SBI証券のiDeCoの特徴は?おすすめポイントや手数料、プランなどを徹底解説
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個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は、公的年金とは別に年金資産を積み立てられる制度です。注意したいポイントはありますが、節税メリットが大きい制度なので、興味のある方は多いでしょう。

iDeCoは証券会社によって取扱商品などが異なるため、口座開設先を選ぶ前にしっかり情報収集しておくことが大切です。本記事ではiDeCoの概要やメリットに加えて、SBI証券のiDeCoについてまとめました。

初心者に便利なサービスなども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 個人型確定拠出年金 (iDeCo)とは?意味を解説
  2. 個人型確定拠出年金(iDeCo)の3つの税制上のメリット
  3. SBI証券のiDeCo 2つのおすすめポイント
  4. SBI証券のiDeCoのプランについて解説
  5. 編集部おすすめのSBI iDeCo対応商品例
  6. どの商品を選べばよいかわからない時は「iDeCoロボ」
  7. SBI証券のiDeCoの手数料について徹底解説
  8. iDeCoに入ったほうがよい人ってどんな人?
  9. 中長期のライフプランを設計してから加入を検討しよう

個人型確定拠出年金 (iDeCo)とは?意味を解説

確定拠出年金とは、国民年金や厚生年金などの公的年金制度に加えて、年金資産を加入者自身で積み立てる私的年金制度のことです。基本的には毎月同じ金額の掛金を積み立てて、それを使って投資信託や定期預金などに投資しながら資産形成を行います。

確定拠出年金には「個人型」と「企業型」があり、個人型の確定拠出年金が「iDeCo」です。

○確定拠出年金の種類
個人型(iDeCo):加入者自身が掛金を負担し、運用方法(金融商品)も加入者が選ぶ
企業型(企業型DC):企業が掛金を負担し、加入者となる従業員が運用方法を選ぶ

本記事では個人型確定拠出年金であるiDeCoに絞って、主なメリットや活用のポイントを解説します。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の3つの税制上のメリット

個人型確定拠出年金(iDeCo)には、年金制度としてのメリットが数多くあります。ここでは、税制上のメリットに絞ってiDeCoの魅力や仕組みを解説します。

毎月の掛金が全額所得から控除される

iDeCoでは、毎月の掛金を加入者自身が負担します。すべての掛金が所得控除の対象となるため、掛金が多いほどその年の所得税・住民税が軽減されます。

○iDeCoにおける掛金の上限額
・自営業者:毎月6万8,000円
・会社員:毎月1万2,000円~2万3,000円
・専業主婦(主夫):毎月2万3,000円

確定給付型の年金に加入していないサラリーマンの場合、毎月の掛金の上限は2万3,000円です。年間で最高27万6,000円(2万3,000円×12ヵ月)を拠出できます。仮に年収を600万円とすると、約8万2,800円の節税効果(所得税+住民税)を得られます。

個人事業者などの自営業者は、サラリーマンの3~4倍にあたる金額を掛金とし拠出できるため、さらに大きな節税効果が期待できます。

受け取るまで間に出た運用益は全額非課税

iDeCoの運用によって生じた利益は、金額に関わらず非課税です。この税制優遇は資産を受け取るまで(原則60歳まで)続くため、運用状況によっては節税をしながら効率的に年金資産を貯められます。

具体的にどのような利益が非課税になるのか、一例を紹介しておきましょう。

○iDeCoで非課税となる運用益(例)
・投資信託の売却益や分配金
・保険商品の返戻金
・定期預金の利息

通常の株式投資によって発生した利益(売買益や配当金)には、20.315%の税金がかかります。投資信託も同様で、仮に20万円の利益が出た場合は4万630円の税金を納めなくてはなりません。

これが非課税になるので、iDeCoの節税メリットは非常に大きいといえます。

受け取る際にも所得税が軽減される

iDeCoで積み立てた資産には3つの受け取り方法があり、どの方法を選んでも所得控除が適用されます。

○iDeCoの受け取り方法
・年金としての受け取り:公的年金等控除が適用される
・一時金としての受け取り:退職所得控除が適用される
・年金+一時金としての受け取り:公的年金等控除と退職所得控除が適用される

ただし、退職金だけで退職所得控除の枠を使い切る場合は、一時金の退職所得控除が適用されません。そのため、年金の受け取りと同じタイミングで退職金が発生する方は、一部を年金として受け取ったり、受給年齢を引き上げたりするなど、節税メリットが大きくなる方法を選びましょう。

