ミニ株を取引しやすい証券会社は?手数料やサービスを徹底比較

少額から投資を始めたい人にとって、ミニ株(単元未満株)は便利なサービスです。数百円でさまざまな国内株を取引できるため、初心者が投資を始める手段にもなるでしょう。

ただし、投資である以上は損失のリスクがあるので、利用前には仕組みを理解しておく必要があります。本記事では、ミニ株(単元未満株)のメリットやデメリットに加えて、各証券会社のサービスを紹介します。

目次

  1. ミニ株(単元未満株)とは?
  2. ミニ株(単元未満株)のメリット
  3. ミニ株(単元未満株)のデメリット
  4. ミニ株(単元未満株)を取引できる証券会社
  5. ミニ株(単元未満株)への成功させるポイント
  6. ミニ株(単元未満株)は長期でコツコツ増やそう


ミニ株(単元未満株)とは?

ミニ株(単元未満株)は、国内株を1株や10株から取引できるサービスです。

国内株には「単元」と呼ばれる取引単位があり、基本的には1単元=100株として取引を行います。株価が300円の銘柄では3万円(300円×100株)の資金が必要になりますが、ミニ株(単元未満株)は1株から取引できるため、300円から投資できます。

なお、ミニ株(単元未満株)のサービス名は証券会社によって異なり、例えばSBI証券では「S株」、auカブコム証券では「プチ株」と呼ばれています。

ミニ株(単元未満株)のメリット

ここからは、初心者が押さえたいミニ株(単元未満株)の3つのメリットを紹介します。

メリット1.少額から投資を始められる

誰もが知る大手企業の株式であっても、ミニ株(単元未満株)を利用すれば少額から投資できます。実際に投資資金がどれくらい変わるのか、いくつか例を見ていきましょう。

銘柄名株価ミニ株の必要資金単元株の要資金
トヨタ自動車1,865円1株:1,865円
10株:1万8,650円
18万6,500円
三菱UFJフィナンシャル・グループ975円1株:975円
10株:9,750円
9万7,500円
東京日産コンピュータシステム641円1株:641円
10株:6,410円
6万4,100円
(※株価は2023年2月時点のもの)
(※手数料は含まない)

上記のように、ミニ株(単元未満株)では1,000円の資金でも多くの銘柄を取引できます。ただし、サービスの仕組みは証券会社によって異なるため、最低取引単位などは事前に確認しておきましょう。

メリット2.分散投資がしやすい

分散投資とは、投資先の金融商品や時間を分散させることで、リスクをコントロールする手法です。例えば、飲食業や製造業、サービス業などに投資先を分散しておくと、一つの業界が落ち込んだときのダメージを抑えやすくなります。

ミニ株(単元未満株)を利用するとなぜ分散投資がしやすいのか、以下で分かりやすい例を見ていきましょう。

<ミニ株を利用した分散投資>
・さまざまな銘柄に1株ずつ投資をする
・毎月同じタイミングで、同じ銘柄を1株ずつ積み立てる
・国内株への投資資金を抑えて、他の金融商品に回す

上記のように、ミニ株(単元未満株)は投資1回あたりの必要資金を抑えられるので、少ない資金でさまざまな投資をしたい人に向いています。

メリット3.配当金や株主優待を狙える銘柄もある

単元株で配当金と株主優待を狙う場合、基本的に数万円〜数百万円の資金が必要になります。ミニ株(単元未満株)であれば、数百円〜数千円から配当金と株主優待を得られる銘柄があります。

ただし、株主優待は企業によって条件が異なるため、各企業の株主優待制度を確認した上で投資を行いましょう。

ミニ株(単元未満株)のデメリット

ミニ株(単元未満株)のデメリットとしては、手数料が割高になりやすい点や、選択肢の少なさが挙げられます。投資のスタイルや運用成績に関わってくるので、以下のデメリットも一つずつ確認していきましょう。

デメリット1.手数料が割高になることもある

基本的にミニ株(単元未満株)の手数料体系は、通常の株式投資(単元株)とは異なります。以下ではSBI証券の単元株における取引手数料を見てみましょう。

<スタンダードプラン(従量制)>

1回の約定代金手数料(税込)
5万円まで55円
10万円まで99円
20万円まで115円
50万円まで275円
100万円まで535円
150万円まで640円
3,000万円まで1,013円
3,000万円超1,070円

<アクティブプラン(定額制)>

1日の約定代金手数料(税込)
100万円まで0円
200万円まで1,238円
300万円まで1,691円
300万円超100万円ごとに295円

上記のうち、いずれかの手数料プランを選択することになります。

<SBI証券のミニ株の手数料>
購入手数料:0円
売却手数料:約定代金×0.55%
最低手数料:55円
(※上記はいずれも税込。)

