IPO投資の成否は証券会社選びで決まる!おすすめ証券会社3+11選
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株式投資家はもちろん、「株式投資に興味はあるもののやったことがない」という方でも、一度は「IPOは勝てる」「IPOは儲かる」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

IPOは株式新規公開のことで、IPOをした銘柄は「新規公開株」「IPO株」などと呼ばれます。IPO株は株式市場のニューフェイスだけに注目を浴びやすく、それゆえに短期的な株価の上昇によって利益を出しやすいといわれています。利益を出しやすいためIPO株を買いたいと思う人は非常に多く、抽選に当選しないと購入できないこともしばしばです。

この抽選を勝ち抜くために重要になのが、証券会社選びです。なぜなら、証券会社によってIPO株の抽選方法などが異なるからです。当選確率を高めるためには証券会社を深く知り、吟味する必要があります。

そこで当記事ではIPOで利益を上げたい方に向けて、各証券会社の取り組みや当選しやすい証券会社を選ぶ方法などについて解説します。

目次

  1. IPOとは
  2. IPO投資に適した証券会社の選び方
  3. IPO投資におすすめの証券会社
  4. その他IPO投資ができる証券会社
  5. まとめ

IPOとは

IPOは「Initial Public Offering」の頭文字を取った略語で、新規株式公開を意味します。株式を証券取引所に上場すると、企業にとって資金調達だけでなく知名度の向上、ひいては優秀な人材の確保など、多くのメリットがあります。ただし、新規上場するには厳しい上場基準をクリアしなければなりません。

一方で見方を変えると、IPOをする企業は厳しい上場基準をクリアするだけの勢いや実績があるといえ、将来有望な企業とも言えます。そのため、必然的に投資家からの注目度も高くなり、短期的には株価が上昇しやすいとされています。

IPO投資に適した証券会社の選び方

IPO株に投資するには、証券会社の口座が必要です。すでに株式投資を行っている方は証券会社の口座をお持ちだと思いますが、その証券会社がIPOに力を入れているとは限らないので、IPO投資を始めるために新たな証券口座を開設する必要があるかもしれません。

例えば、主要証券会社はほとんどがIPO株を取り扱っていますが、応募が多かった場合の抽選方法、当たりやすくなる仕組み、事前に買付資金が必要になるか否かといった条件などは異なります。

IPO投資を検討している方にも事情や意向があると思いますので、ここでは自分に合う証券会社の選び方を解説します。

主幹事件数で選ぶ

企業が新規で株式を上場するにあたって、さまざまな手続きや審査などで中心的な役割を担う証券会社が必要になります。この証券会社は「主幹事会社」と呼ばれます。主幹事会社は他の証券会社よりも多くのIPO株が割り当てられるため、主幹事を務める証券会社の口座からIPO株の購入を申し込むと、当選確率が高くなります。

公正取引委員会が発表したデータによると、2020年の主幹事引受実績は以下のとおりです。

順位証券会社名主幹事引受件数
1位野村證券22件
2位みずほ証券21件
3位SMBC日興証券14件
3位SBI証券14件
5位大和証券12件
6位いちよし証券5件
7位三菱UFJモルガンスタンレー証券2件
8位エイチ・エス証券1件
8位東海東京証券1件

これを見ると、やはり伝統的な大手証券会社が多くのIPO案件で主幹事を務めていることがわかります。中でも注目したいのは、ネット証券大手のSBI証券が3位にランクインし、14件のIPOで主幹事を務めていることです。主幹事の件数が多い証券会社で選ぶのであれば上記の10社、中でも上位で年間2桁の主幹事引受実績がある証券会社から選ぶのがよいでしょう。

ただし、主幹事引受実績だけを見て証券会社を選ぶのは早計です。主幹事引受実績が多いからといってIPOの取扱実績が多いとは限らず、伝統的な証券会社であってもネット証券より少ないところもあります。その証券会社の主幹事引受実績に加えて、後述の取扱実績なども含めて、投資家にとってのメリットが厚いかどうか確認しておきましょう。

