一般NISA・つみたてNISAにデメリットはある?意識しておきたい注意点と他制度との違い
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NISA(ニーサ)と言えば、投資による利益の一部が非課税になるお得な制度です。しかし、NISAにもデメリットやリスクは潜んでいるため、利用前には制度の概要をきちんと理解しておくことが必要です。

本記事では一般NISAとつみたてNISAに分けて、意識しておきたい注意点やほかの制度との違いなどをまとめました。

目次

  1. NISAとは?
  2. NISA口座を30代の5人に1人が持っている
  3. NISAのデメリットは?
  4. 非課税期間が終了したらどうすればいい?
  5. 初心者におすすめ!つみたてNISAとは?
  6. NISAとつみたてNISAの違い
  7. NISAとiDeCo(イデコ)の違い
  8. つみたてNISAは年収103万円以下の主婦におすすめ
  9. つみたてNISAのデメリット
  10. デメリットも理解してからNISA/つみたてNISAを利用しよう

NISAとは?

NISAとは、金融庁が2014年から開始した投資家向けの税制優遇制度です。正式には「少額投資非課税制度」と呼ばれており、専用の口座(NISA口座)から投資対象商品を購入すると、期間限定で運用益の非課税措置を受けられます。

具体的にどのような制度なのか、以下で概要を簡単に紹介しておきましょう。

項目概要
対象者NISA口座を開設した20歳以上の投資家
(※2023年1月以降からは18歳以上)
非課税期間5年間(最長10年間)
非課税投資枠(投資限度額)年間で120万円
非課税の対象投資によって得た運用益
投資対象商品株式、投資信託、ETF、REITなど
開設できる口座数1人あたり1口座
利用方法通常の買い付け、もしくは積立投資

NISAの非課税期間は原則として5年間ですが、「ロールオーバー(※詳しくは後述)」と呼ばれる制度を利用すると、非課税期間を最長10年まで延長できます。この期間中、通常の投資では約20%かかる税金を抑えられるため、NISAは効果的な節税手段として多くの個人投資家から活用されています。

○NISAの活用イメージ

【1】NISA口座で50万円の商品を購入し、80万円で売却した場合
年間120万円の購入額までは非課税であるため、すべての運用益が対象になる。通常は約20%の税金がかかるが、これが非課税となるので約6万円(30万円×約20%)の節税効果がある。

【2】NISA口座で150万円の商品を購入した
非課税投資枠である120万円分はNISA口座、残りの30万円分は一般口座もしくは特定口座での取り扱いとなる。このうち、投資額120万円分に対して発生した運用益については、通常どおり非課税として扱われる。

このように、NISAは節税効果の高さが魅力的な制度ですが、実は節税面以外にも以下のようなメリットがあります。

NISAのメリット概要
【1】自由にお金を引き出せるNISAには払い出し制限がないため、投資資金をいつでも引き出すことが可能。
【2】投資対象商品が多い口座の開設先によっては、投資信託だけで2,500以上の選択肢があることも。また、外国株式も投資対象商品に含まれる。
【3】短期~中長期の投資まで活用できる購入するタイミングや買付方法を自由に選べるので、短期的な投資から中長期の積立まで幅広く活用できる。

ちなみに、ここまで紹介した制度は「一般NISA」と呼ばれるものであり、NISAには他にも20歳未満を対象とした「ジュニアNISA」や、つみたて投資に特化した「つみたてNISA」が存在しています。

NISA口座を30代の5人に1人が持っている

NISA口座の開設数は、20~40代まですべての世代で順調に伸びています。当初は40代の利用者が多かったものの、最近では30代の口座開設数が飛躍的に伸びており、一般NISA・つみたてNISAを合わせると「30代の5人に1人」が利用している計算になります。

NISAのデメリットは?