1株あたり500円の銘柄を90株保有している場合、ミニ株(単元未満株)を売却したときの手数料は以下となります。

約定代金×0.55%=売却手数料
500円×90株×0.55%=247.5円

次に、同じ銘柄を1単元=100株で売却した場合の手数料を計算してみましょう。

<スタンダードプランの場合>
約定代金5万円:手数料55円

<アクティブプランの場合>
1日の約定代金が100万円を超えない場合:手数料0円

このように比べると、ミニ株(単元未満株)の手数料は割高であることが分かります。取引コストだけでマイナスになることもあるので、各社の手数料を確認しておきましょう。

デメリット2.1日の約定回数に制限がある

多くのネット証券では、リアルタイムの価格でミニ株(単元未満株)を取引することはできません。基本的には1日の約定回数に制限があるため、注文のタイミングは慎重に判断する必要があります。

証券会社名(ミニ株の名称)約定のタイミング
SBI証券(S株)・前場始値(9時00分)
・後場始値(12時30分)
・後場終値(15時00分)
auカブコム証券(プチ株)・前場始値(9時00分)
・後場始値(12時30分)
マネックス証券(ワン株)・後場始値(12時30分)
(※上記は東証における時間帯。)

24時間365日の注文に対応していても、即時に約定されるケースは少ないので注意してください。

デメリット3.単元株よりも対象銘柄が少ない

ミニ株(単元未満株)の対象銘柄は、単元株よりも少ない傾向があります。よく見られるのが、東証上場銘柄は対象に含まれる一方で、地方市場(名証・福証・札証)からの購入には対応していないパターンです。

ただし、ラインナップの拡充に力を入れているネット証券もあるので、各社の情報収集をしてから判断してみましょう。

ミニ株(単元未満株)を取引できる証券会社

ここからは、実際にミニ株(単元未満株)を取引できる証券会社を紹介します。サービスの特徴を簡単にまとめているので、各社を比較しながら自分に向いている証券会社を見つけましょう。

証券会社1.SBI証券

証券会社名SBI証券
サービス名S株
対象銘柄東証上場銘柄(プライム・スタンダード・グロース)
名証上場銘柄(プレミア・メイン・ネクスト)
福証上場銘柄(Q-Boardを含む)
札証上場銘柄(アンビシャスを含む)
(※東証以外は売却のみ)
取引コスト
(税込)
購入手数料:0円
売却手数料:約定代金×0.55%
最低売却手数料:55円
取引単位1株〜
約定のタイミング・前場始値(9時00分)
・後場始値(12時30分)
・後場終値(15時00分)
積立サービスなし
主な特徴・購入手数料がかからない
・単元株になると手数料がお得になる
・24時間365日の注文に対応
(※2023年2月時点)

SBI証券のS株は、取引数量に関わらず購入手数料がかからないサービスです。最低手数料はありますが、単元株になると別の手数料プランが適用されるため、売却時の手数料を抑えやすくなります。

特にアクティブプランは、1日の約定代金が100万円以内であれば手数料がかかりません。取引コストを抑えたい人は、同一銘柄をコツコツと増やしながら単元株を目指しましょう。

<SBI証券が向いている人>
・購入手数料を気にせずに取引したい
・単元株を目指してコストを抑えたい
・日中は忙しいので、夜間や祝休日に注文を出したい

証券会社2.auカブコム証券

証券会社名auカブコム証券
サービス名プチ株
対象銘柄東証上場銘柄(プライム・スタンダード・グロース)
名証上場銘柄(プレミア・メイン・ネクスト)
福証上場銘柄(Q-Boardを含む)
札証上場銘柄(アンビシャスを含む)
(※福証と札証は売却のみ)
取引コスト
(税込)
購入手数料:約定代金×0.55%
売却手数料:約定代金×0.55%
最低売買手数料:52円
取引単位1株〜
約定のタイミング・前場始値(9時00分)
・後場始値(12時30分)
積立サービスあり
主な特徴・Pontaポイントがつかえる
・プレミアム積立の利用で購入手数料が無料
・24時間365日の注文に対応
(※2023年2月時点)

auカブコム証券のプチ株は、ポイント投資の対象に含まれるサービスです。購入手数料はかかりますが、Pontaポイントだけでミニ株(単元未満株)を購入することもできるので、現金の支出を抑えたい人に向いています。

また、毎月の積立金額を指定できる「プレミアム積立」を利用すると、プチ株の購入手数料が0円になります。毎回の注文手続きも省けるので、手間やコストを抑えたい人はプレミアム積立を利用しましょう。