取扱銘柄数で選ぶ

IPO株は証券会社であればどこでも買えるわけではなく、買えるのはその証券会社が取り扱っている銘柄のみです。つまり、IPO取扱銘柄数が多い証券会社ほど、IPO株を購入できるチャンスが多いことになります。

その意味でおすすめしたいのは、SBI証券です。前項の主幹事引受実績においても堂々の実績を誇り、IPO取扱件数についても同業他社よりも豊富な実績があるため、「IPOに強いネット証券」といえるでしょう。2020年は85社ものIPOを取り扱っており、これは大手証券会社並みの水準です。

後述しますが、SBI証券はIPO抽選に外れても次回以降当選しやすくなるポイント制度もあるので、取扱銘柄数以外の部分を加味してもおすすめです。

抽選方法で選ぶ

IPO株を購入するには抽選に当選する必要がありますが、抽選にはいくつかの方法があります。

最もシンプルなのが完全平等抽選で、口座利用者の資産残高や取引実績などにかかわらず申込者1人に対して1口ずつ割り当てられて抽選が行われます。この方法だと、初めてIPOの抽選に申し込んだ人や、資金がそれほど多くない人が不利になることがないため、特に初心者や投資資金が少ないにおすすめです。

その他、ステージ別に優遇制度を設けたり、店頭配分といってネット以外の方法で配分したりする証券会社もあります。このような証券会社では、資金量が多い人や取引実績が豊富な人のほうが、IPO投資においても有利になる傾向があります。

完全平等抽選を採用している証券会社はいくつかありますが、ステージ別に抽選回数が変動するといったことがなく、IPO株の全数において完全に平等で抽選を行っている証券会社でIPO抽選に参加したい場合は、マネックス証券がおすすめです。

口座数で選ぶ

口座数はそれぞれの証券会社の顧客数を表しているので、多いほど大手の証券会社といえます。ただし、大手ゆえの安心感を求めるのであれば口座数が多い証券会社を選ぶべきですが、IPO投資の場合は少々事情が変わります。顧客数が多いほどIPO株に申し込む人が多く、競争相手が増えるからです。

一般的に大手証券会社はIPO取扱銘柄数も多いため、その視点で証券会社を選ぶならマネックス証券や岡三オンライン、DMM.com証券(DMM株)、LINE証券、GMOクリック証券などが有力候補になるでしょう。

業歴が長い証券会社は、口座数が多くなります。一方で、後発の証券会社やサービスを開始してそれほど経っていないネット専業の証券会社の中には、まだ口座数があまり多くない(つまり競争相手が少ない)ところもあるので、このような証券会社は狙い目かもしれません。

申込金なしで選ぶ

IPO株を購入するには、買付代金が必要です。しかし、その買付代金がいつ必要になるのかは証券会社の対応が分かれています。SBI証券やマネックス証券などの証券会社では、IPOの抽選に申し込む段階で、当選した場合の買付代金(前受金)を口座に用意しておく必要があります。

一方、野村證券や岡三インライン、松井証券などは前受金を用意する必要はなく、買付代金が必要になるのは当選した後です。

IPO投資で当選確率を高くするため手法のひとつに、「複数の証券会社から申し込む」というものがあります。この手法を実践しようと思ったとき、前受金が必要な証券会社ばかりだと多額の前受金が必要になるため、資金に余裕のない人には少しハードルが高くなってしまいます。

一方、前受金が不要な証券会社であれば、どれだけIPOの抽選に申し込んでもその時点でお金が必要になるわけではないので、資金不要で抽選口数を増やし、当選確率を高くすることができます。

人気の高い企業のIPOほど株価の上昇が期待できるため、IPO株の抽選倍率も高くなります。1社だけに申し込むのではなく、複数の証券会社に口座を持ち、それぞれの口座からIPOの抽選に申し込むのが当選確率を高くする最も有効な方法なので、そのためにも前受金が不要な証券会社を確認しておくべきです。