一方で、NISAには注意しておきたいデメリットもあります。特に以下で挙げるポイントは節税面に大きな影響を及ぼすので、利用を始める前にしっかりとチェックしていきましょう。

投資限度額は年間120万円

NISAの投資限度額(非課税投資枠)は毎年固定であり、年間120万円までです。仮に非課税投資枠の未使用分があっても、翌年に繰り越すことはできません。

例えば、2020年に100万円分の投資商品を購入したとしましょう。このとき、2020年の非課税投資枠は20万円(120万円-100万円)残されていますが、この未使用分を翌年に繰り越すことはできず、2021年には再び120万円の非課税投資枠が設けられます。

なお、ジュニアNISAやつみたてNISAも同様であり、毎年一定の非課税投資枠が設定されています。

NISAの非課税期間は最長5年

NISAの非課税期間は原則として最長5年なので、利用できる非課税投資枠は最大600万円(120万円×5年間)となります。期間終了後に引き続き資産を保有できる「ロールオーバー」と呼ばれる制度もありますが、この制度を利用しても非課税期間は最長で10年です。

NISAは損益通算や繰越控除ができない

利益と損失を相殺させる「損益通算」や「繰越控除」の対象外である点も、NISAでは注意しておきたいデメリットです。

損失の繰越控除とは、本年分の損失を控除しきれないときに、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除することができる制度です。
上場株式等の譲渡により発生した損失は、「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」として、損失を出した年の翌年以後、最長3年間繰越して、翌年以後の上場株式等の譲渡益から控除することができます。また、「上場株式等の配当所得」との損益通算も可能です。なお、2016年からは、公社債等の譲渡・償還により発生した損失も翌年以後最長3年間繰り越すことができるようになりました。
ただし、繰越控除の適用を受けるためには、確定申告をする必要があります。上場株式等の譲渡損失が生じた年分はもちろん、その後に取引がない年があっても、その損失を繰り越す期間は連続して確定申告をしなければなりません。
なお、NISA(少額投資非課税制度)やジュニアNISAの口座内で生じた譲渡損失は、この損失の繰越控除の対象にはなりません。

引用元:https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/so/J0079.html

例えば、一般的な株式投資では同年内の損益通算や、最長3年間までの繰越控除が認められています。では、これらの制度が適用されない場合、税金にはどのような影響が生じるのでしょうか。

【ケース1】年間の利益年間の損失
A社の一般口座(株取引)50万円0円
B社の一般口座(株取引)0円100万円
同年内での損益通算が認められるため、この年の課税対象は0円となる。また、一般口座の株取引では繰越控除も適用できるので、翌年から3年間は50万円の損失(100万円-50万円)を繰り越せる。
【ケース2】年間の利益年間の損失
A社の一般口座(株取引)50万円0円
B社のNISA口座(株取引)0円100万円
B社の口座がNISAであるため、同年内での損益通算は認められない。したがって、この年の利益は50万円として計算され、この金額に対して約20%の税金が課せられる。なお、NISA口座で発生した損失については、翌年以降に繰り越すこともできない。

上記の通り、投資の世界では損益通算・繰越控除が適用されないだけで、税金に大きな違いが出てきます。一般的な株式投資に比べると、NISAは損失にやや弱い特徴をもっているため、その点に気を付けながら投資の計画を立てましょう。

既に保有している投資信託などは対象外

NISAの非課税投資枠の対象となる金融資産は、NISA口座を開設してから新たに購入したもののみです。仮にNISAの対象商品に含まれていても、以下などの既に保有している資産には非課税投資枠が適用されません。

・一般口座から購入した投資信託
・特定口座から購入した上場株式 など

一般口座・特定口座から購入したものをNISA口座に移すこともできないため、すでに投資を行っている方は十分に注意しましょう。

手続きが煩雑

一般的な銀行口座や証券口座などに比べると、NISA口座の開設手続きはやや複雑です。申込先によってやや手順は異なりますが、基本的な流れは以下となります。

NISA口座の開設手続き概要
【1】総合口座の開設NISA口座の前に、まずは総合口座を開設する必要がある。
【2】資料請求利用するNISAの種類を選び、資料請求をする。
【3】必要書類の提出申込書や本人確認書類、マイナンバー記載書類などを用意して提出。
【4】審査提出した書類をもとに、税務署で審査が行われる。
【5】開設完了審査に通過するとNISA口座が開設される。

最近では、総合口座・NISA口座を同時に開設できる証券会社も見られますが、それでも口座の開設までには郵送で最短7日程度、ネットによる申し込みで数日ほどかかります。また、必要書類の数が多く、なかでも個人情報を記載する申込書やマイナンバー記載書類の準備にはやや手間取るかもしれません。

提出書類に不備があるとさらに口座開設が遅れてしまうため、ひとつずつ確認しながら丁寧に作業を進めましょう。

移管後に税金を払う可能性がある

NISA口座から購入した株式などは、証券会社の一般口座や特定口座に移管させることが可能です。ただし、このときに移管させた金融資産は、NISAの非課税投資枠の対象には含まれません。

例えば、NISA口座で保有していた40万円の株式が、一般口座への移管後に100万円まで値上がりしたとしましょう。このタイミングで売却すると、株式を移管させてから60万円の利益(100万円-40万円)が発生した計算になるので、この60万円に対して税金が課せられます。

投資金額が増えると他口座への移管が必要になるケースが生じてくるので、特にNISAの非課税投資枠を超えそうな方は注意しましょう。

非課税期間が終了したらどうすればいい?

