今の相場でも積立投資は継続すべき?賢く判断するには
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世界的に株価が軒並み下落しています。そんな中でも、積立投資は継続してもよいのでしょうか。中長期で株価の上昇が見込めれば、積立投資で購入単価の水準が下がり、利益が出る可能性もあります。その判断にも役立つ、株価に影響を与え得る指標などをまとめました。

目次

  1. 2022年は世界で同時株安が発生
  2. 今の相場で積立投資を行う注意点
  3. 積立投資は継続すべきなのか?
  4. 常に積立投資を継続しても良いか考えよう


2022年は世界で同時株安が発生

日本の株式市場の代表的な株価指数である「日経平均株価」、米国の代表的な株価指数「S&P500」「NYダウ平均株価」などの株価の推移を確認すると、下落基調が続いています。

米国では2022年の年明けから、物価上昇の抑制を目的に、米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げを繰り返しました。金融引き締めが加速することで、景気回復の勢いが鈍化するとの懸念から市場に警戒感が強まり、株価が下がっています。その影響は世界にも広がっています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化によって、原油の価格上昇などが嫌気されてきた背景もあります。

今の相場で積立投資を行う注意点

投資継続の判断の前に、現在の相場で積立投資を行うにあたって、どのような注意点があるのかを確認していきましょう。

注意点(1):短期的なリターンが期待しにくい

現在の相場を考えると短期投資ではリターンが期待しにくい状況となっています。

まずは、現在の株式市場にとってマイナス要因となっている利上げを見てみましょう。2022年に利上げに踏み切ったのは米国だけではありません。欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中央銀行/BOE)のみならず、世界各国・地域の中央銀行が連続して政策金利を引き上げています。

さらに、中長期的にはサプライチェーン(供給網)の安定化と需要の落ち着き、エネルギー高の一服で世界的なインフレ圧力は弱まると予測されています。この混乱は一時的とはいえ、短期的に見ると株式市場が右肩下がりの傾向が続くと考えられています。

注意点(2):分散投資ができていない可能性がある

分散投資ができていないと、価格変動のリスクが高くなります。例えば、米国の株価指数である「S&P500」は人気の金融商品ですが、一つしか積立投資をしていない場合、短期的な損失のリスクを抑えにくくなります。

特定の金融商品だけに投資せず、値動きの要因が異なる複数の商品に投資することによりリスクを分散できます。さまざまな国・地域に分散投資をすれば、世界全体の経済成長を取り込むことができ、より安定した運用成果が見込めます。

積立投資は継続すべきなのか?

それでは、積立投資はこれからも続けていくべきなのでしょうか。

米国株を例にすれば、株価指数は一時的に下がったとしても、長期的に見ると右肩上がりになるとの見通しもあり、その場合は継続した方がよいといえます。これから積立投資を継続するかしないか、正しく判断するために必要な要素を挙げていきます。

過去のデータが未来に当てはまるとは限らない

特定の国・地域の株式を対象に投資を行っている場合、その国・地域の経済の行く末をさまざまな指標から予測することが重要になります。株価指数の値動きは、過去のデータと同じ流れを汲むとは限りません。未来を予測しながら、今後の成長が見込める国・地域を選択して投資をすることが求められます。

現状の相場を理解する上で確認したい指標

今の相場を理解する上では、GDP(国内総生産)や円安、ドル高、貿易収支などの指標を参考にする必要が出てきます。

世界株式はこれまでGDPの成長とともに上昇してきました。GDPの大部分を占める個人消費が拡大し、企業の業績向上が見込まれたことなどが要因です。その国・地域の経済成長の度合いは中長期的な株価指数の動向にも影響を及ぼします。

また、特に日経平均株価などは為替相場と連動性が高く、密接に関わっています。さらに貿易収支が相場に与える影響を日本の例で考えると、黒字が続けば外貨が入りやすくなることで円高傾向に、一方で赤字は円安の圧力になります。その国の貿易収支と為替相場を見ることで、相場の流れをつかみやすくなります。

常に積立投資を継続しても良いか考えよう

このように、現在の相場における注意点に気を付け、株価指数の動きを判断する指標を確認し、積立投資を続けると判断することもできます。ただ、現状では最適な投資であったとしても、明日も同じように継続することがベストとは限りません。株価指数だけでなく、市場経済や景気、金利、政治情勢などは日々変化します。

上記に挙げたような値動きの要因を常に確認しつつ、積立投資を継続すべきかどうか判断しましょう。また、足元だけでなく長期的な目線で判断を重ね続けることをおすすめします。