ドル建て保険って何?円安だと加入したら良いかを解説
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2022年3月から急激な円安が続いており、同年10月には1ドル=150円を上回りました。その後はやや落ち着きを見せていますが、約32年ぶりの円安水準を記録したことから、日本経済の先行きが心配されています。

このような円安局面で考えたいことが、ドル資産への切り替えです。本記事では初心者向きの選択肢として、ドル建て保険のメリットやデメリットを紹介します。

目次

  1. ドル建て保険とは
  2. ドル建て保険で得する状況
  3. 為替の状況を見ながらドル建て保険への加入を考えよう


ドル建て保険とは

ドル建て保険とは、金銭のやり取りを全て米ドル(以下、ドル)で行う保険商品です。保険料の支払いはもちろん、保険金や解約返戻金の受け取りまでドルで行われるため、ドル建て保険には以下の特徴があります。

<ドル建て保険の特徴>
・為替レートの影響を受ける
・円やドルへの交換時に為替手数料がかかる
・国内の保険よりも貯蓄性が高い(※ドルの金利が高いため)

もともとドル建て保険は様々な金融機関で取り扱われていましたが、2016年に「マイナス金利政策(※)」が導入されたことで、幅広い層から注目されるようになりました。

(※)デフレ対策のために実施された、中央銀行の名目金利をゼロ未満にする政策のこと。

ドル建て保険のメリット

ドル建て保険のメリットとしては、次の3つが挙げられます。

<ドル建て保険のメリット>
・円建て保険よりも保険料が安い
・円高になると保険料が安くなる
・資産を円とドルに分散できる(分散効果がある)

2022年11月現在では、日本円よりもドルのほうが高金利です。ドル建て保険の保険料は、金利の影響を受ける「予定利率(※)」によって決められるため、同じ内容の円建て保険に比べると毎月のコストを抑えられます(※為替変動を考慮しない場合)。

(※)保険会社が運用するときに約束する利率のこと。

また、円高が進むほど保険料が安くなる点も、ドル建て保険の大きなメリットでしょう。例えば、1ドル=100円のときの保険料を10ドル(1,000円)と仮定すると、1ドル=90円になったときの保険料が900円になります。

ドル建て保険のデメリット

次は、ドル建て保険のデメリットを見ていきましょう。

<ドル建て保険のデメリット>
・内容とリスクがやや複雑
・為替手数料が発生する
・円安になると保険料が高くなる
・元本割れを引き起こすリスクがある

ドル建て保険は為替レートの影響を受けるため、リスクがやや複雑です。円安になると保険料が高くなったり、円高局面では保険金・解約返戻金で損をしたりするため、ある程度の知識がないと運用が難しくなります。為替相場によっては元本割れになる恐れもあるので、加入前にきちんと仕組みを理解しておきましょう。

また、満期を迎える前に解約してしまうと、解約返礼金が元本割れを起こしている可能性があります。契約期間などによっても返戻金がいくらになるのか違ってくるので、実際の返礼金額がどうなるのかを解約前に確認しておきましょう。

ドル建て保険で得する状況

ドル建て保険で得をするには、どのような運用が必要になるのでしょうか。簡単にまとめると、次の2つの条件を満たす必要があります。

<ドル建て保険で得をするための条件>
・円高のときに保険料を払い続ける
・円安のときに保険金や解約返戻金を受け取る

支出(保険料)が生じるときには円高局面、収入(保険金や解約返戻金)を得られるときには円安局面が有利です。ただし、為替レートが期待通りに動くとは限らないため、金銭的メリットを狙った運用は簡単ではありません。為替レートの正確な予測はプロでも難しいので、加入前や運用中には十分な情報収集を心がけましょう。

為替の状況を見ながらドル建て保険への加入を考えよう

ドル建て保険は、円安・円高の両方に備えられる金融商品です。円建て保険に比べると投資的な側面が強いため、各商品に潜んでいるリスクをきちんと理解し、加入前にはシミュレーションもしておきましょう。