NISA口座では非課税期間を過ぎると、通常の投資と同じように税金が発生してしまいます。
そのため、口座開設から5年間が経過したら、以下のいずれかの方法で対処をしなければいけません。

・非課税期間のうちに売却する
・ロールオーバーを行う
・課税口座に移管する

それぞれどのような方法なのか、メリットなども含めて詳しく解説していきます。

非課税期間のうちに売却する

保有している資産を非課税期間のうちに売却すれば、新たに税金が発生することはありません。そのため、NISA口座では常に非課税期間を意識し、場合によっては利益が出ているタイミングで早めに売却をすることも必要になります。

なお、同年内での非課税投資枠の再利用が認められていない点も、NISAの利用前に理解しておきたいポイントです。例えば、100万円で購入した商品Aを同年内に売却しても、残りの非課税投資枠は変わらず20万円(120万円-20万円)となるので、その点に注意しながら運用計画を立てましょう。

ロールオーバーを行う

ロールオーバーとは、非課税期間が終了した株式などを、翌年の非課税投資枠に移管させる(資産を保有し続ける)ための制度です。ロールオーバーをすれば、保有している資産をさらに5年間運用できるため、NISAの非課税期間を実質10年に延ばすことができます。

上限金額も特に設けられていない便利な制度ですが、ロールオーバーによって資産を持ち越すとその年の非課税投資枠は減ってしまいます。
また、事前に翌年分のNISA口座を開設しておく必要があるので、利用する場合は早めに手続きを済ませるようにしましょう。

課税口座に移管する

非課税期間内に売却・ロールオーバーを選択しなかった場合は、保有している資産が自動的に課税口座(特定口座)へと移管されます。一般口座への移管も可能ですが、この場合は届出が別途必要になるため注意しておきましょう。

前述でも紹介しましたが、課税口座への移管後に保有資産が値上がりすると、非課税期間終了後に発生した利益に対して税金が課せられます。

税金の対象となる金額=「資産の売却額」-「非課税期間終了時点での資産評価額」

上記の計算式がプラスになる場合は、通常の投資と同じ税金(税率約20%)が発生するため、課税口座への移管は慎重に判断しましょう。

2024年スタートの新NISAとは?

ここまで紹介してきた一般NISAは2023年までの制度であり、2024年からは新たなNISA(※以下、新NISA)が実施されることがすでに決まっています。新NISAには従来のNISAにはない特徴があるので、以下で主な違いを紹介しておきましょう。

項目一般NISA(現行)新NISA
対象者NISA口座を開設した20歳以上の投資家(※2023年1月以降からは18歳以上)新NISA口座を開設した18歳以上の投資家
実施期間2023年まで2028年まで
非課税投資枠(年間)120万円・1階部分…20万円
・2階部分…102万円
投資対象商品株式、投資信託、ETF、REITなど・1階部分…長期や積立、分散投資に適した投資信託
・2階部分…一般NISAと同様
買付方法通常の買い付け、もしくは積立投資・1階部分…積立投資のみ
・2階部分…一般NISAと同様

非課税期間は一般NISAと同じく5年間ですが、新NISAの非課税投資枠には「1階部分」と「2階部分」があり、1階部分の枠を使い切らないと2階部分を利用することはできません。
つまり、2階部分を利用するには年間20万円分の積立投資が必要となるため、これまでの一般NISAとは投資のスタイルが大きく変わってくるでしょう。

ちなみに、2019年以降にNISA口座で購入した株式などは、新NISAの口座にロールオーバーさせることが可能です。

初心者におすすめ!つみたてNISAとは?

