
証券口座は複数持つことが可能ですが、そもそも2つ以上の口座を開設することにメリットはあるのでしょうか。今回は、複数の証券口座をもつ必要性やメリット・デメリット、実際に開設する方法などをまとめました。
おすすめの組み合わせも紹介しているので、よりお得かつ便利な投資環境を整えたい方は最後までチェックしてみてください。
目次
証券口座は複数持つべきなのか?
複数の証券口座を検討する前に、まずは前提として押さえておきたい知識があります。
それは、大手のネット証券会社であれば、1社だけでも投資に困らないサービスを取りそろえていることです。
では、実際の大手ネット証券がどのようなサービスを提供しているのか、SBI証券を例に挙げて紹介しましょう。
SBI証券の金融商品 | ・国内株(現物取引、信用取引、IPO、ETF、REITなど) ・外国株(米国株や中国株をはじめとした9ヵ国の銘柄) ・海外ETF ・投資信託(投信積立や外貨建MMFなど) ・債券(円貨建債券、外貨建債券) ・FX(全28通貨ペア) ・先物オプション ・CFD ・金、銀、プラチナ ・保険商品(死亡保険や定期保険など) ・ロボアドバイザー など |
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SBI証券の取引サービス | ・ミニ株(単元未満株)取引 ・夜間PTS取引 ・立会外取引 ・テーマ投資 ・専用アプリやツールの提供 など |
SBI証券で利用できる制度 | ・一般NISA ・つみたてNISA ・ジュニアNISA ・iDeCo |
他の証券会社も同様に、大手ネット証券は投資初心者から上級者まで満足できるようなサービス体制を整えています。
ただし、実際に受けられるサービスは一様ではなく、各証券会社はシステムを見直したりアップデートしたりすることで、独自のサービス体制を築いています。
「国内株の現物取引だけでいい」と考えている場合は1社だけで十分ですが、以下のように複数の投資商品を組み合わせたい方などはやや不便さを感じるかもしれません。
・国内株と米国株の両方を購入したい
・IPO株の当選確率を少しでも上げたい
・手数料を抑えつつ、さまざまな投資商品に手を出したい
例えば、ネット証券のなかには国内株の手数料が安い会社や、豊富なIPO実績を持つ会社などが存在します。つまり、得意分野や力を入れているサービスは会社ごとに異なるので、よりお得かつ便利な環境を整えたいのであれば、複数の証券口座を検討すべきでしょう。
特に、興味のある商品や投資の目的が多い人ほど、複数の証券口座を持つメリットは大きくなります。
証券口座を複数持つ6つのメリット
複数の証券口座を持つと、ほかにも以下のようなメリットが発生します。
・利用できるサービスが増える
・取引手数料がお得になる
・IPO株の当選確率が上がる
・証券会社ごとの特長をフル活用できる
・リスクヘッジになる
・自分に合った証券会社を見つけられる
ここからは各メリットを詳しく紹介するので、「自分のニーズとマッチしているか?」を意識しながらチェックしていきましょう。
利用できるサービスが増える
証券会社によって商品の種類や数は異なるため、複数の証券口座を持つと利用できるサービスを増やせます。
例えば、同じ国内株の現物取引を見ても、SBI証券とその他の証券会社とでは別の銘柄を取り扱っています。そのほか、外国株式やIPO、投資信託などの銘柄も異なるので、証券会社の組み合わせ次第では投資の幅をぐっと広げられるでしょう。
人によってはこれまで見慣れなかった商品を目にすることで、新たな投資に興味が湧くこともあります。
取引手数料がお得になる
取引手数料がお得になる点も、複数の証券口座を持つメリットです。
例えば、SBI証券と楽天証券の口座を持つケースを考えてみましょう。
証券会社 | 取引手数料(定額コース) |
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SBI証券 | 1日の約定代金が100万円まで:無料 1日の約定代金が200万円まで:1,238円 |
楽天証券 | 1日の約定代金が100万円まで:無料 1日の約定代金が200万円まで:2,200円 |
上記はいずれも1日の約定代金によって手数料が決まるプランであり、約定代金が100万円までであれば両社ともに手数料はかかりません。つまり、それぞれの証券会社で100万円までの取引に収めれば、合計200万円までは手数料がかからない計算になります。
