貯金の代わりに投資信託を買うと資産が本当に増えるのか?
(画像=お金のミカタイムZ 編集部)

現在は、お金を普通預金や定期預金に入れても資産があまり増やすことは難しいですが、貯金の一部を使って投資信託を購入することで、資産を増やせる可能性が高くなります。

実際、普通預金で増えないならば、投資で増やそうと「投資信託」を始める人が増えています。そもそも、投資信託は、貯金の代わりになるのでしょうか。本記事で解説します。

目次

  1. そもそも投資信託とは?
  2. 投資信託の運用でおすすめの証券会社
    1. SBI証券:サービスの充実度は、業界トップクラス
    2. 楽天証券:初心者にも経験者にも高評価
    3. 松井証券:情報ツールが充実
    4. auカブコム証券:初心者に対しても充実したサービス
    5. マネックス証券:外国株が充実している
    6. 岡三オンライン:トレードスタイルに合わせた取引が可能
  3. 貯金の2つのデメリット
    1. 金利が低くて資産が増えにくい
    2. インフレになると資産が目減りする
  4. 貯金の代わりに投資信託を始めるメリット
    1. 投資のプロに運用してもらえる
    2. 分散投資が容易
    3. 分配金を受け取れる
    4. NISAやiDeCoの対象商品
  5. 投資信託を堅実に運用するコツ
    1. 「長期・積立・分散」を組み合わせる
    2. 預金とのバランスをうまく取る
    3. 運用状況を定期的に見直す


そもそも投資信託とは?

投資信託とは、投資家がお金を出し合い、まとまった資金をプロが運用する金融商品です。投資信託では複数の株式や債券、不動産などに投資しているため、1本の投資信託で投資先を分散できます。

投資信託を購入する前には、販売会社から交付される「目論見書」に目を通しましょう。

目論見書には、投資信託のポートフォリオに入っている投資先の内訳や運用方針、リスク、費用などの投資判断に必要な情報が記載されています。

購入後は、決算(※)ごとに交付される「運用報告書」で実績や今後の方針を確認することができます。

(※)投資信託の資産や運用状況などについて明らかにすること

投資信託の運用でおすすめの証券会社

ここからは、投資信託への投資で使えるおすすめの証券会社6社を紹介します。

SBI証券:サービスの充実度は、業界トップクラス

投信銘柄数2,628銘柄(全てノーロード)
投資スクリーニングツール投資信託パワーサーチ(20種類)
ポイントシステムPontaポイント/Tポイント/dポイント
Vポイント(積立ての買付け決済を三井住友カードで決済)
つみたてNISA対象銘柄176銘柄
投信積立銘柄2,491銘柄

SBI証券は、1999年にインターネット取引サービスを開始して以来、投資家から高い評価を得ています。

最近では、IPO(新規公開株)の引受、法人ビジネスなどの業務拡大を推進し、オンラインに留まらず、証券業界全体での存在感が高まっています。

取扱い銘柄数の多さ、手数料、ポイント連携などサービスの充実度は、業界トップクラスです。

日常生活の中で、PontaポイントやTポイントをよく利用するという方は、SBI証券で取引することでポイントの相乗効果が期待できます。

住信ネット銀行の口座を利用している方はSBI証券と連携すると「SBIハイブリッド預金」というサービスを利用できるようになり、普通預金金利0.01%が適用され、通常の0.001%と比較すると10倍の高金利で預けることができます。

楽天証券:初心者にも経験者にも高評価

投信銘柄数(※)2,665銘柄(全てノーロード)
投資スクリーニングツール投信スーパーサーチ(16種類)
ポイントシステム楽天ポイント
つみたてNISA対象銘柄179銘柄
投信積立銘柄2,536銘柄
(※)投信は投資信託の略称。

