年金の受給額が横ばいになっているのに年金保険料だけが増え続ける状況で、老後資金に不安を感じている人は少なくありません。老後の生活で必要な資金をシミュレーションしようにも、住んでいる地域によって生活費は変わるので、細かい試算が難しいケースもあるでしょう。
そこで本記事では、老後に必要な生活費をまとめました。最近注目される「田舎暮らし」についても、シミュレーションの方法や注意点を分かりやすく解説します。
老後資金はいくら必要?
老後に必要な生活費を計算するためには、最初に支出を明らかにする必要があります。
総務省が公表した「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」によると、65歳以上の夫婦高齢者無職世帯における支出は1ヵ月あたり224,390円、高齢者単身無職世帯では133,146円が平均値でした。
支出の内訳 | 夫婦高齢者無職世帯の割合 | 高齢者単身無職世帯の割合 |
---|---|---|
食料 | 29.3% | 27.5% |
住居 | 6.5% | 9.3% |
光熱・水道 | 8.8% | 9.7% |
家具・家事用品 | 4.6% | 4.0% |
被覆及び履物 | 2.1% | 2.4% |
保健医療 | 7.2% | 6.2% |
交通・通信 | 11.9% | 9.0% |
教育 | 0.0% | 0.0% |
教養娯楽 | 8.8% | 9.7% |
その他の消費支出 | 20.8% | 22.2% |
一方で、現在40歳の女性が将来的に受け取れる年金は、フルタイム勤務で年間およそ148万円、パートタイム勤務で年間およそ106万円と言われています(※)。では、上記の高齢者単身無職世帯のデータをつかって、老後資金を簡単に計算してみましょう。
(※)年収や勤続年数によって実際の受給額は変わる。
高齢者かつ単身無職世帯のシミュレーション
現在40歳の女性が将来的に受け取れる年金受給額を踏まえ、フルタイム勤務とパートタイム勤務に分けて、老後に必要な生活費をシミュレーションしました。
-フルタイム勤務の場合
年間消費支出-1年間の年金受給額(148万円)=1年で必要な老後資金
(133,146円×12ヵ月)-148万円=年間122,248円余る
-パートタイム勤務の場合
年間消費支出-1年間の年金受給額(106万円)=1年で必要な老後資金
(133,146円×12ヵ月)-106万円=年間297,752円足りない
上記のようにシミュレーションをしてみると、年金収入だけで老後資金を賄うことは難しい場合があると分かります。
実は老後資金に不安視しなくて良いケースも!?
消費支出を減らしたりシニア人材として働いたりなど、老後資金を賄う方法はいくつかあります。その中でも、近年では生活費を抑えやすい「田舎暮らし」がさまざまなメディアで取り上げられています。
実際に田舎暮らしを始めると、どれくらい消費支出を減らせるのでしょうか。
例えば、都会に比べると田舎の家賃は2~3万円ほど安いと言われており、これを年間支出に換算すると24~36万円の節約になります。駐車場つきの戸建てタイプを選べば、都会では月数万円の駐車場代もかかりません。
また、総務省が公表した「小売物価統計調査(構造編)2020年(令和2年)」によると、地方にあたる都道府県の物価指数は96~98程度です(※全国平均を100とした場合)。つまり、食費や消耗品費、交通費などが2~4%ほど安くなるため、住居費を除いても年間数万円の節約につながるでしょう。
地方移住の注意点
田舎は家賃や物価が安いものの、移住先によっては余計に生活費がかかってしまうケースもあります。ここからは、地方移住で特に注意したい2つのポイントを紹介します。
プロパンガスは光熱費が増えてしまう
生活インフラが整っていない田舎では、都市ガスがないケースも珍しくありません。もしプロパンガス(LPガス)しか選択肢がない場合は、ガス代が1.8倍~2.0倍ほど高くなってしまいます。
ガス料金は必ず発生するコストなので、物件の購入時・契約時には設備をしっかりとチェックしておきましょう。
アクセスが悪い地域では車が必須になる
都会から地方に移住すると、多くの人は「交通の便の悪さ」に驚かされます。特にスーパーや病院、駅、バス停などが近くにないエリアでは、車やバイクがないと快適な生活は送れません。
レンタカーやカーシェアリングを利用する手はあるものの、これらのサービスが利用できる地域は限られています。自家用車を持つ場合も、ガソリン代や車検代、駐車場代、保険料などがかかるので、生活費のシミュレーションは慎重に行いましょう。
地方移住の前にまずは資産形成から考えよう
田舎は家賃や物価が安いため、一般的には生活費を抑えやすいイメージが持たれています。しかし、移住先によっては生活が不便になるだけではなく、かえって生活コストが上がってしまう場合もあります。
そのため、老後資金に困っているからと言って、よく調べもしないで地方に移住をするべきではありません。余裕をもって老後を意識すれば、都会で暮らしていく選択肢も生まれるので、早めの資産形成をぜひ考えてみてください。
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