に、他の利益と相殺することで税負担を減らす方法のことです。損失を翌年以降3年間繰り越せる「繰越控除」も利用できません。

また、現在保有している株式や投資信託をNISA口座に移せないことも覚えておきましょう。

投資初心者でも低コストで長期運用できる「つみたてNISA」

年間40万円(月3万3,333円)までの投資で得た利益や配当金・分配金などが、最長20年間非課税になる制度です。

状況に応じて積み立てる金額を設定・変更できるため、無理のない範囲で長期的に資産を運用できるのがメリットです。

金融機関によって異なりますが、「ドル・コスト平均法」と呼ばれる毎月一定額を積み立てる方法やボーナス月に増額する方法などを利用できます。「ドル・コスト平均法」では金融商品の価格が高い時には少なく、安い時には多く買うことになるため、毎月一定量の口数を購入する方法よりも平均購入単価を抑える効果が期待できます。

投資対象商品は金融庁が長期・積立・分散投資に適していると判断した公募株式投資信託・ETF(上場株式投資信託)に限定されているため、比較的低リスクで資産を運用できるというメリットもあります。

しかし、裏を返せば投資商品が限定されているということなので、株式投資のように大きなリターンを得られるチャンスは減ります。またNISA口座と同様に、損益通算や繰越控除はできません。

経済的にゆとりのある老後を目指すなら「iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)」

掛金とその運用益との合計額に基づいて、給付を受けることができる私的年金です。運用した資産は、年金か一時金、あるいはこれらの併用で受け取ります。

国民年金の第1号被保険者(日本国内に居住する20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生)、第2号被保険者(サラリーマン、公務員など60歳未満の厚生年金の被保険者)、第3号被保険者(20歳以上60歳未満の厚生年金加入者の被扶養配偶者)が対象です。

勤務先が「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を導入している場合、一定の条件を満たしていなければiDeCoに加入することができません。職業などによって掛金の拠出額が異なるため、事前にチェックしておきましょう。

掛金は全額所得控除の対象となり、運用益は非課税で、受け取る際も税優遇が適用されるため節税効果が高く、より豊かな老後を計画できることがメリットです。運用期間が長くなるほど、大きな節税効果を期待できます。

一方、途中で解約して積立金を引き出すことができない、加入手数料や口座管理手数料がかかるというデメリットがあります。

NISAとiDeCoは併用できる?

NISAとつみたてNISAを併用することはできませんが、どちらかのNISAとiDeCoの併用は可能です。それぞれの特徴を踏まえて併用すると、さらに大きな節税効果が期待できます。

併用する際のポイントは、貯蓄の目的に応じて優先順位を決め、掛金の配分を調整することです。最大の目的が老後資金の形成である場合は、節税効果の高いiDeCoを優先してNISAをプラスする、教育資金やマイホーム購入などライフイベントの貯金が目的の場合は、いつでも自由に解約できるNISAを優先してiDeCoは少額投資に利用するなど、賢く併用しましょう。

独身・ファミリー・主婦にはどれが向いている?

最後に、独身・ファミリー・主婦のそれぞれに最も適した制度を考えてみましょう。ライフプランや経済状況、目標は人によって異なるため一概にはいえませんが、目安として参考にしてください。

30代独身

30代の独身者は老後に備えて、あるいは結婚やマイホーム購入など、近い将来発生するライフイベントを視野に入れて、積極的に資産運用に取り組みたいところです。

年間投資上限額が最も高く短期で資産を運用できるNISAと、老後資金を増やせるiDeCoの併用を検討しましょう。

30代ファミリー

教育資金や住宅購入など、何かと物入りな30代ファミリー。「家族のために少しでもお金を増やしたい」と考えていても、大きなライフイベントが多く、急にまとまったお金が必要になることもあるでしょう。

万一に備えて、満了前でも引き出せる「つみたてNISA」を利用した長期的な資産運用をおすすめします。

主婦

専業主婦や年収が103万円以下の人は所得税が発生しないため、iDeCoのメリットである全額所得控除が活かせません。しかし小規模企業共済等掛金控除が適用される場合は、iDeCoに加入することで年間128万円まで所得税が控除されることがあります。

主婦は資産運用だけではなく、自分の働き方も考慮して3つの制度をじっくり検討しましょう。老後資金には絶対に手をつけないために、あえてiDeCoを選択するという考え方もあります。

それぞれの違いを理解した上で自分に合う制度を選ぼう

節税メリットを最大限に活かして賢く資産を運用するためには、自分に合う制度を選ぶことが大切です。

いずれの制度も、開設できるのは1人につき1口座です。金融機関によって手数料や取扱商品、サービスなどが異なることも踏まえて、制度や金融機関を選ぶことをおすすめします。