NISA対応で選ぶ

株式投資で得られた売却益には20.315%の税金がかかります。もちろん、IPO投資で得られた利益も課税対象です。

IPO投資では、数百万円規模の利益を得ることもあるので、利益の額が大きくなればなるほど税金のインパクトも大きくなります。仮に100万円の利益を出すことができたとしても約20万円が税金として差し引かれます。しかし、一定条件のもとで、株式投資で得た利益を非課税で受け取る方法があります。

それは、「NISA」制度を利用する方法です。NISAには一般NISAとつみたてNISAがありますが、IPO投資に使えるのは一般NISAです。一般NISAでは年間120万円までの非課税投資枠があり、それを最長5年間利用することができます。120万円までの投資から得た利益は非課税になります。

NISAは、2024年から新制度に移行します。2024年以降は非課税投資枠が1階部分と2階部に分けられ、IPO株への投資は2階部分で行います。2階部分の非課税投資枠は102万円と若干少なくなりますが、それでもお得感はかなり大きいでしょう。そのため、証券会社選びでは「NISA口座でIPO投資ができるかどうか」をチェックしておくことも重要です。

ただ、たいていの主要証券会社ではNISA制度を利用してIPO投資ができるので、証券会社によってIPO投資が不利になることはないかもしれません。それでも税金が気になる方は、念のためにも口座開設を検討している証券会社のNISA口座から、IPO株を購入できるかチェックしておきましょう。

IPO投資におすすめの証券会社

IPO投資に適しているおすすめの証券会社として、当記事ではSBI証券、マネックス証券、岡三オンラインの3社をピックアップしました。この3社はいずれもIPOに力を入れていますが、それぞれに特色があります。

SBI証券は、IPO取扱銘柄数や主幹事引受実績においてネット証券の中でも群を抜いています。マネックス証券のIPOは完全平等抽選であり、口座数が少ないのでライバルも少ないといえます。

複数の証券会社からIPO抽選に申し込むと、それぞれの証券会社の強みを生かすことができます。

SBI証券

SBI証券は、総合金融グループであるSBIグループの証券会社です。同グループは、2021年12月に旧長銀の流れを汲む新生銀行を買収したことでも知られています。ネット証券大手の中でも有力で、口座数は2021年3月末時点で603万口座に上ります。この口座数だけを見ても、大手証券会社に引けを取らない規模であることがわかります。

手数料体系を見ても、値下げ競争が激しい証券業界において最安水準をキープしているため、今後手数料の値下げ競争が激しくなったとしても、常に最安水準であり続けることが期待できます。25歳以下の人は国内株式現物の取引手数料が無料になるのも、ユニークな取り組みです。

近年人気が高まっている米国株への対応にも積極的で、米国のETF(上場投資信託)の自動買付サービスなども提供しています。また、クレジットカード決済で積立投資ができるなど、常にユニークなサービスを先駆的に導入している証券会社です。

IPO取扱銘柄数(2020年)85社
抽選方法完全抽選とIPOポイント制度
主幹事引受実績14件
事前入金必要
口座数603万口座
NISA対応対応可

・ SBI証券のIPO実績

SBI証券はネット証券大手として有名ですが、ネット証券の中でも特にIPOに力を入れていることでも知られています。2020年の主幹事引受実績は14件 で、順位は大手証券会社と同レベルであり、ネット証券ではトップの実績です。

IPO取扱銘柄数も多く、2020年は85社ものIPO銘柄を取り扱いました。この数字はネット証券だけでなく証券業界全体でもトップクラスなので、IPO投資を考えるのであれば口座を持っておくべき証券会社の筆頭格といえるでしょう。

IPO抽選に外れた時に「IPOチャレンジポイント」というポイントが付与され、これを貯めることで次回以降のIPO抽選で当選しやすくなる仕組みがあり、これはSBI証券が「IPOに強い」といわれるゆえんでもあります。