このように、組み合わせ次第では取引手数料を大きく抑えられるので、各証券会社の料金体系は細かくチェックしておきましょう。
IPO株の当選確率が上がる
IPOの株数は証券会社ごとに割り当てられるので、複数の証券会社を利用すればその分だけ当選確率を上げられます。ただし、そもそもIPO株を取り扱っていない証券会社も存在するため、各会社のIPO実績は事前に確認しておきましょう。
また、少しでも当選確率を上げるには、自分の投資状況に合った抽選方法を選ぶことも重要です。
例えば、大手ネット証券の抽選方法には以下のようなものが見られます。
・完全平等抽選:応募者の中から平等に当選者を選ぶ方式
・ポイント抽選:申し込んだポイントの分だけ当選確率が上がる方式
・独自基準による配分:資金量などの投資状況をもとに、証券会社が配分先を決める方式
自身の状況に適した抽選方法を組み合わせると、当選確率をぐっと高められることがあるので、複数の証券口座を持つ際にはしっかりと検討しておきましょう。
証券会社ごとの特長をフル活用できる
複数の証券口座をうまく使い分けると、各証券会社の特長をフル活用できます。具体的にどのような使い分けが考えられるのか、以下で一例を紹介しましょう。
○証券会社の使い分けの例
・A社で国内株、B社で外国株を購入することで、全体の手数料を抑える
・魅力的なポイント還元やキャンペーンがあるときだけC社を利用する
・チャート分析はD社で行い、実際の取引はツールが便利なE社を利用する
各証券会社の強みを活かすには、サービスの内容を十分に理解しておくことが必要です。ほかにもさまざまな使い分けがあるので、各社のサービスに目を通しながら考えてみましょう。
リスクヘッジになる
システムが安定した大手の証券会社であっても、深刻なトラブルが発生しないとは限りません。実際に回線やサーバーのトラブルが発生した例もあるので、複数の口座に資金・商品を分けておくとリスクヘッジにつながります。
特に中小の証券会社を利用している場合は、大手との統合や倒産などによって状況が一変することも考えられるため、複数の口座を持つ意味合いは非常に大きくなります。
自分に合った証券会社を見つけられる
ほとんどの方は、インターネットなどで情報収集をしてから口座の開設先を選んでいます。
しかし、サービスの使用感は人によって異なるので、実際に使ってみないと「本当に自分に合っているか」を判断することはできません。
そのため、個人投資家の中には多くの口座を開設し、自分の目で確かめてから相性が良い口座を選ぶ方も見受けられます。
ある程度の手間はかかりますが、証券口座の開設は無料で行えるため、最適な投資環境を整えたい人はこのような方法を実践してみましょう。
証券口座を複数持つ4つのデメリット
複数の証券口座を持つと、以下のようなデメリットが発生することもあります。
複数の口座があると管理が大変
投資を成功させる上で、資金やリスクの管理は欠かせないものです。ひとつの口座であれば管理方法もシンプルですが、複数の口座があると以下のようなことも考えなければなりません。
・それぞれの口座にどれくらい資金を入れるか
・どの口座をメインに資産運用をするか
・それぞれの口座から資金を引き出すタイミングはいつか
・どの口座で、どの金融商品に投資をするか など
つまり、資金管理・リスク管理のハードルが跳ね上がるので、投資初心者では運用が難しくなることもあります。
投資資金が分散する
複数の証券口座にそれぞれ入金をすると、必然的に投資資金が分散します。
これにはリスクヘッジの意味合いもありますが、投資資金が分散すると目当ての金融商品を購入できなかったり、IPOの抽選から漏れてしまったりなどの弊害が生じるケースもあります。
また、資金を再び集めるのに時間がかかるため、スピーディーな投資が難しくなる点も注意しておきたいデメリットでしょう。
確定申告が必要な場合も
確定申告の条件が複雑になる点も、複数の証券口座を持つ前に押さえておきたいポイントです。
確定申告が不要なケースの例 | 確定申告が必要になるケースの例 |
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・すべて特定口座(源泉徴収あり)であり、それぞれの口座で利益が発生した ・年間の利益が20万円に満たなかった | ・年間の利益が20万円以上あり、ひとつでも「源泉徴収なし」の口座が含まれている ・すべて特定口座ではあるものの、利益が出た口座と損失が出た口座があった |
