
株式や投資信託で資産運用をする際に重要な点のひとつは、手数料が安い証券会社を使うことです。せっかく株価が上がっても、手数料が高ければ利益が目減りします。LINE証券の手数料は業界で最安水準なので、利益を残しやすい証券会社といえます。
そこで本記事では、LINE証券の手数料を他の証券会社と比較しました。
目次
LINE証券とは?
LINE証券の概要は以下の通りです。
証券会社名 | LINE証券 |
---|---|
サービス内容 | 株式の現物取引 株式の信用取引 いちかぶ 投資信託 IPO |
取引手数料 | 株式の現物取引:55円〜 株式の信用取引:0円(別途、金利や貸株料などがかかる) いちかぶ:0円(別途、スプレッドが取引コストでかかる) 投資信託:0円(別途、信託報酬などがかかる) IPO:0円 |
外国株 | 取り扱いなし |
ポイント投資 | 可能 |
LINE証券で取り扱っているサービスは、株式の現物取引・信用取引、単元未満株に投資できる「いちかぶ」、投資信託、IPO(新規公開株)です。
「いちかぶ」はLINE証券の“ウリ”のひとつで、株取引の基本単位である100株(単元株)未満の取引ができるため、数百円から投資が可能です。資産の運用をプロに任せるタイプの金融商品である投資信託にも100円から投資できます。
手数料が業界で最低水準となっている点もLINE証券のメリットです。一方、外国株に投資できない点はデメリットといえます。
LINE証券の取り扱い商品
LINE証券で取り扱っている銘柄数は以下の通りです。
商品・サービス | 取扱銘柄数 |
---|---|
株式の現物取引 | 約3,700銘柄 |
株式の信用取引 | 約3,700銘柄 |
いちかぶ | 約1,500銘柄 |
投資信託 | 33銘柄 |
IPO | 11件 (2021年実績) |
株式の現物・信用取引では、基本的に上場しているすべての銘柄が対象になっています。「いちかぶ」での取扱銘柄数は、その4割ほどです。投資信託は、33銘柄を取り扱っています。また、LINE証券は2021年に11件のIPO株の提供を行なっていました。
LINE証券の手数料
ここからはLINE証券の手数料について説明します。取扱商品・サービスごとに他社と比較しながら、LINE証券の手数料が高いか安いかをチェックしてみましょう。
現物取引(株式)の手数料
まずは、株式の現物取引の手数料から見ていきます。
約定代金 | LINE証券 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 |
---|---|---|---|---|---|
〜5万円 | 55円 | 55円 | 55円 | 110円 | 55円 |
〜10万円 | 99円 | 99円 | 99円 | 110円 | 99円 |
〜20万円 | 115円 | 115円 | 115円 | 198円 | 115円 |
〜50万円 | 275円 | 275円 | 275円 | 495円 | 275円 |
〜100万円 | 535円 | 535円 | 535円 | 1,100円 | 535円 |
〜150万円 | 640円 | 640円 | 640円 | 1,650円 | 1,584円 |
〜3,000万円 | 1,013円 | 1,013円 | 1,013円 | 3万3,000円 | 4,059円 |
3,000万円超 | 1,070円 | 1,070円 | 1,070円 | 3万3,000円 | 4,059円 |
LINE証券の手数料はSBI証券・楽天証券と同水準でした。マネックス証券と比べるとすべての金額帯でLINE証券のほうが安くなっています。
信用取引(株式)の手数料
LINE証券と他の証券会社の株式の信用取引の手数料は以下の通りです。
約定代金 | LINE証券 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 |
---|---|---|---|---|---|
〜10万円 | 0円 | 99円 | 99円 | 99円 | 99円 |
〜20万円 | 0円 | 148円 | 148円 | 148円 | 148円 |
〜50万円 | 0円 | 198円 | 198円 | 198円 | 198円 |
50万円超 | 0円 | 385円 | 385円 | 385円 | 385円 |
LINE証券を含めた5社のうち、LINE証券以外は手数料が横並びですが、LINE証券は約定代金に関わらず手数料は0円です。
