知らないともったいない!生命保険控除でいくらお得になる?
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生命保険に加入している人は、生命保険控除によって節税できる可能性があります。ただし、生命保険控除は申請が必要になるので、内容を知っておかないと有効活用ができません。そこで本記事では、生命保険控除の内容を分かりやすく解説します。

目次

  1. そもそも生命保険控除とは
  2. 実際に税金がいくらお得になる?
  3. 年収によって節税額が変わる
  4. 積立型の保険で節税を活かす
  5. 生命保険控除は忘れずに申告しよう


そもそも生命保険控除とは

生命保険控除は、国が実施する所得控除の1つです。この制度では、実際に支払った生命保険料を所得(※)から差し引けるため、適用されると所得税や住民税の負担を抑えられます。

(※)収入から必要経費や控除分を差し引いて計算する金額のこと。

生命保険控除は節税になりますが、適用を受けるには税務申告(年末調整または確定申告)が必須です。税務申告の際には、保険会社から送付される「控除証明書」が必要になるため、紛失しないように保管しておきましょう。

生命保険控除の計算式

生命保険控除の控除額は、1年間に支払った生命保険料の総額によって変わります。

年間保険料所得税の控除額年間保険料住民税の控除額
20,000円以下保険料の全額12,000円以下保険料の全額
20,000円超(保険料×50%)+10,000円12,000円超(保険料×50%)+6,000円
40,000円超(保険料×25%)+20,000円32,000円超(保険料×25%)+14,000円
80,000円超一律40,000円56,000円超一律28,000円

上の表は、2012年1月1日以降の「新契約」を対象にしたものです。2011年12月31日以前の「旧契約」については、年間保険料の区分や控除額が異なるので注意しておきましょう。

実際に税金がいくらお得になる?

生命保険控除を利用すると、実際にはどれくらいの節税効果があるのでしょうか。以下では年収を400万円、毎月の生命保険料を1万円として、節税効果をシミュレーションしていきます。

1年間に支払う生命保険料は12万円(1万円×12ヵ月)なので、前述の表から所得税と住民税の控除額は以下となります。

所得税の控除額:一律40,000円
住民税の控除額:一律28,000円

したがって、所得税と住民税の控除額は次のように計算できます。

①400万円×20%(所得税率)-427,500円(所得控除)=372,500円(控除なしの所得税)
②(400万円-4万円)×20%(所得税率)-427,500円(所得控除)=364,500円(控除ありの所得税)
④400万円×10%=400,000円(控除なしの住民税)
⑤(400万円-28,000円)×10%=397,200円(控除ありの住民税)

控除額を計算できたら、次にいくら税金を抑えられるのかを計算します。

①-②=8,000円(所得税の節税額)
③-④=2,800円(住民税の節税額)

上記では、他の控除制度は適用せず、年収=課税所得と想定し、住民税は所得割のみで計算しています。

年収400万円の人が毎月1万円の保険料を支払った場合、所得税と住民税を合わせると年間1万800円ほどの節税効果になりました。

年収によって節税額が変わる

生命保険控除の節税額は、適用される人の年収によって変わります。以下では上記のシミュレーションと同じ条件で、年収別の節税額をまとめました。

年収年間の節税額(所得税+住民税)
300万円6,800円
400万円10,800円
500万円10,800円
600万円10,800円
700万円12,000円
800万円12,000円
900万円15,000円
1,00万円15,000円
(※毎月の生命保険料は1万円と想定)

上記を見ると分かるように、年収が多い人ほど生命保険控除のメリットは大きくなります。

積立型の保険で節税を活かす

生命保険控除は毎年適用されるため、加入期間が長いほど合計の節税額を増やせます。現在は定期預金でも金利が0.02~0.2%ほどなので、途中解約しない限りは銀行預金よりもリターンを期待できるでしょう。

また、生命保険そのものを必要にしていない人であっても、節税を目的として加入してみるのを検討してみましょう。数十年単位で満期を迎え、積立型の生命保険であれば、貯金と同じようにお金を貯めることができます。保険料はやや割高ですが、このタイプの保険では解約時や満期時に返戻金を受け取れます。

ただし、あまりにも契約期間が長いものを選ぶと、途中で解約しないといけない状況に陥る可能性が高くなりやすいです。もし途中解約した場合は、積み立てていた金額よりも少なくなって返金される可能性や、返礼金がなくなる可能性もあります。そのため、途中で生命保険を解約しなくても突発的な支出に対応できるだけの貯金があるのかを確認しましょう。

また、生命保険は万が一に備えるためのものなので、保障内容にもしっかりと目を向けましょう。積立型生命保険を選ぶポイントは、以下の通りです。

・10年単位で満期を迎えるものを選ぶ
・数%の返戻金があるものを選ぶ
・保障内容にも目を向けて、万が一に備えられるものを選ぶ
・途中で解約しないで大丈夫な保険料のものを選ぶ

上記のポイントを意識しながら、日常生活と節税に役立つ保険商品を探してみてください。

生命保険控除は忘れずに申告しよう

年収や加入状況にもよりますが、生命保険控除を活用すると毎年5,000~10,000円程度の節税効果を期待できます。万が一に備えながら税負担が軽くなるので、適用を受けられる人は申告を忘れないようにしましょう。