SBI証券のiDeCo 2つのおすすめポイント

商品ラインナップが充実している

2022年3月現在、SBI証券のiDeCoでは以下の金融商品を取り扱っています。

○SBI証券の取扱商品(ファンド)
・株式:国内19本、海外21本
・債券:国内3本、海外10本
・REIT:国内4本、海外3本
・バランス:21本
・コモディティ:2本

投資信託だけでも89本を取り扱っており、投資地域についても日本や北米、アジア、エマージングなど、多様な銘柄が揃っています。定期保険など元本保証型の商品も用意されているので、SBI証券は分散投資をしたい方に最適な証券会社といえます。

ただし、iDeCo関連の法律が改正されたことで、今後は運用商品の上限数が35本以下になるように調整されます。2023年までに除外される商品もあるため、運用する金融商品は慎重に選びましょう。

運営管理手数料が0円

運営管理手数料とは、iDeCo口座を運営管理する機関に支払うコストのことです。証券会社によって金額は異なりますが、SBI証券では資産残高に関わらず運営管理手数料が一切かかりません。

口座開設の際に発生する「加入・移換時手数料」は2,829円(税込)ですが、これはどの証券会社でも発生するコストです。また、毎月支払う口座管理料(※)についても、金融機関による違いはありません。

※国民年金基金連合会に毎月105円、事務委託先金融機関に毎月66円を支払う。

つまり、比較対象となるコストは運営管理手数料やプラン変更料などですが、SBI証券はいずれも0円に設定しています。1回あたりで見ると小さな差かもしれませんが、数十年間運用するとコストだけで数万円の差が生じることもあります。

SBI証券のiDeCoのプランについて解説

SBI証券のiDeCoでは、以下の2つのプランが用意されています。

○SBI証券のプラン
・セレクトプラン:投資信託をバランスよくセレクトしたプラン
・オリジナルプラン:マーケットや時流に合った商品を拡充しているプラン

なお、オリジナルプランは2021年1月に新規受付が停止されており、利用できるのはすでに加入済の方のみです。

セレクトプランの商品概要と種類

これからSBI証券を利用する方は、セレクトプランの概要をチェックしておきましょう。2022年3月現在、セレクトプランでは以下の商品が取り扱われています。

商品の分類銘柄名
国内株式○インデックスファンド
・eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
・<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド

○アクティブファンド
・ひふみ年金
・SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ<DC年金>
・つみたて椿 (愛称:女性活躍応援積立ファンド)
・野村リアルグロース・オープン(確定拠出年金向け)
国際株式○インデックスファンド
・eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
・EXE-i グローバル中小型株式ファンド
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))

○アクティブファンド
・セゾン資産形成の達人ファンド
先進国株式○インデックスファンド
・<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
・eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
・iFree NYダウ・インデックス
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・インデックスファンド海外株式ヘッジあり(DC専用)

○アクティブファンド
・朝日Nvest グローバル バリュー株オープン(愛称:Avest-E)
・ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け)
・農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
新興国株式○インデックスファンド
・eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

○アクティブファンド
・ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド
国内債券○インデックスファンド
・eMAXIS Slim 国内債券インデックス
先進国債券○インデックスファンド
・eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
・インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)

○アクティブファンド
・SBI-PIMCO 世界債券アクティブファンド(DC)
新興国債券○インデックスファンド
・iFree 新興国債券インデックス
国内REIT○インデックスファンド
・<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド
先進国REIT○インデックスファンド
・三井住友・DC外国リートインデックスファンド
バランス型・SBIグローバル・バランス・ファンド
・セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
・iFree 年金バランス
・eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
コモディティ型・三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)
ターゲットイヤー型・セレブライフ・ストーリー2025
・セレブライフ・ストーリー2035
・セレブライフ・ストーリー2045
・セレブライフ・ストーリー2055
元本確保型・あおぞらDC定期(1年)

セレクトプランでは37本の銘柄が取り扱われており、さまざまな金融商品や地域に分散資ができるラインナップといえます。

編集部おすすめのSBI iDeCo対応商品例

SBI証券の取扱商品には、「元本変動型」と「元本確保型」があります。安心して運用したい方には元本確保型をおすすめしますが、定期預金などの商品では資産を大きく増やすことはできません。