ただし、信用取引では「信用買い」のときには信用金利、「信用売り」のときには貸株料を支払います。信用金利と貸株料を他社と比較すると、以下のようになります。
LINE証券 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 | |
---|---|---|---|---|---|
金利 | 2.80% | 2.80% | 2.80% | 2.80% | 2.98% |
貸株料 | 1.15% | 1.15% | 1.10% | 1.15% | 1.15% |
金利と貸株料ともに、LINE証券は業界で最安水準です。ただし、証券会社によっては大口優遇などで、LINE証券より金利や貸株料が低くなることもあります。
いちかぶ(単元未満株)の手数料
LINE証券は1株から投資できる単元未満株を「いちかぶ」というサービスで取り扱っていますが、こうしたサービスを展開しているのはLINE証券だけではありません。
例えばSBI証券は「S株」、auカブコム証券は「プチ株」というサービスを提供しています。各社の単元未満株のサービスの取引コストを比較すると、以下の通りです。
LINE証券 | SBI証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 | PayPay証券 |
---|---|---|---|---|
0.40〜1.00% | 0.55% | 0.55% | 1.10% | 1.00% |
LINE証券では銘柄グループによって取引コストが異なります。グループDは上場したばかりの銘柄が含まれているグループで、トヨタ自動車などの有名企業はグループAに含まれています。
往復コストはグループAが0.4%、グループBが0.6%、グループCが0.8%、グループDが1.0%です。また、グループAは時間帯によっても取引コストが異なり、11:30〜12:20と17:00〜21:00における往復コストは2.0%となっています。
投資信託の手数料
LINE証券では33銘柄の投資信託を取り扱っており、どの銘柄でも購入手数料(申込手数料)は0円(無料)です。
LINE証券 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 |
---|---|---|---|---|
0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
上記の表を見ると分かるように、投資信託の買付手数料は多くの証券会社が基本0円で、投資信託の購入手数料に関してLINE証券に優位性があるわけではありません。
投資信託に関しては、購入手数料が0円であっても、投資信託を保有している間は「信託報酬」がかかります。投資信託はプロに運用を任せるタイプの金融商品で、信託報酬は運用会社に対する報酬です。
信託報酬は口座から別途差し引かれるわけではなく、投資信託自体から日々差し引かれます。日々変動する投資信託の基準価額(株式における株価と同じ意味です)は、信託報酬が差し引かれた後の金額です。
LINE証券に限らず、投資信託は購入手数料が0円であっても、信託報酬は取引コストとして発生することを覚えておきましょう。
LINE証券の入出金の仕組み
次に、入金と出金の方法と手数料について紹介します。出入金の手数料は投資のリターンを目減りさせるので、必ず確認しましょう。
入金方法とコスト
LINE証券の証券口座への入金方法は4種類あり、このうち3つの方法では入金手数料がかかりません。
入金方法 | 手数料 |
---|---|
LINE Payからの入金 | 無料 |
クイック入金 | 無料 |
銀行振込で入金 | 振込手数料はお客様負担 |
他サービスの口座(FX口座、各CFD口座)からの振替入金 | 無料 |
「クリック入金」は、LINE証券が提携している金融機関のインターネットバンキングサービスから入金する方法です。この方法なら手数料はかかりません。
一方で店頭やATMから入金する場合や、提携外の金融機関のインターネットバンキングサービスから入金する場合は、ご自身が振込手数料を負担することになります。
出金方法とコスト
LINE証券の証券口座から外部に出金する方法は3種類あり、いずれも手数料は無料です
出金方法 | 手数料 |
---|---|
LINE Payへの出金 | 無料 |
出金口座への振込 | 無料 |