・ SBI証券の抽選方法

SBI証券のIPO抽選方法は、「完全抽選」と「IPOチャレンジポイント」の2本立てです。それ以外にも裁量配分などがありますが、個人投資家が利用できるのはこの2つと考えてよいでしょう。

SBI証券のIPOは完全抽選ですが、買付申込数に応じて口数が決まるため、買付を希望する株数が多く、そのための前受金を多く入れている人が有利になる仕組みになっています。そのため、「より多くの資金を入れてIPOに申し込む」というのが攻略法の一つです。

SBI証券のIPOで外せないのが「IPOチャレンジポイント」です。IPO抽選に申し込んで外れた際に1ポイントずつ貯まり、それを貯めてから改めてIPO抽選に申し込むと、多くのポイントを使用した人から順にIPOチャレンジポイント枠として用意されているIPO株が割り当てられます。

マネックス証券

SBI証券と同じくネット証券大手として知られるマネックス証券も、IPOに力を入れている証券会社で。ネット証券の多くは取扱商品の豊富さを売りにしていますが、マネックス証券も米国株など海外株式の取扱銘柄が多く、多くの国や投資先に資金を分散させたい投資家からも支持されています。

IPOについても十分な実績があり、2020年のIPO取扱銘柄数は55社でした。また、IPOの抽選方法に「完全平等抽選」を採用しているため、初めてIPO投資にチャレンジする方でも不利になることはありません。

ネット証券大手でありながら、「IPOに強い」とされる他の証券会社と比べると口座数が少ないため、IPO抽選のライバルも少ないといえます。そのため、IPO投資に詳しい方たちからは穴場の証券会社とも目されています。

IPO取扱銘柄数(2020年)55社
抽選方法完全平等抽選
主幹事引受実績なし
事前入金必要
口座数217万口座
NISA対応対応可

・マネックス証券のIPO実績

マネックス証券の2020年のIPO実績は55社、2021年は65社でした。主幹事引受実績はありませんが、それでも伝統的な証券会社が中心的役割を果たすことが多いIPOにおいて、マネックス証券のIPO実績は遜色がないといえます。しかも2020年と2021年を比較するとIPO取扱銘柄数が増加しているので、今後の取扱銘柄数の増加にも期待できます。

・マネックス証券の抽選方法

マネックス証券のIPO抽選は、「完全平等抽選」です。口座残高の多寡やIPOの買付申込株数、これまでの取引実績などによって抽選が有利になるといったことはなく、誰もが平等に抽選に参加できます。

これからIPO投資を始めたい方、株式投資自体が初めての方は、まだ証券会社との取引実績がありません。資金についても最初から多額の資金を投入することはおすすめできないので、「少額から始めよう」と考えている方は多いでしょう。そのような方でもマネックス証券のIPO抽選なら不利にならずに済むので、「まずは抽選んい参加してみたい」という方にもおすすめです。

「IPOに強い」とされる他の証券会社と比べると、マネックス証券は口座数が若干少ないことも注目すべきポイントです。完全平等抽選を採用しているだけに、ライバルが少ないことは非常に大きな意味を持ちます。

岡三オンライン

2022年1月1日に、それまであった「岡三オンライン証券」が同じグループの証券会社である岡三証券と合併し、誕生したのが現在の岡三オンラインで、岡三証券のオンライン部門という位置付けです。

岡三証券のオンライン部門ということでネット証券のメリットを享受しやすく、それでいて同じグループである岡三証券の総合力も享受できるため、従来型の証券会社とネット証券の「いいとこ取り」ができる証券会社といえるでしょう。

そのメリットは手数料体系にも表れていて、岡三オンラインの「定額プラン」では100万円までの現物取引の手数料は無料です。最低取引額が100万円以下で買える銘柄は多いので、この手数料体系は非常に魅力的です。

現物取引とは?