一般NISAは投資対象商品が多く、購入のタイミングや買付方法を自分で選ぶ制度なので、「うまく使いこなせる自信がない…」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。金融庁はそのような投資初心者に向けて、長期の積立や分散投資を中心とした「つみたてNISA」と呼ばれる制度も実施しています。

項目つみたてNISAの概要
対象者日本在住で、NISA口座を開設した20歳以上の投資家
(※2023年1月以降からは18歳以上)
開設できる口座数1人あたり1口座
非課税期間最長20年間
非課税投資枠(投資限度額)年間40万円
投資可能期間2018~2042年
投資対象商品長期の積立や分散投資に適した投資信託。
(※金融庁へ届出がされているものに限る)

一般NISAとの最も大きな違いは、投資対象商品が大きく限定されている点です。つみたてNISAは投資初心者でも利用しやすくするために、以下のようなローリスクの商品を中心に取り扱っています。

○投資対象商品の例
公募株式投資信託の場合は、以下の要件をすべて満たしているもののみ取り扱い。
・販売手数料が0円
・信託報酬が一定水準以下
・すべての顧客に、過去1年間に負担した信託報酬額(概算)を通知している
・信託契約期間が無期限または20年以上である
・分配頻度が毎月ではない
・デリバティブ取引による運用を行っていない(※ヘッジ目的の場合は除く)

なお、つみたてNISAと一般NISAは併用ができず、NISA口座の開設時にはいずれか一方を選択する形となります。では、一般NISAと比べた場合に、つみたてNISAにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

つみたてNISAのメリット概要
【1】損失リスクを抑えやすい金融庁による厳しい要件を満たした投資信託が中心であるため、初心者でも損失リスクを抑えやすい。
【2】購入のタイミングに迷わされないつみたてNISAでは、事前に設定した間隔・金額で自動的に買い付けが行われる。つまり、積立のみの買い付けとなるため、購入のタイミングを見極める必要がない。
【3】長期投資に適している長期積立向きの商品が多いだけではなく、一般NISAに比べると非課税期間も長い。20年間運用する場合の非課税投資枠は、最大800万円(40万円×20年間)となる。

ちなみに、2024年から開始される新NISAの1階部分は、つみたてNISAの仕組みとほぼ同じです。そのため、短期投資と長期投資の両方に興味がある方は、新NISAも選択肢として検討してみましょう。

NISAとつみたてNISAの違い

以下の表は、一般NISAとつみたてNISAの違いをまとめたものです。

一般NISAつみたてNISA
年間非課税投資枠120万円40万円
非課税期間5年間20年間
投資対象商品株式、投資信託、ETF、REITなど長期や積立、分散投資に適した投資信託
買付方法通常の買い付け、もしくは積立投資積立投資のみ
投資可能期間2014~2023年2018~2042年
ロールオーバーの可否×

一般NISAに比べると、つみたてNISAは投資対象商品の選択肢が少なく、年間非課税投資枠も少ない特徴があります。その代わり、非課税期間や投資可能期間が長めに設定されているため、名称の通り長期積立に適した制度と言えるでしょう。

一方で、一般NISAとつみたてNISAには以下のような共通点もあります。

○一般NISAとつみたてNISAの主な共通点
・1人1口座のみ開設可能
・払い出し制限がない(自由にお金を引き出せる)
・その年の未使用分は翌年以降に繰り越せない
・資産を売却しても非課税投資枠は増えない(再利用は不可)

ここまでをまとめると、一般NISAは株式などの投資にある程度慣れており、自身で商品や購入のタイミングを選びたい方に向いています。
一方で、つみたてNISAは毎月コツコツと積立投資をしたい方や、損失リスクを抑えたい方などに向けられた制度なので、目的により適したほうを選ぶようにしましょう。

NISAとiDeCo(イデコ)の違い

投資や資産形成に興味のある方は、NISAとiDeCo(※)の違いも押さえておきましょう。

(※)「個人型確定拠出年金」とも呼ばれる、自分で積み立てるタイプの年金制度。

項目NISAiDeCo
対象年齢20歳以上20歳以上60歳未満
年間非課税投資枠一般NISA:120万円
つみたてNISA:40万円
14.4~81.6万円
非課税期間一般NISA:5年間
つみたてNISA:20年間
60歳まで
払い出し制限なしあり
投資対象商品株式、投資信託、ETF、REITなど投資信託、保険商品、預貯金など
所得控除なしあり

NISAとiDeCoは併用することが可能ですが、iDeCoはあくまで個人型の年金制度であり、原則として60歳まではお金を引き出すことができません。投資優遇制度であるNISAとは特徴が大きく異なるので、併用する方はその点を理解した上で計画を立てましょう。

