
株価が1日でどれくらい動くのかご存知でしょうか。国内株と米国株は、それぞれ1日で動く株価の上限に違いがあります。その違いを知ることで、今後の投資に活かしましょう。
株価の値動きの幅は最大どのくらい?
株式をはじめ、金融商品の値動きの幅は「ボラティリティ」と呼ばれています。ボラティリティの高さは金融商品によって変わるため、国内株と米国株に分けて解説します。
国内株のボラティリティ
国内株には、1日のボラティリティを制限する「ストップ高・ストップ安」と呼ばれる制度があります。ストップ高・ストップ安は前日の終値(基準値段)が基準となり、基準値段に合わせて以下のように変動します。
<基準値段ごとの1日の制限値幅>
前日の終値(基準値段) | 1日の制限値幅 |
---|---|
100円未満 | ±30円 |
100円~200円未満 | ±50円 |
200円~500円未満 | ±80円 |
500円~700円未満 | ±100円 |
700円~1,000円未満 | ±150円 |
1,000円~1,500円未満 | ±300円 |
1,500円~2,000円未満 | ±400円 |
2,000円~3,000円未満 | ±500円 |
例えば、基準値段が500円の国内株は、翌日の制限値幅が±100円になります。400円~600円が翌日の値幅制限であり、もし株価が400円まで下がった場合はそれ以下の価格での取引ができません。
国内株の値幅制限は株価が高いほど広がりますが、全体の傾向としては大型株(※1)の株価は安定しており、小型株(※2)のほうがボラティリティは高い特徴があります。
(※1)時価総額(株価×発行株式数)が大きい銘柄のこと。
(※2)時価総額が小さい銘柄のこと。
米国株のボラティリティ
一方で、米国株にはストップ高・ストップ安のような制度がありません。ボラティリティを制限する仕組みがないため、銘柄によっては1日で大きく変動する可能性があります。
参考として、自動車メーカーとして世界一の時価総額を誇る「テスラ」の株価を見てみましょう。
<テスラの株価チャート>

テスラ社の株価は2021年から下落傾向でしたが、決算発表をした2023年1月25日からは上昇傾向に変わっています。特に同年1月25日~27日にかけては、株価が30ドル以上の上昇を記録しました。
もし決算前に100株を保有していた場合は、この数日だけで30万円以上の利益を得られる計算になります。
関連記事 |
---|
高配当株は株価の値動きが緩やかな傾向が多い
1株あたりの配当金が多い「高配当株」は、全体的にボラティリティが安定している傾向にあります。一般的に高配当株として知られる、「ジョンソン&ジョンソン(米国株)」の株価を見てみましょう。
<ジョンソン&ジョンソンの株価チャート>

過去10年のチャートを見てみると、一時的に株価が下落したことはあるものの、全体としては緩やかに上昇しています。ただし、減配や無配(※)によって株価が下がる高配当株もあるので、実際の投資では配当金以外の情報(決算内容など)も確認しましょう。
(※)前期に比べて配当金が減ることを「減配」、配当金自体がなくなることを「無配」と呼ぶ。
指数系ETFはボラティリティが低め
ボラティリティが低めの金融商品としては、指数系ETFも挙げられます。指数系ETFとは、日経株価平均などの株価指数に連動するように運用されている、証券取引所に上場している投資信託のことです。
<指数系ETFの例>
・NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信
・ダイワ上場投信-日経225
・東証マザーズETF
・上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均)
・上場インデックスファンド米国株式(S&P500)
株価指数に連動するETFは、その指数を構成する銘柄でポートフォリオが組まれます。大型株を中心としたポートフォリオになりやすいため、全体としてボラティリティが低い傾向にあります。
投資はボラティリティが低いほうがローリスクになりやすい
ボラティリティが高い金融商品を保有する場合は、値段が予想と反対方向に大きく動くと、資産が大きく減る恐れがあります。
そのため、リスクを抑えて投資を始めたい人には、ボラティリティの低い金融商品が向いています。そのような商品は中長期でも保有しやすくなります。中長期的に保有して配当金や株主優待などを狙っている人は、ボラティリティの低い金融商品から投資してみましょう。