なかでも、利益が出た口座・損失が出た口座の両方があるケースでは、確定申告をしないと税金の払い過ぎになってしまう恐れがあります。
ID・パスワードの管理が難しい
証券口座では多くの資金を扱うことがあるので、IDやパスワードはできるだけ複雑にしておきたいものです。そのため、証券口座によってパスワードを変える方は少なくありませんが、開設する口座が多いほどID・パスワードの管理は難しくなってしまいます。
メモ帳などにID・パスワードを記録しておく対策もありますが、セキュリティ面を考えるとこの方法はおすすめできません。
ID・パスワードが書かれたものを残すと、それだけでセキュリティリスクが高まってしまうため、証券口座の数は自分で管理できる範囲に留めることが望ましいでしょう。
証券口座を複数開設するためには
ここからは、複数の証券口座を開設する方法や、開設する際の注意点などをまとめました。
特にNISA口座には注意しておきたいルールがあるので、その点を意識しながら読み進めていきましょう。
複数の証券会社で口座開設を申し込む
ひとつの証券会社で、同じタイプの証券口座を2つ以上開設することはできません。
例えば、すでに特定口座を持っている場合は、同じ証券会社では一般口座しか開設できないことになります。
したがって、複数の証券口座を持ちたい場合は、複数の証券会社に申し込むことが必要です。マイナンバーカードなどの本人確認書類についても、開設する口座の分だけ用意する必要があるので、事前の準備を忘れないようにしましょう。
なお、必要書類をスマートフォンなどで撮影してネット上で提出できる証券会社を選べば、1部の本人確認書類だけでも申し込み手続きを済ませられます。
NISA口座は1人1口座まで
一般口座や特定口座は複数開設できますが、NISA口座については1人1口座までと決められています。つまり、非課税期間が終了して新たな口座を開設できる状況にならない限り、別の証券会社でNISA口座を作ることは原則できません。
NISA口座を別の証券会社に変更する制度はありますが、この制度は1年単位での利用となるため注意が必要です。
また、廃止通知書の取り寄せや新たな口座開設の手続きも必要になるので、最初にNISA口座を開設する証券会社は慎重に選びましょう。
【目的別】証券口座のおすすめ組み合わせ
複数の証券口座を持つ場合は、相性が良い証券会社を選ぶことが大切です。
ここからは、おすすめの組み合わせを目的別にまとめたので、証券会社選びで迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
①外国株に投資する場合
外国株への投資に興味がある方には、「SBI証券×DMM.com証券」の組み合わせがおすすめです。
証券会社 | 特長 |
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SBI証券 | 外国株の取扱銘柄数が業界トップクラスであり、特に米国株は5,000銘柄を超える。また、人気の米国株や中国株をはじめ、韓国株やロシア株など全9ヵ国の銘柄を取り扱う。 |
DMM.com証券 | 米国株式の取引手数料が、約定代金に関わらず一律0円。為替手数料も1ドルあたり25銭であり、ネット証券のなかでは安い部類に入る。 |
DMM.com証券の銘柄数はそれほど多くありませんが、その分はSBI証券がカバーしてくれます。
また、米国株投資をする際には、SBI証券で情報収集した銘柄をDMM.com証券から購入することによって、取引手数料を効率的に節約できるでしょう。
②少額から投資する場合
少額投資の選択肢を増やしたい方は、「SBI証券×マネックス証券×PayPay証券」の組み合わせを検討してみましょう。
証券会社 | 特長 |
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SBI証券 | 単元未満株(S株)を取引できる。また、S株の売却時には最低55円の手数料が発生するものの、買付時の手数料は全額キャッシュバックされる(※実質無料)。 |
マネックス証券 | 単元未満株(ワン株)を取引でき、かつ買付時の手数料が無料となる。また、単元未満株も貸株サービスの対象なので、ワン株を利用して金利を得ることも可能。 |