そこで、編集部がおすすめする元本変動型の商品をまとめました。1本だけで分散投資ができる商品もあるので、リスクを抑えながら資産を増やしたい方はぜひチェックしてください。

SBIグローバル・バランス・ファンド

商品の分類バランス型
基準価額1万1,756円
信託報酬0.27%程度(年)
純資産額39億3,900万円
決算頻度年1回
(2022年3月28日時点)

日本を含む世界中の株式や債券に分散投資をするファンドです。リスク・リターンの最適化を目指して地域別投資比率が調整されており、投資比率は株式40%、債券60%です。

債券の割合がやや多く、債券部分については為替ヘッジも行われているため、価格変動リスクや為替変動リスクを抑えやすい銘柄といえるでしょう。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド

商品の分類バランス型
基準価額1万9,528円
信託報酬0.56%±0.02%程度(年)
純資産額3,100億200万円
決算頻度年1回
(2022年3月28日時点)

世界中の株式や債券に分散投資を行い、安定したリターンを目指す銘柄です。投資比率は原則として株券50%、債券50%であり、市場の規模に応じて地域の投資比率を柔軟に変えています。

2012年以降は基準価額が順調に伸びているため、リスクを抑えながら安定運用をしたい方におすすめです。

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

商品の分類バランス型
基準価額1万3,555円
信託報酬0.154%以内(年)
純資産額1,395億7,300万円
決算頻度年1回
(※2022年3月28日時点)

国内株式や国内REITを始め、合計8資産にバランスよく投資をするファンドです。株式はもちろん、この銘柄だけで不動産や債券にも投資できるので、リスク分散効果を期待できます。

業界最低水準の運用コストを目指していることも、このファンドならではの魅力です。全体的にシンプルな商品なので、初心者の方でも特性を理解した上で投資できるでしょう。

どの商品を選べばよいかわからない時は「iDeCoロボ」

iDeCoではさまざまな商品が用意されているため、自分に合う商品がわからない方もいるでしょう。そのような方に向けて、SBI証券は最適な商品を提案してくれる「SBI-iDeCoロボ」を提供しています。

iDeCoロボは、投資や資産運用に関する簡単な質問に答えるだけで、ニーズに最も合う商品を教えてくれるロボアドサービスです。

○SBI-iDeCoロボの主な特徴
・誰でも無料で利用できる
・1分間で診断が完了する
・モーニングスター社の最新評価データを基に、ニーズに最も合う商品を提案
・1年前に100万円を投資していた場合の運用成績が表示される

「元本確保派」から「積極派」まで、6つのリスクレベルに応じた商品を提案してくれることも、SBI証券のロボアドならではの魅力です。このサービスを利用すれば、ユーザーは自身の目的や投資スタイルに合う商品を選びやすくなります。

SBI証券のiDeCoの手数料について徹底解説

iDeCoの運用では、証券会社や国民年金基金連合会、事務委託先金融機関などに支払う手数料も重要なポイントです。基本的に長期間運用することになるため、少しでもコストが安い証券会社を選ぶことが大切です。

ここからは、SBI証券の手数料を「申し込み」「運用」「その他」に分けてまとめたので、証券会社選びの参考にしてください。

申し込みの際にかかる手数料

手数料名加入時・移換時手数料運営管理機関変更手数料
内容新規加入時や、他の金融機関からの移換時に発生する手数料運営管理機関(証券会社等)の変更にかかる手数料
国民年金基金連合会2,829円
事務委託先金融機関(日本カストディ銀行)
運営管理機関(SBI証券)0円0円
合計額(税込)2,829円0円

SBI証券では、iDeCoへの新規加入時や移換時に2,829円の手数料が発生します。これはどの金融機関でもかかるコストなので、証券会社による差はありません。

運用の際にかかる手数料

手数料名口座管理手数料(加入者)口座管理手数料(運用指図者)
内容口座を維持・管理するための費用として毎月徴収される手数料運用を指図する際にかかる口座管理手数料
国民年金基金連合会105円
事務委託先金融機関(日本カストディ銀行)66円66円
運営管理機関(SBI証券)0円0円
合計額(税込)171円66円

申し込みにかかる手数料とは違い、上記の手数料は毎月かかるコストです。SBI証券ではいずれも0円に設定されていますが、国民年金基金連合会や日本カストディ銀行に支払う手数料として、毎月237円を負担する必要があります。

