もう考えた?新NISAの出口戦略2通り紹介
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2024年から始まる新NISAでは、1年間の非課税投資枠が360万円に拡充される代わりに、総枠で1,800万円の保有限度額が設けられます。従来のNISAとは制度内容が異なるので、始める前に投資計画を考えておく必要があります。

そこで本記事では、新NISAにおける2つの出口戦略をまとめました。

目次

  1. 新NISAの出口戦略を2つの視点から考える
  2. 【出口戦略1】価格上昇を待って最大枠を使い続ける
  3. 【出口戦略2】非課税で配当金を定期的に受け取り続ける
  4. 新NISAは出口戦略から逆算して活用しよう


新NISAの出口戦略を2つの視点から考える

新NISAの出口戦略は、「譲渡益」と「配当金」の2つの視点から考えることが大切です。

譲渡益とは、金融商品(株式や投資信託など)を売却したときに得られる利益のことです。例えば、1株100円の銘柄を100株購入し、1株300円になってから売却した場合は、合計で2万円の譲渡益を受け取れます。この際、取引手数料などがかかることがあります。

一方で、配当金は株主に分配される現金のことです。国内株では年1~2回の分配となっている銘柄が多いですが、基本的に配当金は業績に応じて決められるため、必ず受け取れるとは限りません。

どちらも新NISAの非課税投資枠と保有限度額までであれば、非課税となります。

【出口戦略1】価格上昇を待って最大枠を使い続ける

1つ目は、金融商品を購入してから価格の上昇を待ち、保有限度額(1,800万円)を超えそうになったときに売却する戦略です。毎年の非課税投資枠を使い切る場合は、最短5年間(1,800万円÷360万円)で保有限度額に達する計算になります。

<出口戦略1のイメージ>
【1】つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円分の金融商品を購入する
【2】2年目以降も同じペースで金融商品を買い続ける
【3】保有限度額に達したら、数百万円分の保有銘柄を売却する
【4】空いた投資枠を使って、新しい金融商品を購入する
【5】この後は【3】と【4】を繰り返す

新NISAの総枠は再利用が認められているため、1,800万円に達しても一部を売却することで、新たな金融商品を購入できるようになります。価格上昇を期待できる銘柄を見つけたら、総枠に合わせて保有銘柄の入れ替えることも考えてみましょう。

投資信託・株式を売買する際の注意点

大きな譲渡益を狙って、ついリスクを取り過ぎてしまうと、大きな損失を出してしまうかもしれません。値動きが激しい銘柄に投資すると、価格が上昇する幅も大きくなるかもしれませんが、下落したときの損失が想定以上に膨らんでしまうこともあります。

また、価格上昇が期待できる銘柄を選ぶには、購入後に価格が上昇する可能性が高い銘柄を厳選しなければなりません。投資信託では運用成績が安定したファンド、株式では業績が上向きの企業を選ぶ必要があるので、詳しく調べていない銘柄に投資することは避けましょう。

【出口戦略2】非課税で配当金を定期的に受け取り続ける

2つ目の戦略は、配当金を安定して出している銘柄を長期保有する方法です。仮に1,800万円の総枠を全て活用し、年2.48%の配当利回り(※)で運用する場合は、以下のリターンを期待できます。

(※)2023年4月17日時点での東証プライムの予想平均配当利回り。

運用年数配当金の合計額
1年44万6,400円
2年89万2,800円
3年133万9,200円
4年178万5,600円
5年223万2,000円
6年267万8,400円
7年312万4,800円
8年357万1,200円
9年401万7,600円
10年446万4,000円

長期運用で配当金を受け取り続ける場合は、譲渡益狙いとは違った視点で銘柄を選ぶ必要があります。安定して配当金を受け取るために、以下のポイントを確認しましょう。

<配当が安定した銘柄を選ぶポイント>
・無理に配当を行っている銘柄を避ける
・継続的に同水準の配当をしている銘柄を選ぶ
・配当実績だけではなく、業績の安定性や成長性も意識する
・配当金や業績が下がった銘柄は早めに売却する

特に利益が出ていないにも関わらず増配をしている銘柄は、長期的には株価が下がるリスクを抱えています。その銘柄の業績や株価の推移を確認しておかないと、予想よりも株価げ下落してしまい、大きな損失を出してしまうかもしれません。

高配当株に投資する際の注意点

配当利回りが5%を超えている高配当株に投資する場合は、企業の業績が10年単位で伸びていることを確認しましょう。配当利回りが高かったとしても、業績が悪化した影響で株価が下げ続けていたら、配当金があったとしても損失が膨らみ続けるリスクがあります。

特に業績の好不調に連動して配当金を増減させている銘柄の場合は、一時的に高配当であっても、来年以降も高配当になるとは限りません。例えば、今年は業績が好調で配当金をたくさん出して利回り5%を超えたとしても、来年は業績が悪化して配当金が半分・株価も下落といった事態に陥る可能性が考えられます。

新NISAは出口戦略から逆算して活用しよう

老後の生活費を確保するために新NISAで資産形成を行いたいのであれば、出口戦略から逆算して運用方法を考えることが大切です。定期的に得られる配当金を老後の生活費に充てるなどの使い道を考えておくと、実際どのように新NISAを活用したらよいのか、おのずと見えてくるでしょう。