PayPay証券 | 国内株や米国株に1,000円から投資ができる。 |
SBI証券とマネックス証券は、単元未満株に関するサービスが充実している証券会社です。
また、PayPay証券では1,000円から株式投資が始められるので、これらの証券口座を組み合わせると少額投資の幅がぐっと広がります。
③IPOを当てたい場合
IPO株の当選確率を高めたい方には、以下の3社の組み合わせをおすすめします。
証券会社 | 特長 | 抽選方法 |
---|---|---|
SBI証券 | IPO株の取扱実績が豊富であり、2020年には全IPOの90%以上の銘柄(85社)を取り扱った。主幹事を務めた経験も多い。 | 60%:平等抽選 30%:申込ポイントに応じて配分 10%:独自基準による配分 |
マネックス証券 | IPO株の取扱実績が毎年安定しており、2020年には50件の銘柄を取り扱った。また、完全平等抽選であるため、どのようなユーザーにも当選のチャンスがある。 | 完全平等抽選 |
SMBC日興証券 | SBI証券ほどではないものの、IPO株の取扱実績が豊富。また、2015年頃から主幹事を務めるケースが増えてきており、2020年には主幹事数でSBI証券を上回った(16件)。 | 約10%:平等抽選 最大5%:ステージ別抽選 残り:独自基準による配分 |
SBI証券・マネックス証券・SMBC日興証券は、いずれもIPO株の取扱実績が豊富な証券会社です。
また、それぞれ異なる抽選方法が採用されているため、投資状況によってはIPO株の当選確率をぐっと高められます。
④手数料を安く抑えたい場合
とにかく手数料を抑えたい方は、以下の3社の組み合わせを検討してみましょう。
証券会社 | 特長 |
---|---|
SBI証券 | アクティブプランでは、1日の約定代金が100万円を超えない限り手数料が0円(国内株)。時期によっては、米国株やETFの買付手数料が0円になるキャンペーンも実施されている。 |
楽天証券 | いちにち定額コースでは、1日の約定代金が100万円を超えない限り手数料が0円(国内株)。また、大口優遇の条件を満たすと、信用取引の手数料が完全無料になる。 |
松井証券 | 25歳以下は現物取引の取引手数料が無料。26歳以上の方についても、1日の約定代金が50万円を超えなければ手数料が0円となる。 |
SBI証券・楽天証券・松井証券のプランを組み合わせると、1日最大250万円までは国内株などを手数料0円で取引できます。
また、松井証券はIPO銘柄の買付手数料も0円なので、IPO投資に興味がある方はぜひ選択肢に加えてみましょう。
証券口座を複数持つときのおすすめの証券口座5選
複数の証券口座を持つ場合は、メインとなる証券口座を事前に考えておくことも大切です。
そこでここからは、特におすすめしたい5つの証券口座をまとめました。
SBI証券
項目 | 概要 |
---|---|
プラン | ・約定プラン(スタンダードプラン) ・定額プラン(アクティブプラン) |
手数料 (国内株現物取引) | 【スタンダードプラン】(1注文の約定代金が基準) ・5万円まで:55円 ・10万円まで:99円 ・20万円まで:115円 ・50万円まで:275円 ・100万円まで:535円 ・150万円まで:582円 ・3,000万円まで:1,013円 ・3,000万円超:1,070円 |
【アクティブプラン】(1日の約定代金が基準) ・100万円まで:0円 ・200万円まで:1,238円 ・300万円まで:1,691円 ・300万円超:100万円増加ごとに295円 | |
外国株取扱国数 | 9ヵ国 |
米国株銘柄 | 5,000銘柄以上 |
IPO実績(2020年) | 85社(うち主幹事15社) |
利用できる制度 | 一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA、iDeCo |
主な特長 | ・国内株、外国株ともに銘柄数が豊富 ・IPOの取扱銘柄数が多い ・手数料が業界最安値水準 |
SBI証券の最大の魅力は、豊富な商品を取り扱っている点です。国内株式はもちろん、全9ヵ国の外国株式や各種債券、先物オプションなども取り扱っているため、選択肢に加えるだけで投資の幅を広げられるでしょう。
また、ネット証券としては取引手数料も安いので、SBI証券はコストを抑えたい方にもぴったりな証券会社です。
○こんな人におすすめ!