株式や債券などの有価証券を時価に応じて売買代金の全額を支払って取引することを現物取引といいます。それに対して資金の数倍の取引ができ、さらに保有していない株式を借りて売ることができる取引を信用取引といいます。

IPO取扱銘柄数(2020年)45社
抽選方法完全平等抽選(ステージによって抽選回数は変わる)
主幹事引受実績なし
事前入金不要
口座数505万口座
NISA対応対応可

・岡三オンラインのIPO実績

2020年の岡三オンラインのIPO実績は45社でした。他のネット証券と比較しても、遜色のない取扱銘柄数です。同年の主幹事引受実績はありませんが、前受金が不要であることは大きな特徴です。

前受金とは、IPO株の買付を申し込むとき、その株を購入するために事前に証券口座に入れておかなければならない資金のことで、証券会社によってはIPO抽選に申し込む際に前受金が必要になります。岡三オンラインは前受金が不要で、IPO抽選に当選して買付の意思表示をする時までに資金を用意すれば問題ありません。

当選確率を高くするために複数の証券会社からIPO抽選に申し込むのは有効な戦術ですが、各証券会社で前受金を入れるとなると多額の資金が必要になります。岡三オンラインは前受金が不要なので、応募口数を増やして当選確率を高くするためにも持っておきたい口座といえます。

・岡三オンラインの抽選方法

岡三オンラインのIPO抽選は「完全平等抽選」ですが、口座利用者の利用状況によってステージ分けされており、ステージによって抽選に参加できる回数が変わります。それぞれのステージ分類とステージの判定基準は、以下のとおりです。

ステージの種類ステージ判定基準
ステージS判定期間中に
・「プレミアゼロ」「プラチナ」が適用されている
・手数料の合計が100万円以上
ステージA判定期間中の手数料合計が10万円以上100万円未満
ステージB判定期間中の手数料合計が10万円未満

「ステージS」の人は抽選回数が3回、「ステージA」は2回、「ステージB」は1回です。1回目の抽選は「ステージS」の人から順に行われるため、ステージが高い人ほど当選口数が多い有利な状況で抽選に参加することができます。「ステージS」の人が1回目の抽選に外れても2回目、3回目に参加でき、「ステージA」の人は2回目の抽選から参加でき、外れても3回目に参加できます。

その他IPO投資ができる証券会社

IPO投資ではIPO抽選に当選する必要があるため、そのための証券会社選びは「IPOに強い証券会社であること」が前提になります。しかし、IPOに強い証券会社はSBI証券、マネックス証券、岡三オンラインだけではありません。

他にもIPO投資に強い証券会社はたくさんあるので、前章の証券会社で口座を開設しつつ、さらに当選確率を高くするために、ここで紹介する証券会社の口座も併用することをおすすめします。

野村證券

名実ともに日本を代表する証券会社で、その実績やスケールメリットもあってIPOの主幹事引受実績が豊富なのが大きな特徴です。2020年のIPO主幹事引受実績は22社に上り、全証券会社の中でトップです。主幹事会社になると、非常に多くのIPO株が割り当てられます。抽選のライバルは少なくありませんがIPOで売り出される株数も多いので、IPO投資のために野村證券の口座も持っておくとよいでしょう。

IPO取扱銘柄数(2020年)41社
抽選方法完全平等抽選
主幹事引受実績22社
事前入金不要
口座数536万口座
NISA対応対応可

SMBC日興証券

SMBC日興証券は、三井住友銀行と同じSMBCグループの大手証券会社です。大手証券会社ということもあって多くのIPOの主幹事引受実績があり、2020年は14社の主幹事となっています。これは、全証券会社の中で第3位です。主幹事を引き受けると割り当てられるIPO株数が非常に多くなるため、その分IPO抽選で有利になります。

SMBC日興証券では、IPOの申込株数は1単元までと定められているため、例えば大量の注文を出す人が有利になるといったことがありません。

抽選は「ステージ別」で行われます。口座利用者の資産残高もしくは信用取引の建玉金額によってステージが変わり、これらの金額が大きい人ほど抽選口数が多くなる仕組みになっています。

