共働きなら知っておきたい!出産・育児でお金を受け取れる制度とは
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出産や育児の負担を軽くするための制度として「出産手当金制度」や「育児休業給付金」がありますが、共働きでもこれらの制度を知らない人が少なくありません。

そこで本記事では、このような支援制度の概要や申請の方法について解説します。

目次

  1. 出産や育児の際、支援制度を積極的に活用しよう
  2. 出産手当金制度とは?
    1. 支給対象期間や金額は?
    2. 出産手当金制度の申請方法は?
    3. 出産手当金の対象とならないケースは?
  3. 育児休業給付金とは?
    1. 給付金は受け取れる期間や金額は?上限は?
    2. 育児休業給付金の申請方法は?
  4. 健康保険料や厚生年金保険料の免除制度とは?
    1. どのくらいの月数が免除の対象になる?
    2. 免除制度を適用させるための申請方法は?
  5. 支援制度を最大限利用できるよう事前に知識を得よう

出産や育児の際、支援制度を積極的に活用しよう

家計を支えるために共働きをしている夫婦は、出産に伴って収入が減ると、その後の生活や育児にお金がかかって貯金を貯めにくくなります。そのため、出産や育児の際に利用できる支援制度は、積極的に活用したいところです。

具体的には、健康保険における「出産手当金制度」や雇用保険における「育児休業給付金」の他、産前産後に休業を取得した時に健康保険や厚生年金保険の保険料が免除される制度もあります。

出産手当金制度とは?

出産手当金制度は、健康保険における支援制度です。中小企業に勤める人などが加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」を例に説明すると、被保険者であれば申請によって出産手当金を受けることができます。

支給対象期間や金額は?

出産手当金制度の支給期間は、出産日以前42日から出産日翌日以降56日までにおいて、会社を休んだことで給与が支払われなかった期間です。1日当たりの金額は、以下の計算式で算出されます。

支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

出産手当金制度の申請方法は?

出産手当金を受け取るためには、「健康保険出産手当金支給申請書」を提出する必要があります。申請書の提出先は管轄の協会けんぽ支部です。

出産手当金の対象とならないケースは?

出産手当金の支給対象とならないケースについても知っておきましょう。

  • 任意継続被保険者(退職後も任意で引き続き被保険者となれる制度)の場合
  • 会社を休んだ日の翌日から2年以内に請求しなかった場合
  • 会社を休んだ期間に給与の支払いがある場合

上記からも分かるように、会社を休んだ日の翌日から2年を超えると、出産手当金の請求権がなくなるので注意しましょう。

また、会社を休んだ期間に給与の支払いがある場合でも、給与の支払額が出産手当金として受給できる金額より少ない場合は、その差額を受け取ることができます。

育児休業給付金とは?

育児休業給付金は、雇用保険制度において支給されるものです。育児休業終了後に職場へ復帰することを前提とした給付金であり、育児休業に入った時点ですでに退職を予定している場合は支給対象者になりません。

給付金は受け取れる期間や金額は?上限は?

育児休業給付金は原則的に子どもが1歳になった日の前日まで受け取ることができますが、それより先に職場復帰した場合は、支給対象は復帰日の前日までです。一方、一定条件を満たした場合は、最長で子どもが2歳になった日の前日まで受け取ることができます。

育児休業給付金を受給できる金額は、以下の計算式によって算出されます。

休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(もしくは50%)

育児休業開始から6ヵ月経過するまでは67%、6ヵ月経過後は50%をかけます。ちなみに育児休業給付金には金額の上限が設けられており、6ヵ月経過するまでは30万1,902円まで、6ヵ月経過後は22万5,300円までです。

育児休業給付金の申請方法は?

育児休業給付金の申請は、ハローワークで行います。通常は勤め先の企業が手続きを行ってくれますが、本人が手続きをしなければならないケースもあります。

申請には「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」や「育児休業給付受給資格確認票」、「育児休業給付金支給申請書」などが必要です。

健康保険料や厚生年金保険料の免除制度とは?

出産前42日から出産後56日において、妊娠・出産が理由で会社を休んだ場合は、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。この制度においては、この期間に給与が支払われたかどうかは問われません。

どのくらいの月数が免除の対象になる?

保険料の負担が免除される期間をさらに詳しく説明すると、「産前と産後の休業期間の開始月」から「産前と産後の休業期間の終了予定日の翌日の属する月の前月」(終了予定日が月の末日の場合はその月)までとなっています。

免除制度を適用させるための申請方法は?

健康保険や厚生年金保険の被保険者の場合は、まず産前産後に会社を休むことについて雇用主・事業主に対して申請を行い、その後は雇用主・事業主側が日本年金機構へ「産前産後休業取得者申出書」を提出します。

通常、手続きは事業所の所在地を管轄する年金事務所に対して行い、提出方法は「電子申請」「郵送」「窓口」の3つです。

支援制度を最大限利用できるよう事前に知識を得よう

育児・出産に伴い、会社側から「出産手当金制度」や「育児休業給付金」について説明を受けることがありますが、本人が制度について知らなければ、せっかくの制度を利用できません。

健康保険料や雇用保険料を普段支払っているのは、これらの制度を利用するためでもあります。出産・育児の際に支援制度を最大限利用できるよう、事前に知識を得ておきましょう。