投資が怖い場合の資産形成、個人年金保険はあり?
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投資に興味があるものの、「損をするのが怖い」と悩んでいる人は多いでしょう。本記事ではリスクが低い資産形成の手段として、自分で年金をつくれる「個人年金保険」について解説します。

目次

  1. 個人年金保険とは
  2. 個人年金保険の向き不向き
  3. 自分に合ったリスクの低い資産形成を行おう


個人年金保険とは

個人年金保険とは、あらかじめ決めた年齢まで保険料を払い込み、一定の年齢(60歳や65歳など)から年金を受け取れる金融商品(※)です。受け取りや保障の期間によって、個人年金保険は以下の3種類に分かれています。

<個人年金保険の種類>
・確定年金:被保険者が亡くなったとしても、契約時に定めた期間は年金を受け取れる。
・有期年金:被保険者が亡くなるまで、契約時に定めた期間分の年金を受け取れる。
・終身年金:被保険者が亡くなるまで、一生涯にわたって年金を受け取れる。

また、個人年金保険には将来の支給額が決まっている「定額年金」と、投資信託などの運用成績で支給額が変わる「変動年金」の2タイプがあります。商品ごとに特徴が異なるので、加入前には仕組みを確認しておきましょう。

(※)銀行や証券会社、保険会社などが提供する預金や株式、保険などのこと。

一般的な投資に比べてリスクが低い

個人年金保険は、数ある金融商品の中でもリスクが低い傾向にあります。

例えば、株式投資やFX(外国為替証拠金取引)では、ある銘柄の値段が上がると期待して購入したのに、予想に反して下がると損失が出ます。このような金融商品は、いくら分析や情報収集を行ったとしても、損失を出すリスクが高くなることがあります。

その点、個人年金保険は、払った保険料の総額に対して最終的に受け取れる金額の割合である「返戻率」が100%を超えています。ただし、途中で解約をするなどした場合は元本割れを引き起こすことがあるので、リスクがゼロではないと理解しておきましょう。

メリット

<個人年金保険のメリット>
・一般的な投資に比べてリスクが低い
・貯蓄が苦手でも老後資産を貯められる
・所得控除による節税効果がある

一般的な個人年金保険は、口座振替やクレジットカードで保険料を支払えます。解約しない限りは保険料の支払いが自動的に続きます。預貯金のように引き出すことはできないため、貯金が苦手でも老後資産を貯められます。

さらに、所定の条件を満たしている個人年金保険については、「個人年金保険料控除」または「一般生命保険料控除」の対象になります。支払った保険料に応じて所得控除が適用されるため、ある程度の節税効果も期待できるでしょう。

これらの所得控除には上限額があり、毎年の手続き(年末調整や確定申告)が必要になるため、事前に制度の仕組みを確認する必要があります。

デメリット

<個人年金保険のデメリット>
・中途解約をすると元本割れすることもある
・インフレで年金が目減りするリスクがある
・年金の受給開始時期が決まっている

個人年金保険には、中途解約で返戻金を受け取れる商品があります。ただし、解約返戻金は支払った保険料に応じた金額となるため、加入期間が短いと元本割れを起こすことがあります。

また、個人年金保険の金利は固定型なので、支払期間中に物価が上がっても受け取れる年金は増えません。もし契約時よりもインフレが進むと、年金として貯めたはずの資産の価値が目減りしてしまいます。

個人年金保険の向き不向き

上記のメリット・デメリットを踏まえると、個人年金保険はどのような人に向いているのでしょうか。以下では、個人年金保険を有効活用できる人や、他の金融商品が向いている人を紹介します。

個人年金保険を有効活用できる人

<個人年金保険が向いている人>
・リスクを抑えて堅実に年金資産をつくりたい人
・毎月の保険料を支払う余裕がある人

個人年金保険はリスクが低いため、堅実に年金資産をつくりたい人に向いています。受給開始まで資産を引き出せないことを考えると、生活費に余裕がある人に向いている商品といえます。

個人年金保険への加入が向いていない人

<個人年金保険が向いていない人>
・生活費に余裕がない人
・資産運用の知識がある人

個人年金保険は、できるだけ長く保険料を払い続ける必要があります。そのため、生活費に余裕がない人や、保険料の支払いが負担になる人には向いていません。

また、株式投資や投資信託、FXなどの資産運用に関する知識が十分にある人も、個人年金保険に加入する優先順位が低くなります。個人年金保険のように中途解約に制限がない金融商品を選べば、その分だけ資産形成の幅が広がります。

どのような資産形成が自分に合っているのかは、ライフスタイルなどによって違います。金融商品ごとのメリット・デメリットを踏まえた上で、最も適した資産形成の手段を探してみましょう。

自分に合ったリスクの低い資産形成を行おう

資産形成の第一歩は、損失のリスクが低い個人年金保険などから始めてみましょう。あまり資産が増えないから効果を感じられないと思うかもしれませんが、まずは着実に資産形成できることから始めることに意味があります。