つみたてNISAは年収103万円以下の主婦におすすめ

iDeCoの所得控除は魅力的なポイントですが、そもそも年収が103万円を超えない限り所得税は発生しません。そのため、年収103万円以下の主婦の方には、つみたてNISAの利用をおすすめします。

また、口座開設や管理などに手数料が一切かからない点も、つみたてNISAの大きな魅力です。

一方で、iDeCoは加入時や口座管理に手数料がかかってしまうため、ある程度の収入がないと安定した積立が難しくなることもあります。

つみたてNISAのデメリット

投資初心者向けのつみたてNISAにも、実は注意しておきたいデメリットがいくつか潜んでいます。場合によっては目的を達成できなくなる恐れもあるので、ほかの制度と比較しながらデメリットを確認していきましょう。

非課税の枠が小さい

長期の積立を前提としたつみたてNISAでは、年間の非課税投資枠が40万円に設定されています。一般NISAやiDeCoに比べると非課税枠が小さいため、大きく積み立てたい方やハイリターンを狙っている方などは物足りなさを感じるかもしれません。

したがって、つみたてNISAと一般NISAのどちらを利用するかは、投資の資金やスタイルに合わせて慎重に決めることが大切です。

また、iDeCoとの併用は可能ですが、それぞれの制度に積み立てる金額は自身で決める必要があるので、各制度の利用前にはしっかりと計画を立てておきましょう。

選べる金融商品が少ない

つみたてNISAの金融商品は、長期積立や分散投資に適した投資信託のみです。さらに、販売手数料や分配頻度などに関する基準を満たしており、かつ金融庁への届出があったものしか取り扱われていないため、選べる金融商品はやや少ない特徴があります。

一方で、一般NISAの金融商品には投資信託のほか、国内外の株式やREITなども含まれています。投資信託の数もつみたてNISAより多いため、投資先の選択肢を増やしたい方は一般NISAから検討すると良いでしょう。

損をしても損益通算や繰越控除ができない

課税口座を使った投資とは違い、つみたてNISAでは損益通算や繰越控除を利用することはできません。つまり、ほかの投資との利益・損失の相殺や、翌年以降への損失分の繰り越しが認められていないため、損失が生じた場合には節税効果を得られなくなってしまいます。

もともとリスクの低い商品がそろえられてはいるものの、つみたてNISAでも損失が発生する可能性はあります。
積み立てる金額や間隔、購入する商品などは慎重に決めて、リスクを調整しながら上手に運用することを心がけましょう。

非課税投資枠の持ち越しやロールオーバーができない

つみたてNISAの非課税投資枠(年間40万円)は、翌年に持ち越すことができません。例えば、2020年に25万円分の商品を購入した場合、残りの15万円分が2021年に繰り越されることはなく、その年の非課税投資枠の未使用分はそのまま消滅することになります。

また、一般NISAでは利用できる「ロールオーバー」が認められていない点も、つみたてNISAでは注意しておきたいポイントです。つまり、購入した商品を保有したまま非課税期間の終了を迎えた場合は、その時点での売却もしくは課税口座への移管を選ぶことになります。

元本割れの可能性がある

元本割れとは、投資に使った資金(元本)が損失によって減少してしまうことです。一般的な預貯金とは違い、つみたてNISAは元本が保証されている制度ではないため、運用成績によっては元本割れを引き起こす可能性があります。

これはつみたてNISAに限った話ではありませんが、投資である以上はどんなに小さくてもリスクが存在しています。そのため、つみたてNISAを利用する場合は積立額などを慎重に設定し、あくまでも無理のない範囲で運用しましょう。

デメリットも理解してからNISA/つみたてNISAを利用しよう

一般NISA・つみたてNISAは魅力的な制度ですが、運用方法によっては損失が生じる可能性もあります。

また、それ以外にも以下のようなデメリットがあるため、利用の前にはしっかりと計画を立てることが大切です。

一般NISAのデメリットつみたてNISAのデメリット
・年間の非課税枠は120万円
・非課税期間が最長で5年
・損益通算や繰越控除ができない
・移管後に税金が発生することも
・年間の非課税枠は40万円
・選べる金融商品が少ない
・損益通算や繰越控除ができない
・非課税投資枠の持ち越しやロールオーバーができない

また、口座開設時にはさまざまな書類を用意する必要があり、申し込み方法によっては開設までに1週間程度を要します。口座開設が遅れると投資計画に狂いが生じてしまうこともあるので、利用を決めたら早めに申し込むことも意識しておきましょう。