他サービスの口座(FX口座、各CFD口座)への振替出金 | 無料 |
「出金口座への振込」は、お客様側が事前に指定した金融機関に資金を振り込んでもらう方法です。手数料はかからず、受付時間は原則24時間となっていますが、出金の反映タイミングは0〜15時の受付の場合は翌営業日、15〜24時の受付の場合は翌々営業日となります。
LINE証券をお得に利用する方法
ここからはLINE証券をお得に利用する方法をいくつか紹介します。
キャンペーンを利用する
LINE証券では、時期によってお得なキャンペーンが行われています。2022年4月時点で行われているキャンペーンは以下の通りです。
・日本株キャッシュバックキャンペーン
・LINE証券 初株チャンス
・LINE証券 友だち招待プログラム
「日本株キャッシュバックキャンペーン」は、売買代金50万円ごとに現金1,000円をキャッシュバックするキャンペーンです。「LINE証券 初株チャンス」は、クイズ2問を全問正解すると3株(最大3,000円相当)、1問正解すると2株がプレゼントされるというものです。
このようなキャンペーンが行われている時期を狙って口座開設したり、取引したりする人は少なくありません。
株のタイムセールを利用する
株のタイムセールは不定期で開催され、最大で7%安く株式を購入することができます。2022年2月に開催されたタイムセールでは、3%オフ、5%オフ、7%オフで株式が売り出されました。
また、株のタイムセールには、2つの購入制限があります。1つ目は「1人1銘柄しか購入できない」、2つ目は「銘柄ごとに購入上限株数が決まっている」という購入制限です。
開催時期やタイムセールの詳細は、LINE証券の公式LINEアカウントやTwitterで告知されます。
ポイント投資を活用する
貯まったLINEポイントを使って「ポイント投資」をするという方法もあります。
LINEポイントは、LINEショッピングやトラベルjpなどのLINE関連サービスを利用したり、LINEポイントクラブ内でゲームをプレイしたり、マンガを読んだりすると貯まります。LINE証券では貯めたポイントを「1ポイント=1円」として使用できます。
LINEポイントやLINE Pay、LINE証券でも「1ポイント=1円」ですが、LINE証券を通じて株式を購入しておけば、将来価値が上がる可能性があります。
自分の資金を使って株式投資を始めることに抵抗がある人にも、ポイント投資はおすすめです。
LINE証券はNISAやiDeCoに対応している?
日本でも株式や投資信託で資産運用をする人が増えており、税制優遇が魅力のNISAやiDeCoといった制度をすでに利用している人もたくさんいます。
ここでは、LINE証券で使えるNISAとiDeCoの詳細を紹介します。
NISAの特徴や取扱銘柄
NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類がありますが、LINE証券は「つみたてNISA」のみサービスを提供しています。
NISAでは、各制度ごとに定められた非課税投資枠内の投資によって発生した利益が“非課税”になります。通常の投資では利益の20.315%が課税対象ですが、NISAの場合は非課税のため、せっかく得た利益が減る心配がありません。
つみたてNISAでは国の基準を満たした一部の投資信託のみが購入対象となっており、LINE証券では以下の投資信託を取り扱っています。
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・コモンズ30ファンド
・ひふみプラス
この他にも、つみたてNISAの対象となっている複数の投資信託を取り扱っています。
iDeCoの特徴や取扱銘柄
LINE証券はiDeCoに対応しています。
そもそもiDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、公的年金に加えて任意で加入する私的年金制度です。申し込みや掛金の運用などは、すべて自分で行えます。iDeCoを利用すると、その掛金が所得控除の対象となったり、運用益が非課税となったりするメリットが得られます。
LINE証券のiDeCo対象銘柄には、以下の投資信託があります。
・野村国内株式インデックスファンド・TOPIX(確定拠出年金向け)
・ひふみ年金
・野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)
・東京海上セレクション・外国株式
