2022年の値上げラッシュが家計を直撃!今すぐ考えたい3つのインフレ対策
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2021年に始まった値上げラッシュによって、家計は大きなダメージを受けています。特に公共料金やガソリン、小麦などの値上げは生活に直接影響するため、頭を抱えている方は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、値上げラッシュの現状を分かりやすくまとめました。

目次

  1. 値上げラッシュが家計を直撃!最近の事例
  2. 高齢者の医療費や火災保険料も値上げ対象に
  3. このままインフレが進むとどうなる?
  4. 今すぐ考えたいインフレ対策3選
  5. インフレに強い投資商品とは?おすすめの投資法
  6. 不動産投資は効果的?REITとの違い
  7. インフレに強い個別銘柄の見分け方
  8. インフレ対策は早めに取り組むことが重要

値上げラッシュが家計を直撃!最近の事例

2022年に入ってからも、大手企業を中心にさまざまな商品・サービスの値上げが続いています。まずは最近の事例の中で、生活に大きく影響する値上げ品目をチェックしていきましょう。

電気料金の値上げ

東京電力を始めとする大手電力会社は2022年3月からの値上げを発表しました。2021年3月の平均的な電気料金を基準にすると、値上げ幅は1ヵ月あたり2,000円程度とされています。

この値上げの背景には、世界的に深刻化している原油などのエネルギー資源価格の高騰があります。日本は火力発電の割合が大きいため、エネルギー資源価格の上昇による影響は避けられません。

さらに、2022年3月からはロシアによるウクライナ侵攻の影響で、天然ガスの価格が高騰しています。天然ガスの価格はしばらく下落しないと予想されているので、日本の電気料金もすぐに値下げされる可能性は低いでしょう。

ガソリンの値上げ

原油価格が高騰している影響で、2020年5月からはガソリンの値上げも続いています。

時期(3ヵ月ごと)レギュラー価格ハイオク価格軽油価格
2020年5月125.7円136.7円107.0円
2020年8月135.2円146.1円115.7円
2020年11月133.1円143.9円113.9円
2021年2月140.9円151.8円121.3円
2021年5月151.9円162.7円132.0円
2021年8月158.3円169.1円138.2円
2021年11月168.8円179.6円148.6円
2022年2月171.9円182.7円151.6円
※ガソリン価格は1リットルあたりの金額
参考:新電力ネット「統計情報 ガソリン価格」

2020年5月~2022年2月の価格推移を見ると、レギュラーガソリンの価格は1リットルあたり45円ほど上昇しています。特に自家用車を使っている方は、この値上げが大きな負担になるでしょう。

小麦を使った食品の値上げ

2022年3月、農林水産省は輸入小麦の政府売渡価格の引き上げを発表しました。主な小麦の価格が平均17.3%引き上げられることで、さまざまな食品の値上げが懸念されています。

値上げが懸念される主な食品類
・ラーメンなどの麺製品
・小麦を使ったパン
・スナック菓子 など

日本は小麦の90%を輸入に頼っているため、政府売渡価格の引き上げによる影響はしばらく続くと予想されます。ウクライナ情勢の影響でロシアの小麦の輸出が規制されていることも、消費者にとっては懸念材料でしょう。

小麦はさまざまな食品・料理に使用されるので、どの家庭にも少なからず影響が生じます。

高齢者の医療費や火災保険料も値上げ対象に

2022年の値上げ対象には、「高齢者の医療費」や「火災保険料」も含まれます。

これまで75歳以上の高齢者については、後期高齢者医療費の適用によって窓口負担が原則1割でした(現役並みの所得がある場合を除く)。しかし、2022年10月からは適用される年収のラインが引き下げられ、さらに窓口負担も2割に増額されます。

年収従来制度の窓口負担新制度の窓口負担
200万円未満1割1割
383万円未満1割2割(320万円以上から)
383万円以上3割3割

火災保険料についても、損害保険料率算出機構が2022年10月からの値上げを発表しています。火災保険料は直近4年間で3回の値上げが実施されており、今回は全国平均で10.9%の値上げ(過去最大)が予定されています。

高齢者がいる世帯やマイホームを持つ家庭にとって、これらの値上げは非常に深刻です。毎月の支出が増えるので、家計に余裕がない場合は早めの対策が必要になるでしょう。

このままインフレが進むとどうなる?

インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの価値が上がることです。

インフレが進むと為替は円安方向に動きやすくなるため、日本円の価値がどんどん下がっていきます。それでも収入が増えれば問題ありませんが、日本の平均年収は「30年前から変わらない」といわれています。

つまり、現在のインフレでは生活が苦しくなる一方であり、海外から見ると日本人の資産価値は減り続けています。その証拠に、2021年2月からはドル円が上昇を続けており、翌年4月にはついに1ドル=129円を突破しました。

このまま資産価値を減らしたくない方は早急な対策が必要です。

今すぐ考えたいインフレ対策3選

インフレから自分の資産を守るためには、以下の対策を考える必要があります。

(1)固定費の削減
(2)変動費の削減
(3)投資商品の運用(投資)

具体的にどのような対策を取るべきなのか、以下で分かりやすく解説します。

(1)固定費の削減

「固定費の削減」は、手っ取り早いインフレ対策といえます。最近は公共料金やガソリン価格が値上げされているため、固定費を見直すだけで家計の負担は大きく抑えられます。

ただし、固定費にも削減できるものとできないものがあるため、まずは以下の支出を優先的に見直しましょう。

優先的に見直すべき固定費削減する方法
公共料金電気代やガス代、水道代など。特に電気代やガス代は、加入先やプランの調整によって削減できる可能性がある。
保険料公的保障で事足りる範囲は、重複しないように解約を考える。家計が苦しい場合は、月々の負担が少ない掛け捨てタイプへの切り替えも効果的。
通信料(携帯電話)格安SIMや格安プランへの切り替えを考える。家庭によっては、パソコンや電話などの通信料も見直す必要がある。
サブスククレジットカードの明細書などを確認し、ほとんど利用していないサービスは解約する。

いつの間にか無駄な支出になっている固定費があるため、すべての支出を細かく確認する必要があります。

また、生活習慣を見直すだけで削減できる固定費(公共料金など)もあるので、必要に応じて生活スタイルを変えることも検討しましょう。

(2)変動費の削減

固定費を見直したら、次は変動費の削減にも取り組みましょう。削減しやすい変動費としては、以下の変動費が挙げられます。

削減しやすい変動費削減する方法
食費外食の機会を減らすだけでなく、日頃のメニューを工夫することでも削減できる。例えば、小麦を使う料理や食品を避ければ、値上げによる影響を受けにくい。
交通費自家用車をよく使用する場合は、可能な範囲で徒歩や自転車に切り替える。走行距離や経路によっては、電車移動に切り替えるのも効果的。
医療費ジェネリック医薬品を購入する。家族も含めて年間の医療費が10万円を超える場合は、医療費控除を申請する方法もある。
日用品必要な日用品にリストアップし、無駄なものを買わないようにする。洗剤やシャンプーなどは、余った容器を使って詰め替え用のものを購入する。
交際費割引券や金券、回数券などをうまく活用する。株式投資をしている場合は、株主優待を狙う方法も効果的。

変動費は生活に影響を与えるため、慎重に見直すことが大切です。とにかく削減することだけに目が向くと、大きなストレスを抱える恐れがあるので注意しましょう。

2022年の値上げ品目に含まれるガソリン代や小麦(食費)は、優先的に見直す必要があります。工夫次第で値上げの影響を抑えられるため、細かい生活習慣まで見直すことを検討しましょう。

(3)投資商品の運用

固定費・変動費を見直しても家計が苦しい場合は、投資商品の運用を考えましょう。投資できる資金が少なくても、方法次第では大きな利益を生み出せる可能性があります。

また、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を利用すれば、節税をしながら老後資金などを貯められます。

多くの証券証券がNISAやiDeCoを取り扱っているため、口座開設のハードルもそれほど高くありません。証券会社によっては、毎月数百円から積立投資ができるサービスも提供しています。

初心者向けのサポートも充実しているので、家計に悩みを抱えている方はぜひ資産運用を検討しましょう。

インフレに強い投資商品とは?おすすめの投資法

投資商品はバリエーションが豊富であり、インフレに強いものから弱いものまで存在します。ここでは今の時代に考えたい投資として、インフレに強い4つの投資商品を紹介します。

(1)株式投資

インフレによって保有している日本円の資産価値が下がるため、インフレ率よりもリターンが大きい株式を保有できているとインフレ対策になります。

インフレ率が2%台だった場合は、株式が3%以上の値上がり、または年間の配当利回りが3%以上あると、資産価値は上がっているといえます。

また、株主優待によって日々の固定費・変動費を削減できることも、株式投資ならではのメリットです。例えば、JR西日本グループは1単元(100株)以上を保有する株主に対して、鉄道料金が50%割引になる優待券を発行しています。

おすすめポイント
・インフレが進むほど価値が上昇しやすい
・株主優待によって生活費を削減できる
・一般NISAの対象商品に含まれている

ただし、株式は値動きが比較的激しいため、ハイリスクな金融商品といえます。インフレに強くない銘柄も存在するので、取引の前には情報収集や分析を徹底的に行いましょう。

(2)外貨投資

外貨投資は円を外貨に換えて預金したり、外貨建ての資産を購入したりする投資法です。外貨建ての資産には円安が進むほど価値が上昇する特性があるため、外貨投資は代表的なインフレ対策として知られています。

多くの外貨は日本円よりも金利が高いので、保有しているだけで利益が発生します。中でも「高金利通貨」と呼ばれる以下の外貨は、世界的に見ても金利が高めに設定されています。

代表的な高金利通貨と金利
・トリコリラ:年間14.00%
・メキシコペソ:年間6.50%
・南アフリカランド:年間4.25%

(※)上記はいずれも2022年4月時点の政策金利

ただし、外貨は日本円より不安定なものも多いため、リスク管理を徹底しなければなりません。特に政情不安やテロなど、日本ではあまり見られないカントリーリスクには細心の注意を払いましょう。