楽天証券は、取扱い銘柄数の多さ、手数料の安さ、ポイント連携などサービスが充実しています。

投資信託だけでなく国内外の株式、FX取引など豊富なオンライントレードは、初心者にも経験者にも高い評価を得ています。

楽天ポイントプログラムは、取引のほか、紹介やキャンペーンでも貯められ、グループ企業でのショッピングに使うことも、投資信託など購入に利用するなど相乗効果が期待できます。

ネットショッピングやクレジットカード利用など楽天ユーザーにとっては多くのメリットがあります。

松井証券:情報ツールが充実

投信銘柄数1,581銘柄(全てノーロード)
投資スクリーニングツール投資信託はじめてナビ(12種類)
ポイントシステム松井証券発行クレカ利用でポイント付与
Amazonギフト券や商品交換、投信積立に利用可
つみたてNISA対象銘柄172銘柄
投信積立銘柄1,564銘柄

1918年創業の老舗証券会社で、日本で初めてインターネット取引を導入したネット証券です。手数料体系や無期限信用取引など数々の業界初の取り組みは、幅広い世代の評価を得ています。

リアルタイムで更新される情報画面と発注・約定画面が一体となった「ネットストック・ハイスピード」に加え、スマホ向けアプリなど情報ツールが充実しています。

将来的には、株取引などを視野に効率よく利益を上げたい人に向いています。

auカブコム証券:初心者に対しても充実したサービス

投信銘柄数1,510銘柄(全てノーロード)
投資スクリーニングツール-
ポイントシステムauPayカード決済でPontaポイント1%付与
au回線やUQmobile利用でポイント付与+4%
つみたてNISA対象銘柄163銘柄
投信積立銘柄1,484銘柄

三菱UFJフィナンシャルグループのネット金融サービス会社です。

取引単位に満たない単位未満株の売買(プチ株取引)や投資信託など投資初心者に対しても充実したサービスを提供しています。

au PAY カード決済でPontaポイント1%付与、au回線やUQ mobileの利用でポイント+4%が付与など生活スタイルに合わせた活用が効果的です。

また、NISA口座を開設した場合、継続年数によって割引率が変化するNISA割の対象となることや投資信託の月間平均保有残高に応じたPontaポイント付与も魅力です。

マネックス証券:外国株が充実している

投信銘柄数1,241銘柄(全てノーロード)
投資スクリーニングツール-
ポイントシステムマネックスポイント(Amazonギフト券などと交換可能)
つみたてNISA対象銘柄152銘柄
投信積立銘柄1,196銘柄

マネックス証券は、米国株や中国株などの外国株に力を入れている証券会社です。

さらに一般NISA口座を通じた米国株・中国株の取引手数料は、全額キャッシュバックされます。
投資信託の購入手数料は、一般NISAでもつみたてNISAでも全銘柄が無料(ノーロード)です。

「マネックスカード投信つみたてサービス」では、ポイント付与1.1%と還元率が高く設定されています。 また、セミナー情報やキャンペーン情報を確認できる「マネックス証券アプリ」は、使いやすいと好評です。

岡三オンライン:トレードスタイルに合わせた取引が可能

投信銘柄数552銘柄(全てノーロード)
投資スクリーニングツール-
ポイントシステム-
つみたてNISA対象銘柄-
投信積立銘柄544銘柄

岡三オンラインは、岡三証券が提供するネット証券です。

トレードスタイルに合わせた信用取引やFX取引が可能な点などに対しては高く評価されていますが、NISAについては一般NISAに限定され、つみたてNISAの取扱はありません。

貯金の2つのデメリット

金利が低くて資産が増えにくい

普通預金金利は、多くの金融機関で0.001%と低い金利が続いています。

100万円預けても1年間で利息は10円にしかならず、税金を控除すると手取りはわずか8円です。貯金で将来に必要な資金を貯めたいのなら、収入の一部を貯金に移し続けるしかありません。

