ドル円相場、次は「1ドル=100円」を懸念すべき?
(画像=wirojsid/stock.adobe.com)

2022年は急激な円安が進んだ年でしたが、同年10月からは円高傾向が続いています。一時は「1ドル=200円」が懸念されていましたが、2023年に入ってからは1ドル=100円を心配する声も聞かれます。

ドル円相場はさまざまな金融商品に影響するため、投資をしている人は相場を的確に読む必要があります。本記事では昨今の為替レートをもとに、円高になっている背景や今後の展望を解説します。

目次

  1. 2022年11月から円安は急な円高に
  2. なぜいま円高になっている?
  3. 1ドル=100円を想定して、慎重に運用方針を決めよう


2022年11月から円安は急な円高に

2022年初頭から同年10月にかけて、米ドル円は1ドルあたり35円ほど上昇しました。一時は約32年ぶりに1ドル=150円を突破しましたが、それ以降は急な円高が続いています。

外国為替相場チャート表
(引用:三菱UFJ銀行「外国為替相場チャート表」)

<米ドル対円相場(2022年11月~2023年1月)>

時期1ドルあたりの価格
2022年11月1日148.77円
2022年12月1日137.09円
2023年1月1日132.70円
2023年1月20日(現在)128.71円
(※上記は金融機関が提示するレートを参照。)

1ドル=150円を超えた2022年10月21日から考えると、米ドル円はわずか3ヵ月で20円ほど下落しています。このままのスピードで円高が進んだ場合は、2023年中に1ドル=100円を割る可能性も考えられます。

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なぜいま円高になっている?

米国のインフレ鈍化や為替介入など、今回の円高にはさまざまな要因があるとされています。その中でも、日本や米国の「金利動向」は為替レートに大きく影響している要素です。

例えば、米国金利が下がると米ドルの魅力が薄まるため、多くの投資家はドル資産を他の外貨(日本円など)と交換します。金利と為替には深い関係があり、外貨の金利が下がるほど、そして日本円の金利が上がるほど為替は円高方向に振れやすくなります。

実際に米国や日本の金利がどうなっているのか、ここからは近年の動向を見ていきましょう。

アメリカの利上げ一服の観測が影響

まずは、2022年における米国政策金利と米国国債10年(利回り)の推移を見てみましょう。

<2022年の米国政策金利の推移>

時期(2022年)米国政策金利
1月0.25%
2月0.25%
3月0.50%
4月0.50%
5月1.00%
6月1.75%
7月2.50%
8月2.50%
9月3.25%
10月3.25%
11月4.00%
12月4.50%

<米国国債10年チャート>

外国為替相場チャート表
(引用:SBI証券「マーケット|SBI証券」)

いずれの金利も2022年1月から上昇していますが、2023年に入ってからは米国国債10年の利回りがやや下落しています。ひとまずは利上げが一服した状態にあるため、その影響で為替レートが円高方向に振れていると考えられます。

また、1年間で政策金利が4.0%ほど上昇したことを考えると、今後は短期間での利下げも意識する必要があるでしょう。

日本の政策金利が上がるかもしれないこと

金融緩和の影響によって、日本の長期金利はしばらく据え置きの状況が続いていました。2008年以降はゼロ金利に近い状態ですが、2023年に入ってからは「超低金利時代を脱却するのでは」との見方が強まっています。

日本銀行はすでに金融緩和策の修正に乗り出しているため、今後は欧米諸国のように政策金利が上昇するかもしれません。金利が上昇すると、為替レートの円高圧力が一気に強まる可能性もあるので、政府や日本銀行の動向をこまめにチェックしておきましょう。

1ドル=100円を想定して、慎重に運用方針を決めよう

米国の利上げが一服している状況や、日本の政策金利が上がる可能性を考えると、2023年は強い円高局面になるかもしれません。近年は予測の難しい為替動向が続いているため、海外資産を取引する場合は慎重な判断が求められます。

金利以外にも円高要因にはさまざまなものがあるため、世界の経済ニュースや指標などをチェックしながら、今後の運用方針を考えてみましょう。