おすすめポイント
・インフレが進むほど資産が増える
・保有しているだけで金利を受け取れる
・年間5%以上の金利が発生する外貨もある

(3)金・プラチナ

金やプラチナなどの貴金属は、世界中の地域で現物資産として認識されているため、インフレが起こっても価値が下落しにくいといわれています。

金・プラチナと聞くと現物取引をイメージするかもしれませんが、最近ではネット上で取引できるサービスも増えています。例えば、大手ネット証券のSBI証券では、毎月1,000円といった少額から純金の積立投資ができます。

おすすめポイント
・手堅いインフレ対策になる
・無価値になるリスクがほとんどない
・証券会社によっては少額の積立サービスを利用できる

ただし、貴金属には配当金や分配金がないため、インカムゲインを受け取ることはできません。基本的には価格が安い時に購入し、高くなってから売却する「売買益」のみが狙える利益となります。

どうしてもインカムゲインを受け取りたい方は、貴金属に投資する投資信託の購入を検討しましょう。

(4)REIT(リート)

REIT(不動産投資信託)とは、投資家から集めた資金を不動産に投資し、そこから生じた家賃収入や売買益を分配する金融商品です。国内で運用されているものは「J-REIT」と呼ばれており、1口1万円~70万円前後までさまざまな銘柄があります。

不動産はインフレが進むほど価値が上昇しやすい資産といわれています。また、REITには複数の不動産が組み込まれているので、リスクの分散もできるでしょう。上記で紹介した投資商品と組み合わせれば、さらに高い分散効果を期待できます。

おすすめポイント
・1万円~70万円前後で買える
・リスクを分散しやすい

利用する証券会社によっては、REITの各銘柄を対象にした投資信託を取り扱っているところもあります。

不動産投資は効果的?REITとの違い

マンションやアパートなどを購入し、管理しながら賃貸収入や売買益を得る「現物不動産投資」もインフレ対策になります。では、現物不動産投資とREITにはどのような違いがあるのでしょうか。

主な違い現物不動産投資REIT
必要資金数千万円規模1万円~70万円前後
分散投資多額の資金が必要少額からでも可能
対象の不動産マンションやアパートなど銘柄によって異なる
物件の管理オーナー自身が管理外部の運用会社に委託
流動性低い高い
取引される市場不動産市場証券市場

現物不動産投資では、基本的にオーナー自身が物件を管理します。不動産会社などに委託することもできますが、その場合は運用管理料などのコストを負担しなければなりません。

少なくとも数千万円規模の資金が必要になることも、現物不動産投資のデメリットです。分散投資にも多額の資金が必要になるため、投資信託やREITのようにリスクを分散することは難しいでしょう。

一方、REITでは物件の管理をすべて任せられるので、手間をかけることなく不動産投資に取り組めます。その他、対象不動産の幅が広いことや、証券市場でスムーズに取引できることも魅力でしょう。

REITは証券会社などから簡単に購入できるため、不動産に興味のある方はぜひ検討してください。

インフレに強い個別銘柄の見分け方

投資商品の中でも、株式は銘柄によってインフレへの耐性が異なります。株式投資でインフレや円安の影響を受けたくない方は、以下の見分け方を意識して個別銘柄を選びましょう。

価格が統制された業界は避ける

インフレが進むと、多くの企業が値上げをします。しかし、業界内で価格が統制されている場合は、需要が極端に落ち込む恐れがあるため、企業は安易に値上げすることができません。

インフレにも関わらず値上げができない企業は、業績が伸びにくくなります。また、取引先の値上げによって仕入額が増えるため、業績を落とす企業もあるでしょう。

そのため、インフレ時代の投資においては価格が統制された業界を避けることが大切です。

価格が統制された主な業界
・食料品の小売業
・タクシー業 など

また、高速バスのように価格競争が激しい業界も、インフレ分を価格に転嫁できない可能性があります。インフレが不利に働く業界は少なくないので、「インフレ=収益が増える」と安易に考えないようにしましょう。

値上げできる「ブランド力」に注目する

ブランド力のある商品・サービスを提供できている企業は、インフレに強い傾向にあります。魅力的なブランドは、多少値上げしてもファンが離れる可能性は低いでしょう。むしろ値上げによってプレミア感が増し、消費者の購買意欲を刺激するブランドも存在します。

ただし、ブランド力は目に見えないものなので、ファンがSNSでどのような反応を示しているのか、新商品が話題になっているのかなどからブランドのポテンシャルを見極める必要があります。

インフレ対策は早めに取り組むことが重要

2021年から始まった値上げラッシュは、今後もしばらく続くことが予想されます。世界情勢や国内景気によっては、今まで経験したことがないインフレが訪れる可能性もあるので、資産を守るための対策は早めに行うとよいでしょう。

投資商品はインフレ対策として効果的ですが、銘柄によって期待できる効果は異なります。本記事で最後に紹介した個別銘柄の見分け方も参考にしながら、自分に合うインフレ対策を見つけてください。