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給料が増えると所得税が増え、同様に「社会保険料」の負担も大きくなります。社会保険料は4〜6月の給与を基準に計算されるため、この3ヵ月間で残業代が多くなると社会保険料の負担が大きくなり、手取り額に影響します。

目次

  1. 給与の総支給額が増えると社会保険料の負担が増える
  2. 協会けんぽの健康保険料、東京都の場合は・・・・・・
  3. 社会保険料は4〜6月の給与の総支給額で決まる
  4. 負担が増える代わりにメリットもある

給与の総支給額が増えると社会保険料の負担が増える

冒頭で触れたように、給与の総支給額が増えると所得税の納税額も社会保険料も大きくなります。ちなみに社会保険料とは、健康保険や厚生年金保険などのことです。

所得税には所得が多くなるほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されており、課税対象となる所得額に応じて5〜45%で課税されます。社会保険料も同様に、基本的に給与が増えると保険料が高くなる仕組みになっています。

協会けんぽの健康保険料、東京都の場合は・・・・・・

保険料は、社会保険の種類や都道府県によって異なります。

例えば、「全国健康保険協会」(協会けんぽ)の東京都における健康保険料(2022年3月分から適用分)は、「報酬月額」が21万〜23万円の場合、従業員(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)の負担分は1万791円です。

報酬月額が29万〜31万円の場合は1万4,715円、100万5,000円〜105万5,000円の場合は5万521円になります。以下の表を見ると、給与が多くなるほど保険料の負担が大きくなることがわかります。

報酬月額健康保険料(従業員負担分)
6万3,000円未満2,844円
6万3,000円~7万3,000円3,335円
7万3,000円~8万3,000円3,825円
8万3,000円~9万3,000円4,316円
9万3,000円~10万1,000円4,806円
10万1,000円~10万7,000円5,101円
10万7,000円~11万4,000円5,395円
〜中略〜
29万円~31万円1万4,715円
31万円~33万円1万5,696円
33万円~35万円1万6,677円
35万円~37万円1万7,658円
37万円~39万5,000円1万8,639円
39万5,000円~42万5,000円2万110円
42万5,000円~45万5,000円2万1,582円
〜中略〜
100万5,000円 ~105万5,000円5万521円
105万5,000円~111万5,000円5万3,464円
111万5,000円~117万5,000円5万6,407円
117万5,000円~123万5,000円5万9,350円
123万5,000円~129万5,000円6万2,293円
129万5,000円~135万5,000円6万5,236円
135万5,000円以上6万8,179円
出典:全国健康保険協会(介護保険第2号被保険者に該当しない従業員のケース)

社会保険料は4〜6月の給与の総支給額で決まる

上記の表の「報酬月額」として用いられる金額は、4〜6月の給与の総支給額の平均額です。例えば4〜6月の総支給額がそれぞれ30万円の場合、報酬月額は30万円になります。

4月の総支給額:30万円
5月の総支給額:30万円
6月の総支給額:30万円
4〜6月の平均額:30万円(=報酬月額)

4〜6月に残業をたくさんすると?

4〜6月に残業をたくさんして、以下のように総支給額が増えた場合は、報酬月額は39万円になります。

4月の総支給額:38万円
5月の総支給額:40万円
6月の総支給額:39万円
4〜6月の平均額:39万円(=報酬月額)

東京都における協会けんぽの健康保険料は、月額報酬が29万〜31万円の場合は1万4,715円、月額報酬が37万〜39万5,000円の場合は1万8,639円です。その差は3,924円で、4〜6月に残業をたくさんすることで健康保険料が増えていることがわかります。

4〜6月の総支給額で決まる月額報酬は、その年の9月から翌年の8月までの社会保険料を算出する際の基準になります。

厚生年金保険料も月額報酬が上がると高くなる

会社員などの場合は、健康保険料のほかに厚生年金保険料も支払います。厚生年金保険料も、報酬月額が多くなればなるほど負担が大きくなります。

協会けんぽでは、月額報酬が29万〜31万円の場合の厚生年金保険料は2万7,450円、月額報酬が37万〜39万5,000円の場合は3万4,770円です。

負担が増える代わりにメリットもある

このように、4〜6月に残業が多いと社会保険料の負担が大きくなります。基本給がほとんど変わっていないのに社会保険料が一気に増えた場合は、4〜6月の残業が多くなかったか確認してください。

社会保険料の負担が増えると手取り額に影響しますが、マイナス面ばかりではありません。

健康保険料を多く支払うと、健康保険で支払われる「傷病手当金」の支給額が増えます。疾病手当金は、病気やケガで会社を3日間休んだ後、4日目以降の休んだ日に支給されるものです。また、産休などで働けない場合に支給される「出産手当金」も増えます。

そして、厚生年金保険料を多く支払うと、老後に受け取る厚生年金の支給額も増えます。負担が増える代わりに、その分のメリットを享受できることも覚えておきましょう。