少しでも高い金利を目指して、定期預金のキャンペーンを利用してもさほど変わらないのが現実です。

普段使わない金融機関に口座開設したものの、資金移動のための振込手数料にキャンペーン相当がかかってしまったというケースもみられます。

元本保証のはずの預貯金が、夜遅くのコンビニでの引出しに手数料がかかり、結果的に元本割れであることに気づいていない事例も見受けられます。

インフレになると資産が目減りする

2022年に入ってから多くの商品やサービスが値上がり傾向にあります。気候変動や政治情勢、為替の影響などさまざまな要因が考えられます。

商品やサービスの値段を総合的に表したものを物価といいますが、物価が5%上昇すると、それまで1,000円と表示されていた商品は1,050円となり千円札1枚では商品を買うことができなくなります。

つまり千円札というお金の価値が下がってしまったのです。

わかりやすく1,000円、物価上昇率5%で説明しましたが、50円であればそれほどのインパクトはないものの、家計を切り詰めて貯めた銀行預金残高の100万円でも同じ現象が起きます。

貯金の代わりに投資信託を始めるメリット

貯金で資産が増えないならば、投資で増やそうと考えるのは納得できます。そして、投資の初めての一歩として「投資信託」は最適と言えるでしょう。

その理由は以下の通りです。 それぞれのメリットについて詳しくみていきましょう。

投資のプロに運用してもらえる

例えば、株式投資で考えてみましょう。ある企業の株式を購入しようとした場合、その会社の事業内容、経営状態を知る必要があります。

業界の動向や環境、経営者の経歴などを調べ、将来性や安定性に投資をする価値があると判断できれば「買い」です。そして、購入後も株主として経営状態を把握し続けます。

個人レベルでは時間も手間もかかりますし、そもそも経営者目線で考えることに限界あります。

一方で、投資信託はファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロが投資先の調査や分析を行い、投資の判断や運用をしてくれます。

分散投資が容易

個人投資家が1つの銘柄に100万円を投資した場合は、思わぬ事態により破綻して価値がゼロになることもあり得ます。

投資信託を活用して100人の投資家が100万円ずつお金を出し合い、1億円をファンドマネージャーが厳選した100の銘柄に投資したとすると、たとえ1社が破綻したとしても、残りの99社に利益が出ていれば、結果として実績はプラスになります。

分配金を受け取れる

利益は投資参加者で分配するのが投資信託です。
投資信託の場合は、それぞれの利益も一括管理、運用コストやファンドマネージャーの報酬を差し引いた上で分け合うという仕組みです。

基本的には、運用実績によりますが、予め分配金を設定している投資信託もあり、「毎月分配型」と呼ばれるファンドなどが該当します。

貯金における利息のように、分配金を受け取ることで投資の成果を実感できるという点でメリットと言えるでしょう。

NISAやiDeCoの対象商品

NISAやiDeCoは、投資で発生した利益が非課税になる制度です。

一般社団法人投資信託協会によると、2022年4月末現在、公募投資信託の数は5,935本あるので、数ある投資信託のなかから自分にあったファンドを選ぶことは至難の業です。

つみたてNISAの商品ラインナップについては、法令上の基準をクリアした商品に限られていることから投資初心者でも選びやすいでしょう。

なお、iDeCoは、老後資金づくりを目的として資産形成を実現できる制度です。

NISA同様の運用益非課税に加え、積立て時の所得控除や受取り時の退職所得控除もしくは公的年金等控除の適用など税制面での優遇が魅力です。

投資信託を堅実に運用するコツ

貯金の代わりとして投資信託を始める場合は、何よりも堅実に取り組むことが大切です。 当然ながら、一攫千金を狙うギャンブルではなく、普通預金や定期預金金利を上回る運用実績をめざし、着実に将来へむけた資産形成を達成したいものです。

「長期・積立・分散」を組み合わせる

投資信託1万口あたりの価格のことを「基準価額」と呼びます。

この基準価額は日々変動しており、買いたい人が多ければ上がり、売りたい人が多いと下がります。週単位など短期で見ると小刻みに推移しますが、年単位など長期で見るとなだらかな曲線になります。