その他の手数料

手数料名給付事務手数料還付事務手数料移換時手数料または運営管理機関変更時手数料プラン変更手数料
内容年金を給付するたびに発生する手数料還付を受けるたびに発生する手数料他の金融機関への移換、または運営管理機関の変更時に発生する手数料プランを変更する際に発生する手数料
国民年金基金連合会1,048円
事務委託先金融機関(日本カストディ銀行)440円440円
運営管理機関(SBI証券)660円4,400円0円
合計額(税込)440円2,148円4,400円0円

SBI証券では、iDeCo口座を他の金融機関に変更する際や、還付を受ける際などに手数料が発生します。なお、オリジナルプランからセレクトプランに変更する場合は、手数料はかかりません。

iDeCoに入ったほうがよい人ってどんな人?

年齢や家計の状況、働き方などによって、iDeCoに加入するメリット・デメリットは大きく変わります。「加入すべき人」と「加入を見送ったほうがよい人」がいるため、iDeCoへの加入は慎重に判断しなければなりません。

具体的にどのような人が該当するのか、ここからはiDeCoに加入するべき人と見送ったほうがよい人を紹介します。

「今すぐにiDeCoを始めたほうがよい」のはこんな人!

今すぐにiDeCoを始めたほうがよい人は、公務員や会社員、自営業・フリーランスの方です。これらの人がなぜiDeCoを始めるべきなのか、具体的なメリットなどをわかりやすく解説します。

・1.公務員

公務員の方がiDeCoに加入するべき理由として、「退職金水準の引き下げ」と「iDeCoへの加入が可能になったこと」が挙げられます。

公務員の賃金は、民間との格差が広がらないように都度見直しが行われてきました。特に2012年以降は退職金水準を見直すための法律が成立したことで、退職金の段階的な引き下げが進められています(地方公務員も含む)。

人事院の調べによると、退職金の引き下げ前・引き下げ後の差額は約400万円です。公務員は副業に制限がかけられているため、この減額分を埋めるのは簡単ではありません。

この流れを受けて、2017年1月からは公務員でもiDeCoに加入できるようになりました。仮に22歳の方が上限額で掛金を積み立てると、60歳になる頃には547.2万円(1万2,000円×12ヵ月×38年間)の資産を形成できます。

もちろん公務員の方でも拠出時・運用時・給付時の税制優遇が適用されるので、退職金の減額分を取り戻す意味でも、iDeCoへの加入は検討すべきでしょう。

・2.会社員

経営者や自営業者らに比べると、会社員の方は節税手段が限られています。頼みの綱だった住宅ローン減税についても、少しずつ節税額が縮小される動きが見られるため、マイホームの購入も節税効果が薄まりつつあります。

厚生労働省の「就労条件調査」によると、1997年から2017年にかけてサラリーマンの退職金は1,000万円以上減っています。そのため、多くの方は充実した老後生活を送るために、何らかの資産形成が必要になるでしょう。

そこで利用を検討したいのが、今回紹介したiDeCoです。2022年10月からは同時加入要件が緩和されるため、勤め先が企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入している場合でも、従業員本人の意思でiDeCoに加入できるようになります。

ケース確定給付型年金毎月の掛金上限額
企業型DCとiDeCoの併用あり企業型DC:15,500円
iDeCo:12,000円
なし企業型DC:35,000円
iDeCo:20,000円
企業型DCのみ加入あり27,500円
(厚生年金基金に加入している場合も同様)
なし55,000円
iDeCoのみ加入あり企業型年金のみ実施:20,000円
厚生年金基金を実施:12,000円
なし23,000円

企業型DCの掛金は事業主が設定するため、勤め先によっては上限額が拠出されていないこともあります。このようなケースでは、企業型DCとiDeCoの併用によって資産形成をスピードアップできるかもしれません。

ただし、すでにマッチング拠出(※)が採用されている場合は、企業型DCとiDeCoの併用ができないので、まずは勤め先の状況を調べることから始めましょう。

(※)事業主の負担分とは別に、従業員が掛金を拠出する企業型DCの制度。

・3.自営業者やフリーランス

自営業者やフリーランスの方は、厚生年金や企業年金に加入することができません。つまり、老後に受け取れる公的年金は国民年金のみであり、年間の支給額は80万円ほどです。

また、自営業者やフリーランスには退職金がないため、収入がかなり多くないと老後資金を作るのは難しいといわれています。このことを踏まえると、少しでも早く資産形成を始めるべきです。

さまざまな職業の中でも、自営業者やフリーランスはiDeCoの掛金上限額が特に高く設定されています。毎月の上限額は6万8,000円なので、仮に30歳から上限額まで積み立てると、60歳までに2,448万円(6万8,000円×12ヵ月×30年間)を貯められます。

掛金はすべて所得控除の対象になるため、iDeCoを利用すれば毎年の税負担を抑えながら、効率的に老後資金を貯められるでしょう。

「iDeCoに加入するのはやめたほうがよいかも?」はこんな人!