IPO取扱銘柄数(2021年)81社
抽選方法ステージ別抽選(4段階)
主幹事引受実績14社
事前入金必要
口座数342万5,000口座
NISA対応対応可

松井証券

創業から100年以上が経過している老舗証券会社でありながら、新興ネット証券と肩を並べるようなサービスを意欲的に展開していることで知られる証券会社です。1日50万円までの現物取引手数料を無料にしたことでも話題になりました。

松井証券のIPOでは事前の前受金が必要ないため、IPOへの申込口座数を増やして当選確率を高めたい方にも利用しやすい条件といえます。抽選方法は完全平等抽選なので、前受金が不要であることも相まって、資金が少額であってもコスト不要でIPOの当選確率を高めることができます。

IPO取扱銘柄数(2020年)18社
抽選方法完全平等抽選
主幹事引受実績なし
事前入金不要
口座数126万5,000口座
NISA対応対応可

大和証券

大手証券会社の一角を成し、2020年のIPOにおいても12社の主幹事を務めるなど、IPOでも大きな存在感を放っている証券会社です。同年のIPO取扱銘柄数は43社と、こちらも十分な実績を誇っています。

ネット経由で個人投資家に配分される株数は10%とあまり多くありませんが、大和証券が主幹事を務めるIPO案件であれば割当株数が多くなるので、かなり当選しやすくなるでしょう。

総合証券会社なので幅広い金融商品を取り扱っており、IPO以外の投資に使う場合でも利用価値の高い証券会社といえます。大和証券が主幹事を務めるIPO案件だけでも申し込む価値があるので、その時のためにも開設しておきたい口座です。

IPO取扱銘柄数(2020年)43社
抽選方法完全平等抽選
主幹事引受実績12社
事前入金必要
口座数302万4,000口座
NISA対応対応可

楽天証券

大手ITグループである楽天グループ傘下のネット証券として、SBI証券と比較されることが多い証券会社です。口座数が非常に多いためIPO抽選ではライバルが多くなりやすいですが、IPOの取り扱いに力を入れており、IPO取扱銘柄数は年々増加しています。

楽天証券はネット証券なので、ネット向けの配分は100%です。抽選方式は1単元あたり1票なので、3単元を申し込んだ人は抽選口数が3票になります。申込口数が多くなるほど当選しやすくなる仕組みですが、IPO銘柄ごとに購入の上限が決められており、資金力のある人が有利になりすぎないようになっています。

IPO取扱銘柄数(2020年)38社
抽選方法1単元=1票の平等抽選
主幹事引受実績なし
事前入金必要
口座数2021年12月に700万口座突破
NISA対応不可

auカブコム証券

auカブコム証券は、その名のとおり大手携帯キャリアのauを展開するKDDIが資本参加している証券会社です。また、三菱UFJグループの証券会社でもあります。

新興の証券会社ではありますが、三菱UFJグループの流れを汲んでいます。グループ全体の能力としてみるとauカブコム証券はIPO投資において見逃せない存在です。

IPO取扱銘柄数(2020年)19社
抽選方法完全平等抽選
主幹事引受実績2社(三菱UFJモルガンスタンレー証券の実績)
事前入金必要
口座数138万8,000口座
NISA対応対応可

GMOクリック証券

IT系および金融系のサービスを展開するGMOグループの証券会社であるGMOクリック証券は、非常に幅広い商品を取り扱っていることで知られ、IT企業のグループ会社らしく取引ツールも充実しています。

2020年の実績を見るとわかりますが、GMOクリック証券はそれほど多くのIPO銘柄を取り扱っているわけではなく、また同年に主幹事を務めた実績もありません。2020年にIPOを手がけた「GMOペパポ株式会社」「GMOフィナンシャルゲート株式会社」は、いずれもGMOグループの企業です。