・幅広い商品に投資がしたい
・IPO投資に挑戦したい
・手数料を抑えて取引したい
楽天証券
項目 | 概要 |
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プラン | ・約定プラン(超割コース) ・定額プラン(いちにち定額コース) |
手数料 (国内株現物取引) | 【超割コース】(1注文の約定代金が基準) ・5万円まで:55円 ・10万円まで:99円 ・20万円まで:115円 ・50万円まで:275円 ・100万円まで:535円 ・150万円まで:582円 ・3,000万円まで:1,013円 ・3,000万円超:1,070円 |
【いちにち定額コース】(1日の約定代金が基準) ・100万円まで:0円 ・200万円まで:2,200円 ・300万円まで:3,300円 ・300万円超:100万円増加ごとに1,100円 | |
外国株取扱国数 | 6ヵ国 |
米国株銘柄 | 4,581銘柄 |
IPO実績(2020年) | 38社(うち主幹事0社) |
利用できる制度 | 一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA、iDeCo |
主な特長 | ・楽天ポイントが貯まりやすい ・貯めたポイントを投資に使える ・手数料が業界最安値水準 |
楽天証券の魅力は、クレカ積立などで貯めたポイントをそのまま投資に使える点です。
また、国内株の現物取引では2つのプランが用意されており、SBI証券と同じく業界最安値水準の手数料を実現しています。
さらに、取引ツールやアプリも充実しているため、投資初心者の方でもスムーズに取引や情報収集ができるでしょう。
○こんな人におすすめ!
・ポイントを効率的に貯めたい
・貯めたポイントを投資に使いたい
・手数料を抑えて取引したい
松井証券
項目 | 概要 |
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プラン | 定額プランのみ |
手数料 (国内株現物取引) | 【定額プラン】(1日の約定代金が基準) ・50万円まで:0円 ・100万円まで:1,100円 ・200万円まで:2,200円 ・200万円超:100万円増加ごとに1,100円(上限11万円) ※未成年を含む25歳以下は、手数料が完全無料 |
外国株取扱国数 | 国内市場に上場している一部の銘柄のみ |
米国株銘柄 | 国内市場に上場している一部の銘柄のみ |
IPO実績(2020年) | 18社(うち主幹事0社) |
利用できる制度 | 一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA、iDeCo |
主な特長 | ・NISAの売買手数料が無料 ・国内株も手数料を抑えやすいプラン ・情報収集用のツールが充実している |
松井証券はNISAの売買手数料が恒久無料であり、口座の維持手数料も一切かかりません。
また、パソコン専用のツール「QUICKリサーチネット」では、投資に関するレポートやアナリストのコメントなどを無料で確認できます。
全体的に無料のサービスが多いので、コストを抑えたい方にぴったりな証券会社でしょう。
○こんな人におすすめ!
・NISA口座を使って投資がしたい
・10~20代前半の若いうちに投資に挑戦したい
・投資に関する専門的な情報を収集したい
マネックス証券
項目 | 概要 |
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プラン | ・約定プラン(取引毎手数料コース) ・定額プラン(一日定額手数料コース) |
手数料 (国内株現物取引) | 【取引毎手数料コース】(1注文の約定代金が基準) ・10万円まで:110円 ・20万円まで:198円 ・30万円まで:275円 ・40万円まで:385円 ・50万円まで:495円 ・100万円まで:成行注文は1,100円、指値注文は1,650円 ・100万円超:成行注文は0.11%、指値注文は0.165% (※マネックストレーダー株式からのトレードは、50万円超から0.11%で固定) |
【一日定額手数料コース】(1日の約定代金が基準) ・100万円以下:550円 ・100万円超:300万円増加ごとに2,750円 (※別途、約定金額300万円ごとの売買に関するプランあり) | |
外国株取扱国数 | 2ヵ国 |
米国株銘柄 | 4,390銘柄 |
IPO実績(2020年) | 50社(うち主幹事0社) |
利用できる制度 | 一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA、iDeCo |
主な特長 | ・米国株、中国株が充実している ・ミニ株やFX、債券など、手数料無料の取引が多い ・IPOの抽選方法が完全平等 |
マネックス証券の外国株取扱国数は2ヵ国ですが、米国株・中国株を合わせた取扱銘柄数は6,000を超えています(※2021年1月11日時点)。
また、ミニ株やFXをはじめ、手数料が無料になる取引が多いので、余計なコストを極力抑えたい方にもぴったりな選択肢でしょう。
○こんな人におすすめ!
