夏ボーナス,使い道
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ボーナスの季節が近づくと、使い道についてあれこれ思いが巡ります。一般には、ボーナスを貯蓄に回すという方が多いようですが、果たして本当に有意義なボーナスの使い方と言えるのでしょうか。2022年のボーナスの賢い使い道について、Pontaリサーチによるアンケートを参考に考えてみましょう。

8年連続! 夏ボーナスの使い道は「貯金・預金」が最も多い

2021年6月に発表された「Ponta消費意識調査」によると、夏ボーナスの使い道は8年連続で「貯金・預金」(37.1%)が1位となっています。複数回答ではあるものの、貯金・預金に対する意識の高さがうかがえます。次いで2位「食品(ふだん食べるもの)」(5.3%)、3位「旅行(宿泊を伴うもの)」(5.2%)と続きます。なお、10位の「投資信託」(1.9%)がランクインしたことは調査開始以来、初とのことです。

なお、「貯金・預金」を選んだ方のうち約4割が“用途を決めている”ようです。用途としては「老後の生活への備え」「将来の消費への備え」「収入の変化への備え」が挙げられ、将来への備えと同時に、新型コロナウイルスの影響からか“緊急予備資金的”な備えの必要性を感じていることが推測されます。

一方、夏ボーナスを貯金・預金に充てる人のうち約6割は“用途を決めていない”ことから、「とりあえず貯蓄」という備えの意識を垣間見ることができます。

2022年の夏ボーナスも貯金に回すべき……?

先述の調査が行われたのは2021年5月末。東京と大阪では、65歳以上の高齢者を対象とした大規模接種センターでのワクチン接種がスタート、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の延長が決定された時期です。

一方で、2022年はどうでしょうか。2022年6月現在も油断はできない状況ですが、ワクチン接種も進み、ウイルスとの付き合い方もこの2年間でだいぶ変わってきました。ボーナスの使い道については、例年どおり貯金する人もいれば、新型コロナウイルスが落ち着いてきたところで旅行を計画している人もいるでしょう。こうした状況を踏まえて、2022年の夏ボーナスの使い道としては以下の2つの注意点を心に留めてほしいと思います。

注意点1:やみくもな貯金

コロナ禍という予測できない事態に直面したことで不安がふくらみ、無理に貯金に回すケースが見られます。残高が増えることでその時は安心するのですが、それでも不安を拭いきれず、お金を貯めることに躍起になる方も少なくありません。ただ、目標も目的もなく貯金をしているうちは、なかなか達成感を覚えることはできません。加えて、普通預金に預けておいても金利はほとんどつかない昨今です。精神的ストレスだけでなく、物価上昇に追いつけず、将来的な価値は目減りしてしまうリスクもあります。

注意点2:これまでの反動による散財

県をまたぐ移動制限、海外への渡航制限など旅行に行けずに悶々としていた気持ちは共感できますが、その反動で散財してしまうことは避けましょう。いったん気が緩むと、なかなか歯止めが効かなくなるものです。

旅行について言えば、世界の経済状況をみると、原油高や円安などで旅費が高騰していることも気になるところです。本当にいま旅行に行く必要があるのかどうか、冷静に考えてみることも時には必要かもれません。

もちろん、人によって考え方はそれぞれですし、夏ボーナスの使い道は自由です。ただ、今年に限らず、この先の将来も考えた上で有意義な使い方となれば、それがベストな使い道ではないでしょうか。2022年夏ボーナスの使い道として、自分自身にとって有意義な使い方を目指したいものです。

2022年こそ資産運用のはじめどき?

新型コロナウイルス感染拡大により、私たちの行動は制限され、ストレスを感じることも多かった反面、将来について考える時間や情報を得る多くの手段を得られたことは、ある意味で“怪我の功名”とも言えます。

外食が減ったことで月収支に変化が見られた人、月単位での収支だけでなく年単位で収支を考えるようになった人、将来の生活について考えた人などさまざまです。退職後の老後資金に漠然とした不安に、予測できない事態に対する緊急予備資金の確保の必要性を感じた人も多いようです。いずれにしてもコロナ禍は、多くの方々にとって「お金に向き合うことの大切さ」に気づくチャンスにもなったのではないでしょうか。

だからと言って、夏ボーナスを貯金・預金に充てることが全てではありません。前述のとおり普通預金や定期預金では、お金が減らない代わりに利息はほとんど期待できません。

そこで、目を向けたいのが「投資」です。リスクをコントロールしつつ、着実な資産形成を目指せば、リターン(利益)が期待できます。

また、近年では投資にかかわる税制優遇制度も充実しています。運用益や拠出金が非課税となる「NISA」や「iDeCo」といった制度を活用することで、昔に比べて資産形成がしやすくなっています。なお、iDeCoは老後資金づくりが目的の制度であるため60歳まで引き出しできませんが、NISAであれば必要な時に売却(現金化)が可能です。NISAを利用して資産をふやしておき、世界情勢が落ち着いて旅費が安くなったタイミングで引き出す、というのも選択肢の1つではないでしょうか。

いずれにせよ、普通預金の低金利に嘆くのではなく、投資について情報収集しつつ経験値を上げること自体が、夏ボーナスの賢い使い道の1つとも言えるはずです。

ただし、投資はリターンを期待できる一方で、相応のリスクがつきものです。つまり、資産が増える可能性もありますが、減る可能性もあります。リターンとリスクは比例関係にあり、期待するリターンが大きいほどリスクは高く、期待するリターンが小さいほどリスクも低くなります。投資を始める際には、やみくもにリターンを追求するのではなく、リスクも考慮した上で商品を選ぶことが鉄則です。

将来を見据えた「投資」にも目を向けてみよう

今夏はコロナ禍が一定程度収まりつつあるなかで、県民割に続くキャンペーンも見込まれます。今だからできること、今しかできないこともあるでしょう。これまでやりたくてもできなかったことをできる範囲で考え、コロナの動向にも注意しつつ、優先順位をつけて実行に移すことが大切です。

また、明確な目標や目的を意識することで、達成に繋がる確率は高まります。とりあえず貯蓄することも選択肢ではありますが、なるべく「やみくも」や「無計画」は避け、将来を見据えた自分にとっての賢い使い道を考え、実現にむけて行動をしたいものです。

2021年の調査では調査開始以来、初めて「投資信託」がランクインしていました。コロナ禍を契機に、投資に関心を持っている方が着実に増えていることの証左ではないでしょうか。夏ボーナスの賢い使い道として、今年こそは「投資」に目を向けてみることも検討してみるとよいかもしれません。