この他にも定期預金や債券、REITなどの商品を取り扱っています。
LINE証券は使いやすい?コスト以外のメリット
いくらコストが安くても、使いにくければ、おすすめの証券会社とはいえません。しかし、LINE証券は使いやすさにも定評があり、コスト以外のメリットも少なくありません。
(1)LINEアプリでそのまま取引できる
(2)少額から投資を始められる
(3)銘柄選びのサポートが充実している
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
(1)LINEアプリでそのまま取引できる
LINE証券は、LINEから利用できます。
まずお手持ちのスマートフォンからLINEを開いて、ホーム画面から「ウォレット」をタップします。LINE証券の取引ページが開くので、ログインすると取引を開始することができます。
LINE証券の公式アカウントを友だち登録しておくと、LINE証券のお得なキャンペーンに関する情報や、株式のタイムセールに関する情報、IPO株に関する情報などが届きます。
普段使っているLINE上で投資ができ、なおかつお得な情報を入手できることは、大きなメリットのひとつといえるでしょう。
(2)少額から投資を始められる
通常、株式投資は“単元”と呼ばれる100株単位で取引されます。例えば、三菱自動車工業は株価が1株319円(2022年4月24日時点)なので、通常の取引では100株単位の取引となるため3万1,900円が必要になります。
しかし、LINE証券では「いちかぶ」という単元未満株に投資するサービスによって、100株ではなく1株から投資できるため、数百円から投資を始めることができます。「いちかぶ」で購入できる銘柄は約1,500銘柄で、有名企業の多くをカバーしています
(3)銘柄選びのサポートが充実している
LINE証券では、さまざまな「カテゴリー」と「テーマ」から投資する銘柄を選ぶことができます。そのため「どの銘柄を選べばよいかわからない」という方でも、比較的、投資先の選定がしやすいといえるでしょう。
例えば、「カテゴリー」には以下のようなものがあります。
・前日比値動きランキング
・お気に入りが多い
・成長期待株
・買い予想・PVランキング
・株主優待から選ぶ
・好業績予想
・高配利回り
「テーマ」では、有望なテーマごとに銘柄が紹介されています。
・Java
・統合失調症薬
・ハウスウェディング
・人工透析
・燃料電池製造装置
・半導体製造装置
・4K・8Kテレビ
これからのカテゴリーやテーマから投資したい銘柄を探すことができます。
LINE証券のデメリット
一方、LINE証券にはデメリットもあります。主なデメリットは以下の2点です。
(1)取扱商品が少ない
(2)一般NISAを利用できない
(1)取扱商品が少ない
LINE証券では、取扱商品数が大手証券会社と比較すると少なめです。
大手証券会社では、米国株や中国株などの外国株、国内債券や海外債券、金(ゴールド)やプラチナなどを取り扱っているところもあります。
見方を変えると、LINE証券のように取扱商品が少ないほうが、投資する商品を選びやすいともいえます。取扱商品が少ない点はLINE証券のデメリットでもありますが、厳選された商品の中から選べるというメリットともいえます。
(2)一般NISAを利用できない
LINE証券は「つみたてNISA」には対応しているものの、「一般NISA」「ジュニアNISA」には対応していません。
一般NISAに対応していないことは、明確なデメリットです。しかし、一般NISAはつみたて投資と比較すると短期投資向きで、初心者にはややハードルが高くなっています。
一方、つみたてNISAは長期にわたって積み立ていくことを想定した制度です。投資では、一般的に長期投資をするほどリスクを抑えられます。もし老後の生活のために資産運用を始めるなら、つみたてNISAはピッタリの制度であるため、一般NISAが利用できなくても問題ないという方もいるでしょう。
LINE証券で資産運用のコストを抑えよう
LINE証券は取引手数料が業界最低水準で、LINEから簡単に取引画面を開ける便利な機能を持っています。単元未満株サービスの「いちかぶ」で1株から投資できることから、初心者が投資を始めやすい証券会社になっています。
最初の投資はあまりお金を使いたくない人は、「いちかぶ」を利用して数百円から投資を始めてもよいかもしれません。その後、投資に慣れてきたら100株単位の取引を行なってみるのはいかがでしょうか。