GMOクリック証券は頻繁にIPOを手がけているわけではないため、逆に考えるとGMOクリック証券がIPO株を売り出す時は穴場になる可能性が高いです。抽選方法は「完全平等抽選」なので、初心者や資金が少ない人が不利になることがなく、口座数もそれほど多くないためライバルも多くありません。チャンスが年に数回しかないことからIPO投資のためにGMOクリック証券に口座を持っている人は少ないと考えられるため、当選確率は比較的高いかもしれません。

IPO取扱銘柄数(2020年)2社
抽選方法完全平等抽選
主幹事引受実績なし
事前入金必要
口座数48万4,000口座
NISA対応対応可

岩井コスモ証券

岩井コスモ証券は旧岩井証券と旧コスモ証券が2021年に合併して誕生した、比較的新しい証券会社です。しかしながら、前身となった2社はいずれも100年以上前に創業しています。

2020年のIPO取扱銘柄数は39社です。その前年が34社なので、徐々に取扱銘柄数は増えており、IPOにおいても存在感を増しています。IPO取扱銘柄数の割に口座数がそれほど多くないため、複数の証券会社からIPOに申し込む際の1社に加える価値はあるでしょう。

IPO取扱銘柄数(2020年)39社
抽選方法完全平等抽選
主幹事引受実績なし
事前入金必要
口座数41万口座
NISA対応対応可

LINE証券

日本を代表する証券会社である野村證券と、無料メッセージアプリ「LINE」のグループ企業が共同出資して誕生した、比較的新しい証券会社です。野村證券にとってはネット証券部門のような位置付けなので、新興ネット証券でありながら野村證券のスケールメリットを生かせるのがメリットです。

IPO投資において大きなメリットといえるのが、野村證券の豊富なIPO主幹事引受実績です。2020年には22社の主幹事を務め、同年の引受数ではトップです。LINE証券自体も2021年に11社のIPOを手がけており、今後さらに注力する可能性があります。

IPO取扱銘柄数(2021年)11社
抽選方法完全平等抽選(野村證券に準ずる)
主幹事引受実績22社(野村證券の実績)
事前入金必要
口座数詳細不明(2021年11月に100万口座を突破)
NISA対応不明

PayPay証券

PayPay証券は、ソフトバンクグループとみずほフィナンシャルグループの共同出資で設立されたネット証券です。

PayPay証券のIPOで特筆すべきは、「誰でもIPO!」という1株から申し込めるIPO専用アプリです。このアプリを利用してIPOを申し込むと、通常は100株単位であるところを1株単位で購入できるようになります。事前にIPO株を購入するための資金を用意する必要がありますが、「誰でもIPO!」を利用するのであれば必ずしも100株分の資金が必要になるわけではないので、気軽に参加できます。

購入単位が小さくなっているため、PayPay証券のIPO抽選は多くの人に当たりやすいと考えられます。

IPO取扱銘柄数(2018年)1社
抽選方法完全平等抽選
主幹事引受実績なし
事前入金必要
口座数4万口座
NISA対応NISA口座がない

SBIネオトレード証券

SBIネオトレード証券は、総合的な金融サービスを展開するSBIグループの証券会社で、かつては「ライブスター証券」という名称でした。スケールメリットのあるSBIグループの証券会社になったことでIPOの取扱件数が増えていますが、まだ口座数が少ないため穴場かもしれません。

IPO取扱銘柄数(2020年)7社
抽選方法ステージ別抽選(5段階)
主幹事引受実績なし
事前入金不要
口座数不明
NISA対応対応可

まとめ

勝率が8割程度とされるIPO投資は、抽選に当選してIPO株を購入することができれば利益を得られる可能性が高いため、株式投資家のみながらず多くの人から人気を集めています。そのため競争率は高くなりますが、宝くじのようなものと捉えて申し込む価値は大いにあるでしょう。

証券会社で口座を開設するのにお金はかかりませんし、前受金が必要な証券会社でもIPO抽選で落選すればお金は全額戻ります。前受金が不要な証券会社もあるので、より多くの証券会社で口座を開設して当選確率を高めて、IPO投資にチャレンジしてはいかがでしょうか。