主婦が「iDeCo」を始めるメリットとは?
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公的年金に上乗せして、老後資金を準備できる「iDeCo(イデコ)」があります。2017年に制度が改正され、加入できる対象が拡大したことで、加入者は約200万人まで増えており、その中でも女性の割合が増えています(2021年5月時点)。

そこで本記事では、主婦に向けて、iDeCoの加入メリットやよくある疑問にお答えしながら、人気の理由を探っていきます。

目次

  1. iDeCoのおさらい
  2. 主婦でもiDeCoはできる?
  3. 主婦がiDeCoを始めるメリット
  4. どうすればiDeCoを利用できる?
  5. 将来に備えて今こそ始めよう


iDeCoのおさらい

日本では公的年金の加入が義務付けられており、原則として65歳から老齢年金を受け取れる仕組みになっています。iDeCoは、その公的年金の上乗せとして、自分で金融機関に申し込み、自分で毎月(もしくは毎年)の掛金を設定し、自分で運用先を選んで将来の老後資金を積み立てる制度です。1年間の掛金が所得控除となるため、節税効果が期待でき、将来受け取る資金に対しても税金の優遇がある点が人気の理由です。

積み立てた掛金は、60歳から75歳までで、自分が決めた年齢から受け取りを開始することができます。受け取り方は、一括で受け取ることもできますし、年金形式で受け取ったり、2つの方法を併用したりすることもできます。例えば、60歳までに積み立てた掛金と運用益の合計が500万円だった場合は、10年間での受け取りを選択すると、1年間で50万円×10年とすることもできますし、250万円は一括で受け取り、残り250万円を25万円×10年として受け取ることもできます。

制度を利用できるのは、20歳から60歳までの公的年金制度に加入している人ですので、パートナーの扶養に入っている主婦も加入対象となります(加入年齢に関しては、条件を満たせば65歳まで加入することができます)。毎月の掛金は、5,000円以上1,000円単位で決められますが、公的年金の加入状況によって、上限額が定められています。

主婦でもiDeCoはできる?

パートナーの扶養に入っている主婦の場合でも、iDeCoはできます。ただし、パートナーの働き方で、掛金の上限額が異なります。パートナーが自営業などで国民年金の場合は、毎月の掛金は6万8,000円まで、パートナーが会社員の場合は、2万3,000円が毎月の掛金の上限額になります。

積み立てた掛金は、60歳までは基本的に引き出しできないため、教育費や住宅購入などの老後までに必要な資金を考慮し、無理のない範囲で掛金を考えましょう。毎月の掛金額は1年に1度変更することはできますし、途中で掛金を止めることもできますので、気軽に始めることができるでしょう。掛金の積み立てをストップしても、預けた資金の運用は継続できます。

主婦がiDeCoを始めるメリット

主婦の場合、老後の年金は基礎年金だけとなり、年金額は満額でも78万円程度です(令和4年度)。厚生年金に加入していた期間があれば、その分は将来の年金に加算されます。しかし、厚生年金の加入期間が短ければ、加算される年金額は少額です。将来に備えて、年金収入をコツコツ増やしていく必要があるでしょう。

前述でiDeCoには税金の優遇があるとお伝えしましたが、税金の優遇は「掛金を積み立てている期間」、「運用中」、「受け取り時」と3つあります。

掛金を積み立てている期間は、「1年間の掛金×税率(所得税+住民税)」分の税金が軽減されます。例えば、所得税5%、住民税10%の場合は、年間12万円(毎月1万円)を積み立てれば12万円×15%(所得税5%+住民税10%)=1万8,000円が1年間で節税できます。

しかし、給与収入が年間103万円以下の場合、所得税は0円ですので、メリットはありません。今後、年収103万円を超えて働く予定がある人には、節税効果があるでしょう。

どうすればiDeCoを利用できる?

iDeCoを始めるには、iDeCoの取り扱いがある金融機関に加入申込書を提出します。

金融機関によって商品のラインナップや手数料が異なるので、比較しながら金融機関を選びましょう。最寄りの金融機関の場合は、相談窓口から直接相談できる点がメリットです。対面での相談だと、書類の不備や記入ミスなどを防ぐこともできます。主婦は日中動きやすいと思いますので、対面、ネット双方を検討してみると良いでしょう。

加入申込書には、氏名や住所の他に、「基礎年金番号」「掛金の引落口座情報」「掛金額」などを記入します。会社員の場合は、事業主の証明が必要となり、掛金を給与天引きにするか、銀行口座引き落としにするかなど、チェック欄がありますが、主婦の場合はそれらが不要になります。

書類を提出してから手続き完了まで2ヵ月ほどかかります。無事に加入できると国民年金基金連合会からは「個人型年金加入確認通知書」、申し込み先の金融機関からは口座開設のお知らせやパスワード等が届きますので、大切に保管しましょう。書類に記載された情報を基に、運用商品を選択して、あとは月々積み立てていくだけです。

将来に備えて今こそ始めよう

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