2014年に始まった現行のNISAが2024年に新NISAへ制度改正されます。新NISAでは運用益が非課税になる期間の恒久化や、年間の投資上限額の拡充などが実施され、よりいっそう資産形成に取り組みやすくなりそうです。
つみたて投資枠と成長投資枠の違い
新NISAでは「つみたて投資枠」「成長投資枠」という2つの投資枠が設けられ、両枠の併用が可能です。各投資枠の違いは、以下の通りです。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間の投資枠 | 120万円 | 240万円 |
残高の上限 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円) | |
投資商品 | 国が定めた基準を満たした投資信託・ETF | 上場株式・投資信託・ETF・RIET(※) |
投資方法 | 積立 | 一括・積立 |
つみたて投資枠では、長期の積立投資と分散投資に適した投資信託・ETFを積み立てることができます。その一方、成長投資枠は、投資信託やETF、上場株式などにも投資可能で、積立投資に加えて一括投資もできるので、投資の選択肢が広がります。
(※)整理・監理銘柄や信託期間20年未満の投信、高レバレッジ型投信、毎月分配型投信などは対象外。
成長投資枠はこう使おう
新NISAの成長投資枠は、つみたて投資枠と比べても投資できる対象商品が多いので、どのように活用したら良いのか迷ってしまうのではないでしょうか。そこで成長投資枠を活用した投資方針を3つ紹介します。
投資方針1.じっくり増やす高配当株
高配当株とは、配当利回りが高い株式の総称です。基本的には高配当株を長期で保有することが前提で、配当金を受け取ったら再投資に回します。配当金によって投資元本が増えていくので、損益が毎年少しでもプラスになっていれば、少しずつ利益が膨れ上がっていきます。
そもそも高配当株に明確な定義はありませんが、東京証券取引所のプライム市場の平均配当利回りは2023年4月現在で2.18%(※)なので、平均以上あれば相対的に高配当株といえます。
(※)参考:日本取引所グループ「株価平均・株式平均利回り」
基本的には配当利回りが3~5%程度で、業績が右肩上がり、時価総額が1,000億円以上の企業に絞って投資しましょう。
一般的に時価総額が大きい上場企業の場合、株価が大幅に下落するリスクが比較的低いと考えられます。さらに収益力が高い場合が多いので、多額の資産を持っていることで倒産のリスクが低くなります。その結果、時価総額が小さい企業よりも株価が変動する幅が小さくなりやすいです。
投資方針2.リスクを取って攻める成長株
成長株とは、売上高が大きく伸びており、将来的に利益が大幅に増えることを見込み、株価の上昇が期待される銘柄のことです。成長株と呼ばれる企業は、売上高が毎年のように増加していて、今後も高い成長率を継続することが予想されています。
例えば、AIや半導体などの最先端の技術を持つ企業や、流行の業種の企業が多いのが特徴です。
このような成長株の中には、数年で株価が数倍になっている銘柄もあります。その反面、すでに高い成長を見込んで株価が上昇しているので、高い成長率が続いてくれないと、予想が裏切られたことになり、株価が下落することがあります。
株価の変動率は上昇・下落どちらも大きくなる傾向があるので、ハイリスク・ハイリターンになります。成長株に投資する際は、リスクを十分に理解した上で投資することが大切です。
投資方針3.バランスを重視する高配当株+成長株
リスクとリターンをバランスよく調節するために、リスクが低い高配当株とリスクが高い成長株を半々程度に分けて投資するのも選択肢の一つです。
まずは、株価が下落する可能性が低い高配当株を保有しておくことで、定期的に配当金を受け取って、中長期で資産を増やせる状況を作っておきます。そうすることによって、成長株で大きな損失を出したとしても、資産全体では大きなマイナスにならないポートフォリオを構築できます。
成長株の中には、株価が10倍以上に上がったり、半値以下に下がったりする可能性を持つハイリスクな銘柄もあります。このような銘柄に投資する場合は、「高配当株の比率を上げる」「総資産の中で現金の比率を上げる」などの対策を取ることで、資産を減らすリスクを抑えることも考えておきましょう。
まとめ
成長投資枠は、投資した銘柄によって損益に大きく差がつく投資枠です。高配当株や成長株などのように銘柄によって特徴が異なるので、値動きにも大きな差が生まれます。自分の投資方針に合わせて最適なポートフォリオを組むためにも、各銘柄の値動きの傾向を理解した上で、投資する銘柄を選ぶことが大切です。
成長投資枠は合計1,200万円しか保有できませんが、保有銘柄を売却することで投資枠が復活します。非課税で投資できる新NISAを有効活用するためにも、投資枠の上限を確認しながら売買することも意識してみましょう。