毎月1万円ずつAファンドを購入すると仮定しましょう。スタート時の基準価額は1万円で1万口購入できたとします。

その後の基準価額は、2月目8,000円、3月目1万2,500円と推移した場合、購入できる口数は、2月目12,500口、3月目8,000口と、月により購入できる口数は異なります。

これを繰り返しながら積み立てることで、購入単価は平均化され、価格変動のリスクを回避することができるのです。

投資先を1つに集中すると、保有資産の評価額はその値動きに直接影響を受けます。値動きの異なる複数に分散して投資をすることで、価格の変動が小さくなり、リスクを軽減することができます。 また、投資先を日本国内だけでなく世界に広げる「地域の分散」もより成長が期待できるため有効です。

このように「長期」「積立」「分散」のそれぞれが有効なのですが、組み合わせることで、リスクを軽減しつつ安定した資産形成が可能になります。

預金とのバランスをうまく取る

お金を貯金よりも投資信託に回すことで資産を増やせる可能性が高くなります。しかし、全資産で投資信託を購入すると少しの損失で生活に支障をきたす恐れが出てきます。

投資信託は全資産の一部で投資して、残りは冠婚葬祭などの突発的な支出を無理なく支払えるように貯金しておきましょう。

この貯金と投資信託の割合は、世代によって収入や出費の内訳が異なるため、最適なバランスが変わります。その違いには何があるのかを見てみましょう。

【世代別のバランスの取り方】

ここでは「新社会人世代」「子育て世代」「定年間近世代」に分けて、貯金と投資信託のバランスについて解説します。

・新社会人世代
新社会人世代は、基本的に手元資金が少ないのが現状でしょう。毎月一定額の積立貯蓄を多めに確保しつつ、可能な範囲で1000円でも2000円でも将来に向けた積立投資を開始したいものです。

・子育て世代
家族構成や働き方にもよりますが、将来への不確定要素も多く、出費の多い世代です。目的別に予算を決めて家計収支を調整することがポイントです。また少しずつ老後資金の準備を始めましょう。

預貯金、定期預金もしくはリスク小投資商品、投資商品をそれぞれ3分の1ずつの配分をベースに家計を調整してみましょう。

・定年間近世代
給与収入から年金収入にむけて、ライフプランの再確認に時間を使いたい時期です。

これまでの経験を活かした積極投資も否定はしませんが、基本的には定期預金など預貯金を多めに確保したうえで、余剰資金での投資を検討しましょう。

【資金やニーズ別のバランスの取り方】

使う時期によって資金を、「短期」「中期」「長期」の3つに分けて考えてみましょう。

「いつまでに」「いくら」「どのように」が明確になると、守るべき資金なのか、増やしたい資金なのかが見えてきます。つまり、ゴールからの逆算で考えるということです。

・短期的資金
生活費や旅行資金、慶弔費、家電製品の故障等に備える資金は、普通預金など流動性ある預貯金で確保します。金額は、手取り収入の半年~1年分を確保が目安となります。

・中期的資金
年齢にもよりますが、住宅購入の頭金、教育費など概ね10年以内に使う予定のあるお金は、増えなくても減らさないことが大切ですので定期保険のほか、個人向け国債など価格変動の少ない投資商品で確実に資産を積み上げます。

・長期的資金
老後資金などは、iDeCoなどを利用した投資で時間を味方に付けて資産形成を目指します。

運用状況を定期的に見直す

海外の教育事情と異なり、日本人の金融リテラシー不足は否めないところです。しかしながら、投資を始めるにあたっては、今後は、継続的に「お金」に向きあうことをおすすめします。

AIによる投資戦略や優秀なファンドマネージャーによる運用であったとしても、家族構成や働き方、また価値観により状況は異なります。

自分にとって最適な状況、安心できる体制を維持していきたいものです。最近では、スマホのアプリで現状を把握することも手軽にできるようです。定期的な現状把握、そして必要に応じて、見直しをしていきましょう。