円安で資産が増える人、資産が減る人の違い
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2022年3月中旬ごろから、日本円は急激な円安に進んでいます。一時は1ドル131円になるほどです。円安になるということは、他の通貨と比べて円の価値が低くなっていることを指します。円安にはメリットもありますが、輸入コストが上がり原材料価格がアップ、そして物価の上昇につながるといったデメリットもあります。つまり、日本人からすると日本円の資産がどんどん減っていくことになるのです。そこで本記事では、今後の円安を見据えながら資産を増やすために、円安の状態でも資産が増える人と減る人の違いについて紹介します。

目次

  1. そもそも円安で資産が増えるのはどんな人?
  2. 円安で資産が減るのはどんな人?
  3. 今後はどう立ち回るべきなのか?
  4. 円安で資産が増える人・減る人の違いは「投資に関する知識」と「リスク許容度」?


そもそも円安で資産が増えるのはどんな人?

円安になるということは、普段1ドル100円程度で交換できていたものが、1ドル130円になることです。冒頭でも説明したように、円安が進むと物価の上昇が懸念され、日常生活で日本円を使う日本人にとっては出費が増えやすい傾向があります。

しかし、そんな円安局面でも、うまく立ち回って資産を増やしている人も存在します。ここでは、円安でも資産を増やしている人の特徴について見ていきましょう。

ドルベースで資産保有している

2022年6月現在、日本円は外国の主要通貨に対して全面的に円安となっていますが、特に顕著に円安になっているのはアメリカドルに対してです。そのため、円安が進む前からアメリカドルベースの資産を持っている人は、資産が増えているでしょう。

例えば、1ドル100円で1万ドル購入していたとします。100円×1万ドルで100万円です。それが1ドル130円になるとどうなるでしょうか。130円×1万ドルで130万円となり、30万円資産が増えていることになるのです。

このように、外国通貨を資産運用に取り入れることで、円安になった際に資産を増やすことも期待できます。

円安で株価が上がる株式を保有している

円安で株価が上がる株式を持っている人も資産を増やすことができます。円安は、外国通貨のような直接的な影響だけではありません。一般に、円安になるということは、外国との取引をしている輸出企業にとって大きな追い風になります。外国との取引で得た外貨を円に交換する際に、円高のときよりも多くの日本円を手にすることができるからです。

その他に、輸出企業にとっては価格競争力が高まるというメリットもあります。例えば、日本円で300万円の車をアメリカで販売するケースを考えてみましょう。1ドル100円のときは、3万ドルでの販売になりますが、1ドル130円になると約2万3,000ドルでの販売ができます。

つまり、安い価格で販売することになるため、買い手がつきやすく価格競争で有利になるというわけです。そうすると輸出企業の収益が増え、株式の価値も上がっていくため、株価が上昇するという仕組みです。

円安で資産が減るのはどんな人?

それでは反対に、円安局面で資産が減っていくのはどんな人でしょうか?

円ベースでしか貯金していない

外貨や投資は怖いからと、資産を日本円だけにしている人は、資産が減っていくばかりかもしれません。円安になることで、物価が上昇すると、じわじわと支出が増えていくからです。

例えば、「原油高によるコスト上昇で値上げせざるを得ない」というニュースを耳にしたこともあるかもしれません。商品の値段が10~30円値上がりしてもさほど関係ないと思っているかもしれませんが、あらゆるものの値段が上がっていくにも関わらず、給料が変わらなければ家計を圧迫するだけです。

外国に旅行や仕事で行くこともなく、日本にいるだけだから「外国通貨は自分には関係ない」と思っていても、為替の影響は日本での生活にも関わってくることを覚えておきましょう。

円安に弱い株式を保有している

円安では輸出企業の株価が上昇しやすいと説明しましたが、円安に弱い株式もあります。円安局面で、円安に弱い株式を保有していると、資産が減っていくばかりかもしれません。

円安に弱い株式とは、一般的に輸入を行う企業の株式です。先のケースとは反対に、1ドル100円のときに、アメリカから3万ドルの車を輸入したとしましょう。日本円にすると300万円ですが、1ドル130円になったら、同じ3万ドルであっても日本円で390万円必要になります。

90万円も高くなるため、それをさらに日本で売ろうと思えば、手に入れた値段よりもさらに高くしないと経費分がマイナスになるでしょう。しかし、日本での販売価格を値上げすると買い手がつかないことも考えられます。結果的に輸入企業の業績が低迷すると、株価が下がる可能性が出てくるわけです。

今後はどう立ち回るべきなのか?

為替は常に変動し、また円高になってくるかもしれません。今後はどのように立ち回るべきなのでしょうか。今後の見通しやどんな対策があるのかを紹介します。

円安は一時期よりも落ち着いてきている

アメリカドルと日本円との関係を見ると、一時期よりは円安傾向が落ち着いてきていると言えるでしょう。しかし、世界情勢や金融政策の転換などによって、再び円安が進むことも考えられます。

さらなる円安に傾きそうなら、そのために何ができるか

今後も円安が期待できるのであれば、どういった対策をすれば良いのでしょうか。対策の一例としては、「資産の分散」が挙げられます。日本円だけの資産を持つのではなく、いろいろな外国通貨に分散したり、円安に強い株式や、海外に投資する投資信託を購入するのもよいでしょう。投資信託の場合、円安による値上がり益を狙うのなら、為替ヘッジが「なし」の商品を選びます。

ただし、価格が変動する金融商品は、元本割れのリスクがあるため、その点についてしっかり理解しておく必要があります。もし「さらなる円安がくる」と見込むのなら、ドルベースの資産を持つことも検討してみましょう。

揺り戻しがありそうなら、それに備えて何ができるか 

反対に「これからは円高になる」と思えば、円高に備えて円高に強い株式に投資するのがおすすめです。現在、外貨資産を持っていて大きな利益が出ているのであれば、売却して利益を確定しておくのも良いでしょう。そのほか投資信託であれば為替ヘッジが「あり」の商品を選ぶと、円高による値下がりリスクを軽減することができます。

また、円高になったタイミングで、外貨預金を始めるのもおすすめです。円安時よりも、少ない円で多くの外貨を購入でき、いずれ円安になったときに円に交換すれば資産を増やすことができます。

円安で資産が増える人・減る人の違いは「投資に関する知識」と「リスク許容度」?

現在の日本では、銀行預金に預けていても、金利が低いことから資産は一向に増えません。加えて、グローバル化が進んだことで、円の価値も海外情勢の影響を大いに受けてしまいます。資産の中に、日本円以外の通貨を持つことも検討してみるとよいでしょう。

特に、本稿で紹介したように、円安は家計にとってデメリットとなることもあります。円安下でも資産を増やそうと思うのなら、「投資に関する知識」を身に着けることはもちろん、自身の状況に応じた「リスク許容度」の範囲で資産運用に取り組んでいく必要があります。この2つを理解しているかどうかが、円安で資産が増える人、減る人の違いの一端とも言えるでしょう。