<auカブコム証券が向いている人>
・普段からPontaポイントをためている
・ポイント投資で現金の支出を抑えたい
・積立注文でミニ株(単元未満株)をコツコツ増やしたい

証券会社3.マネックス証券

証券会社名マネックス証券
サービス名ワン株
対象銘柄東証上場銘柄(プライム・スタンダード・グロース)
名証上場銘柄(プレミア・メイン・ネクスト)
福証上場銘柄(Q-Boardは含まない)
札証上場銘柄(アンビシャスは含まない)
(※福証と札証は売却のみ)
取引コスト
(税込)
購入手数料:0円
売却手数料:約定代金×0.55%
最低売却手数料:52円
取引単位1株〜
約定のタイミング後場始値(12時30分)
積立サービスなし
主な特徴・購入手数料がかからない
・貸株サービスで金利を受け取れる
・シンプルな注文方式(成行のみ)
(※2023年2月時点)

マネックス証券のワン株は、成行注文(※1)のみのシンプルなサービスです。

大きな特徴としては、貸株サービスの対象に含まれている点が挙げられます。マネックス証券に保有銘柄を貸し出すと、最大で年15.0%程度の金利を毎日受け取れるため(※2)、ワン株だけでもさまざまな運用プランを立てられます。

(※1)値段を指定しないで注文を出す方法のこと。
(※2)適用される金利は銘柄によって異なる。

<マネックス証券が向いている人>
・購入手数料を気にせずに取引したい
・シンプルで分かりやすいサービスが良い
・長期保有する銘柄で安定したリターンを得たい

証券会社4.大和コネクト証券

証券会社名大和コネクト証券
サービス名国内株(ひな株)
対象銘柄東証上場銘柄(約400銘柄)
手数料(税込)スプレッド(※):株価の0.5%×株数
取引手数料:なし
(※)実際の値段との差額のこと。
取引単位1株〜
約定のタイミング【平日9時00分~11時30分、12時30分~14時55分の注文】
・リアルタイムに反映

【上記以外の時間帯での注文】
・前場始値(9時00分)
・後場始値(12時30分)
積立サービスあり
主な特徴・Pontaポイントやdポイントをつかえる
・定期買付ができる
・注文の時間帯によってはリアルタイムで約定する
(※2023年2月時点)

大和コネクト証券の国内株(ひな株)は、1株からの定期購入やポイント投資に対応しているサービスです。Pontaポイントやdポイントで国内株を購入できるため、普段からポイ活をしている人に向いています。

また、ミニ株(単元未満株)のサービスとしては珍しく、リアルタイムでの約定にも対応しています。取引コストも抑えやすいので、選択肢の一つとして検討してみましょう。

<大和コネクト証券が向いている人>
・Pontaポイントやdポイントをためている
・同一銘柄の定期購入がしたい
・注文をリアルタイムで反映してほしい

証券会社5.SMBC日興証券

証券会社名SMBC日興証券
サービス名日興フロッギー
対象銘柄東証上場銘柄(ETFと合わせて約3,900銘柄)
取引コスト
(スプレッド)
100万円以下の購入時:0.0%
100万円以下の売却時:0.5%
100万円超の購入時:1.0%
100万円超の売却時:1.%
取引単位100円〜
約定のタイミング・前場始値(9時00分)
・後場始値(12時30分)
積立サービスなし
主な特徴・記事から国内株が買える
・金額指定買付のみに対応
・100万円以下の注文は購入手数料が0円
(※2023年2月時点)

SMBC日興証券の日興フロッギーは、資産運用に関する記事から国内株を買えるサービスです。注文方法は金額指定買付(100円〜)のみですが、100万円以下であれば手数料がかかりません。

投資と情報収集を同時進行で行えるため、効率的に時間をつかいたい人に向いています。

<SMBC日興証券が向いている人>
・情報収集をしながら投資先を選びたい
・資産運用に関する幅広い知識をつけたい
・金額を指定して国内株を購入したい

証券会社6.LINE証券

証券会社名LINE証券
サービス名いちかぶ
対象銘柄東証上場銘柄(1,500銘柄以上)
取引コスト
(スプレッド)
購入:株価×0.35~1.0%×株数
売却:株価×0.35~1.0%×株数
取引単位1株〜
約定のタイミングリアルタイムに反映
積立サービスなし
主な特徴・LINEポイントをつかえる
・注文がリアルタイムで約定する
・時間帯によって手数料が変動する
(※2023年2月時点)