・米国株や中国株を中心に取引したい
・国内株以外の取引でも手数料を抑えたい
・IPOが完全平等抽選の証券会社を利用したい
LINE証券
項目 | 概要 |
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プラン | 約定プランのみ |
手数料 (国内株現物取引) | 【約定プラン】(1注文の約定代金が基準) ・5万円まで:55円 ・10万円まで:99円 ・20万円まで:115円 ・50万円まで:275円 ・100万円まで:535円 ・150万円まで:582円 ・3,000万円まで:1,013円 ・3,000万円超:1,070円 |
外国株取扱国数 | 取扱いなし |
米国株銘柄 | 取扱いなし |
IPO実績(2020年) | 2021年5月より取扱い開始 (※野村證券からの委託配分のみ) |
利用できる制度 | iDeCo |
主な特長 | ・LINEアプリから取引できる ・LINEポイントを使って投資できる ・国内株の手数料は業界最安値クラス |
LINE証券の魅力は、いつも使っているLINEアプリから簡単に取引ができる点にあります。注文~売却まですべての工程をLINE内で完結できるので、取引アプリやツールなどをインストールする必要はありません。
単元未満株の売買サービスである「いちかぶ」やIPO株など、徐々にサービスの幅を広げてきているので、今後のサービス拡充に期待したい証券会社でしょう。
○こんな人におすすめ!
・新しいアプリやツールをインストールしたくない
・LINEポイントを使って投資がしたい
・国内株の取引手数料を抑えたい
証券口座を複数持つ場合の確定申告・損益通算はどうなる?
証券口座には以下の3種類があり、どの口座に該当するかによって確定申告の扱いが異なります。
証券口座の種類 | 概要 |
---|---|
特定口座(源泉徴収あり) | 利益が生じたタイミングで、証券会社が税金分(20.315%)を自動的に差し引くタイプの口座。税金の計算や源泉徴収、納税までを証券会社が代行してくれる。 |
特定口座(源泉徴収なし) | 取引ごとに税金が差し引かれない口座なので、年間取引報告書をもとに自身で確定申告を行う必要がある。 |
一般口座 | 特定口座(源泉徴収なし)と同じく、確定申告の必要があるタイプの口座。また、年間取引報告書が発行されないため、自身で各取引の記録をチェックする必要がある。 |
管理している口座に「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」がひとつでも含まれる場合は、税金を納めるための確定申告が必要になります(※年収や利益により、確定申告が免除される方は不要)。
また、すべての口座が「特定口座(源泉徴収あり)」に該当する場合であっても、損益通算が必要になる場合は自身で確定申告をしなければなりません。
損益通算が複数の口座間で自動的に行われることはないので、利益が出た口座と損失が出た口座の両方がある場合は、毎年3月の確定申告を忘れないようにしましょう。
各社の強みを活かせるような組み合わせを見極めよう
証券口座の複数持ちには魅力的なメリットがある一方で、注意しておきたいデメリットも潜んでいます。
また、各証券会社の強みを活かすことが前提になるので、口座の組み合わせ方は慎重に判断しなければなりません。
証券口座の開設先をこれから増やす方は、本記事で紹介した証券会社などの情報も参考にしながら、投資スタイルや目的にぴったりな組み合わせを見極めていきましょう。