一方、専業主婦や家計が不安定な人、20代の方などは、iDeCoへの加入を見送ったほうがよいことがあります。どのような理由で見送るべきなのか、わかりやすく解説します。

・1.専業主婦(主夫)

専業主婦の方がiDeCoに加入する際は、「本当に節税効果があるのか?」を慎重に判断する必要があります。

iDeCoの拠出時に適用される所得控除は、そもそも所得がない人には節税効果がありません。所得税や住民税は、年収が103万円以上の人にしか課されない仕組みになっているためです。

では、サラリーマンとして働く配偶者の給与からiDeCoの掛金を拠出する場合はどうでしょうか。このケースにおいても、所得控除の対象はあくまで加入者(専業主婦個人)となるので、年収がない限り節税効果を得られません。

そのため、専業主婦の方が老後資金を貯めるには、年収を増やすことが近道といえます。アルバイトやパートの年収が103万円を超えればiDeCoに加入する意義が生じるので、まずは節税面ではなく収入面を見直すとよいでしょう。

・2.目の前の家計が安定していない人(特に借金がある人)

目の前の家計が安定していない人は、iDeCoに加入すると生活をさらに圧迫するおそれがあります。

iDeCoで積み立てた資産は、原則として加入者が60歳になるまでは引き出せません。そのため、無理をして毎月の掛金を拠出すると、急な出費や減給などに対応できなくなることがあります。

特に借金を抱えている人は、余裕資金ができたら最優先で返済することが大切です。iDeCoの税制優遇は魅力ですが、そもそも掛金を拠出しなければ節税効果を得られません。また、ローンの利息は残高がなくなるまで発生するので、少しでも早く完済するべきです。

基本的に、iDeCoは余裕資金を使って60歳まで運用するものです。無理をしてお金を貯めるための制度ではないので、まずは家計を黒字に転換することを考えましょう。

・3.20代の人

20代の方も、iDeCoの掛金が大きな負担になる可能性があります。

特に毎月の手取りが20万円に達していない方は、掛金によって家計が圧迫されるでしょう。老後生活に向けた資産形成は30代になってからでも遅くはないので、今は自身のスキルや知識を磨いて、将来の年収を増やすことを考えましょう。

20代でも収入が高ければiDeCoに加入する意義がありますが、貯蓄が100万円に満たない方にはおすすめしません。貯蓄が少ない場合、引越しや結婚、自動車の購入などのイベントがあると、その貯蓄はすぐに尽きてしまいます。

年収アップやキャリアアップを含めると、20代の方にはさまざまな選択肢があるので、iDeCoへの加入を急ぐ必要はありません。

・4.年収が下がる可能性のある人

ライフイベント(出産や転職など)によって年収が下がる可能性がある場合は、iDeCoへの加入を一旦見送りましょう。iDeCoは積み立てを中断することもできますが、すぐに中断することになるなら加入を見送り、資金を手元に残しておくほうがよいでしょう。

また、健康面に問題があり、療養や休職を予定している人にもiDeCoをおすすめしません。将来が不安かもしれませんが、毎月の掛金を無理に拠出すると、入院費や治療費などを支払えなくなるおそれがあります。

年齢条件さえ満たしていれば、好きなタイミングでiDeCoに加入できます。手元の現金が減ることはあらゆるリスクにつながるので、将来年収が減りそうな人は無理をせず、余裕ができるまでは加入を見送りましょう。

中長期のライフプランを設計してから加入を検討しよう

iDeCoは節税メリットが大きく、拠出時・運用時・給付時のタイミングで税制優遇を受けられる制度です。運用状況にもよりますが、30代や40代のうちに加入しておけば、給付される頃にはまとまった老後資金を形成できます。

ただし、毎月の掛金を無理して拠出すると、日常生活や家計に支障をきたすこともあります。原則60歳になるまでは資産を引き出せない制度なので、中長期のライフプランを設計してから加入を検討しましょう。