LINE証券のいちかぶは、証券会社の提示価格で約定するサービスです。受注が完了すると即時に約定されるため、リアルタイムで取引したい人に向いています。

また、全商品がポイント投資の対象に含まれる点も、LINE証券ならではの特徴でしょう。いちかぶはもちろん、投資信託やIPO、FX、CFD取引などにもLINEポイントがつかえます。

ただし、LINEポイントがたまる証券サービスはないので、普段のポイ活でためておく必要があります。

<LINE証券が向いている人>
・普段からLINEポイントをためている
・注文をリアルタイムで反映してほしい
・スマホで手軽に取引をしたい

証券会社7.PayPay証券

証券会社名PayPay証券
サービス名日本株
対象銘柄東証上場銘柄(163銘柄)
取引コスト
(スプレッド)
購入:基準価格×0.5~1.0%×株数
売却:基準価格×0.5~1.0%×株数
取引単位1,000円〜
約定のタイミングリアルタイムに反映
(※予約注文は9時00分頃)
積立サービスなし
主な特徴・金額指定買付のみに対応
・有名銘柄が厳選されている
・3タップで注文処理ができる
(※2023年2月時点)

PayPay証券は、1,000円の少額から国内株・米国株を購入できるネット証券です。2023年2月時点では163銘柄がラインナップされており、ソフトバンクや任天堂などの有名銘柄が厳選されています。

また、シンプルで操作しやすい取引画面にこだわっており、スマホから「銘柄選択・金額指定・購入」の順にタップするだけで注文が完了します。

<PayPay証券が向いている人>
・スマホで手軽に取引したい
・銘柄選びであまり悩みたくない
・金額を指定して国内株を購入したい

ミニ株(単元未満株)への成功させるポイント

投資である以上は、ミニ株(単元未満株)投資にもリスクがあります。少しでも成功率を上げるために、実際の取引では以下のポイントを意識しましょう。

<ミニ株への投資を成功させるポイント>
・100株(単元株)を目指す
・手数料が抑えやすい証券会社を選ぶ
・NISA口座で取引する

ここからは、上記のポイントを詳しく解説していきます。

ポイント1.100株(単元株)を目指す

1株から取引できる点はミニ株(単元未満株)の強みですが、基本的には100株(単元株
を目指すほうが多くのメリットを得られます。

例えば、株主優待は100株を条件にしている企業が多く、保有株数が増えるほど優待品も充実します。また、前述のSBI証券をはじめ、単元株になると手数料がお得になる証券会社も少なくありません。

他にも、株価上昇時に大きなリターンを得られたり、余計な売却手数料を省けたりするので、ミニ株(単元未満株)はコツコツ増やすことを意識しましょう。

ポイント2.手数料が抑えやすい証券会社を選ぶ

単元株に比べると、ミニ株(単元未満株)は手数料が高い傾向にあります。わずかな違いであっても、積み重なると大きな差になることがあるので、できるだけ手数料が安い証券会社を選びましょう。

コスト面だけを重視すると、目当ての銘柄を取引できなくなったり、注文時に不便さを感じたりする可能性もあります。自分に合った証券会社を選ぶために、サービスのつかいやすさや商品ラインナップも比較しましょう。

ポイント3.NISA口座で取引する

NISA(ニーサ)は、毎年設定される投資枠の範囲内で、全てのリターンが非課税になる税制優遇制度です。NISA口座でミニ株(単元未満株)を取引すると、譲渡益や配当金、株主優待に税金がかからなくなるため、余計なコストを抑えられます。

国内株を取引できるのは「一般NISA」と「ジュニアNISA」の2つですが、これらの制度は2023年末で終了します。2024年からは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる「新NISA」が始まるので、早めに制度の仕組みを押さえておきましょう。

つみたて投資枠成長投資枠
対象年齢18歳以上
非課税投資枠年間120万円年間240万円
非課税期間無期限化
対象商品長期積立・分散投資に適した投資信託やETF上場株式や投資信託など
投資可能期間恒久化
非課税保有限度額1,800万円(※成長投資枠は1,200万円)

上記のうち成長投資枠では、年間240万円までのミニ株(単元未満株)を非課税で取引できます。ただし、制度開始までに変更される可能性があるため、新NISAの情報はこまめに確認しておきましょう。

ミニ株(単元未満株)は長期でコツコツ増やそう

ミニ株(単元未満株)は、少額投資や分散投資との相性が良いサービスです。手数料はやや割高ですが、100株を超えると単元株として扱われるので、基本的には長期でコツコツ増やすことを考えましょう。余計なコストを抑えたい人は、ポイント投資やNISAの活用も検討してみてください。