パワーカップル必見!ペアローンでマンション購入するメリット・デメリット
(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

不動産経済研究所が発表した調査結果によれば、2021年の首都圏の新築マンションの平均価格は6,000万円を超えました。そのため、標準的な収入のサラリーマンでは、なかなか手が届かない存在になっています。

その一方で、首都圏の新築マンションを購入できているサラリーマン世帯がいます。そこには働く女性の増加によって増えつつある「パワーカップル」の存在があります。

パワーカップルは“共働きで世帯収入が高い夫婦”のことです。パワーカップルならば、ペアローンを組むことで首都圏のマンションにも十分に手が届くからです。

そこで本記事では、ペアローンのメリット・デメリットについて解説します。

目次

  1. 首都圏のマンション価格が高騰している
  2. 1人で買えないならペアローンという選択肢も
  3. ペアローンの概要
    1. 収入合算との違いは?
  4. ペアローンを利用するメリット
    1. (1)1人では手が届かないマンション物件にも手が届く
    2. (2)節税になる
    3. (3)2人とも団信に加入できる
  5. ペアローンの利用で知っておくべきデメリット
    1. (1)片方の収入が途絶えると計画が狂う
    2. (2)手数料などの経費が倍になる
  6. まとめ

首都圏のマンション価格が高騰している

コロナ禍からの経済回復やインフレの進行もあって、首都圏のマンション価格が高騰しています。冒頭で述べたように首都圏の新築マンション価格の平均は6,000万円を超えました。住宅金融支援機構は、パワーカップルの増加も価格高騰の一因だと指摘しています。

1人で買えないならペアローンという選択肢も

標準的なサラリーマンの収入では首都圏のマンションを購入するのが難しいのであれば、ペアローンという選択肢があります。特にパワーカップルはペアローンとの相性がよいので、マンションを購入する際は利用を検討してみましょう。

ペアローンの概要

ペアローンとは、同居している家族のそれぞれが主たる債務者となり、住宅ローンを組むことです。夫婦の場合、夫と妻がそれぞれ住宅ローンを組み、お互いに連帯保証人になる形が一般的です。

一般的な住宅ローンは一家の大黒柱である夫が債務者となるケースが多いのですが、ペアローンの場合はそれが夫婦2人分になるとイメージするとわかりやすいでしょう。

収入合算との違いは?

ペアローンと似た仕組みに、収入合算があります。こちらも夫婦が協力し合って住宅ローンを組む仕組みですが、収入合算の主たる債務者は1人です。夫が主債務者になる場合、夫の収入に妻の収入を合算し、妻が連帯保証人になります。

一方、ペアローンは夫婦それぞれが、自分の名義で住宅ローンを組むための審査に通る必要があります。そのためペアローンは収入合算より、パワーカップル向きの仕組みだといえます。

ペアローンを利用するメリット

ペアローンを利用する主なメリットは、以下の3つです。それぞれについて解説します。

(1)1人では手が届かないマンション物件にも手が届く

夫もしくは妻だけの収入では難しいマンションであっても、ペアローンなら住宅ローンの借入額が2人分になるので、手が届くようになります。特にパワーカップルのように夫婦それぞれに十分な収入がある場合は、手が届くマンションの範囲はかなり広くなります。

立地条件などで妥協したくないという人にとって、大きなメリットとなります。

(2)節税になる

住宅ローンを組んで家を購入すると、住宅ローン控除を受けられます。2022年以降に入居する住宅を購入する場合は、13年間にわたって控除率0.7%が適用されます。つまり、住宅ローンの残高もしくは住宅の取得価格のどちらか少ないほうに対して0.7%の金額を所得税の課税対象から控除できるため、その分所得税が少なくなり、節税になるのです。

ペアローンでは夫婦それぞれが住宅ローンを組むため、双方に住宅ローン控除が適用されます。節税効果が2人分になるので、所得が高いパワーカップルほど節税効果が大きくなるでしょう。

(3)2人とも団信に加入できる

住宅ローンを組むときには、債務者に万が一のことがあって返済不能になってしまう事態に備えて、団信(団体信用生命保険)に加入します。団信とは、債務者が亡くなったり返済不能になったりしたら、保険金で残債を完済する仕組みのことです。

ペアローンでは夫婦それぞれが団信に加入できるため、団信が生命保険の代わりになります。万が一夫婦のどちらかが亡くなったとしても、その人の分の返済義務はなくなるため、残された人の返済負担が増えることはありません。

団信を生命保険代わりにするのであれば、別途、生命保険に加入する必要がないため、2人分の保険料を節約できます。ただし、団信の保険金が支払われるのはあくまで金融機関であり、遺された家族が保険金を受け取れるわけではないことは理解しておきましょう。

ペアローンの利用で知っておくべきデメリット

ペアローンの主なデメリットは2つあります。

(1)片方の収入が途絶えると計画が狂う

ペアローンは、夫か妻のどちらかが仕事を辞めたり、仕事を続けられなくなったりすると世帯収入が減るため、住宅ローン返済の計画が大幅に狂います。

夫婦の両方が同時に失職したり収入が大幅に減ったりする可能性は低いので、片方が引き続き高い収入を得ているのであれば2人分のローン返済が可能かもしれません。しかし、2人分の収入で目一杯の物件を買ってしまうと、パワーカップルでなくなった途端に返済困難に陥ってしまいます。

この点を考えると、パワーカップルだからといってペアローンであまり高望みをしすぎないことも重要です。

(2)手数料などの経費が倍になる

住宅ローンの借り入れをする際には、さまざまな諸経費が発生します。物件によって諸経費の額は異なりますが、おおむね物件価格の10%を上限に見積もっておく必要があります。

住宅購入に際しては、物件価格の約5~10%程度の諸費用がかかります。

引用元:常陽銀行「住宅購入・ローン契約にかかる諸費用のアドバイス」

仮に下限の5%だったとしても、物件価格が8,000万円で夫婦それぞれ4,000万円の住宅ローンを組んだとすると、「4,000万円×5%=200万円」が2人分必要になります。ペアローンだと住宅ローンが2本になるため、これは避けられないコストアップです。

まとめ

ペアローンは共働きのパワーカップルが協力して、理想に近い住宅を手に入れるために使える借入方法です。1人で住宅ローンを組むよりも高額のマンションを購入できるペアローンですが、本記事で紹介したようにデメリットもあります。

ペアローンを検討する際は、しっかりと夫婦で返済計画を立て、失職や転職による収入減、離婚などのリスクも考慮するようにしましょう。