30代後半女性、新型コロナウイルス終息後は投資と貯金どっちを優先?
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新型コロナウイルスの影響で、投資額や貯金額を増やす人も見られますが、今後の資産形成では何を意識すれば良いのでしょうか。本記事では30代後半の女性(各世帯:貯金300万円を想定)に絞って、資産形成の優先順位や考え方をまとめました。

目次

  1. 30代後半女性、単身世帯の場合
  2. 30代後半女性、共働き世帯・子どもがいる場合
  3. 30代後半女性、共働き世帯・子どもを産まない場合
  4. 状況に合わせた資産形成を行おう


30代後半女性、単身世帯の場合

現時点での貯金額を300万円と想定した場合、単身世帯の30代後半女性には十分な生活防衛費(※1)があると考えられます。ただし、マイホームの購入や親の介護など、大きな支出を伴うライフイベントには備えなければなりません。

仮に両親ともに介護が必要になった場合は、1ヵ月あたり約34万円(※2)の介護費用がかかります。年間で約400万円の支出となるため、たとえ両親の貯蓄があったとしても、家計が圧迫される可能性があります。

(※1)急な出費や収入の減少に備えて準備しているお金のこと。
(※2)厚生労働省の「介護給付費等実態調査の概況(令和元年度)」をもとに、保険給付額や利用者の負担額などを合計した金額。1人あたりの合計金額は約17万円。

資産形成の優先順位

上記の場合、まずは確定拠出年金の利用から考えてみましょう。

確定拠出年金は、お金を毎月積み立てて金融商品を運用し、年金資産を形成するための制度です。原則60歳になるまで資産を引き出せないので、老後になるまでについ貯蓄を使ってしまうことがなくなります。

30代後半女性、共働き世帯・子どもがいる場合

子どもがいる共働き世帯では、大きな出費を伴うライフイベントがさらに増えます。

<大きな出費を伴うライフイベント>
・両親の介護
・マイホームや車の購入
・中学校や高校、大学への進学

この中でも教育資金は負担が大きく、幼少期から大学卒業までを含めると1,000万円を超えることもあります。この他にも毎月の食費や医療費、塾の費用など、子育てには多くの出費があります。10歳の子どもがいる場合、独り立ちするまでには少なくとも数百万の資金が必要になります。

資産形成の優先順位

まずは教育資金を貯める必要があるので、堅実に貯金から始めましょう。投資によって教育資金をつくることもできますが、損失を出すと教育資金がなくなってしまう恐れがあります。そのため、投資は教育資金が十分に貯まってから行うことが大切です。

実際に投資を行う際は、家族が多い分だけ病気やけがの治療などの急な出費が生じやすいため、確定拠出年金のようにお金が拘束されない運用方法を優先して活用しましょう。

具体的な方法としては、税制優遇制度の「NISA」が挙げられます。NISAは株式や投資信託などの運用益が非課税になる制度であり、ジュニアNISA以外は払出し制限(※)がありません。

(※)年齢などの条件を満たすまで、投資した資産の払出しができなくなること。ジュニアNISAは原則18歳まで資産を引き出せない。

なお、2024年1月からは現行のNISAから新NISAに切り替わり、非課税投資枠が合計で年間360万円に拡充されます。金融商品の保有期間も無期限化されるため、現行制度より使い勝手が良くなると考えられます。

新NISAは制度開始までに仕組みが変わる可能性もあるので、利用する前に最新情報を確認しておきましょう。

30代後半女性、共働き世帯・子どもを産まない場合

子どもがいない共働き世帯は、単身世帯と同じようなライフイベントに備える必要があります。子どもの教育資金はかからないので、貯金300万円でも「生活防衛費がある」と判断できるでしょう。

老後の生活費は二人分となるため、長期的な資産形成を意識する必要があります。持ち家の有無などのライフスタイルを踏まえて、必要になる老後資金を計算する必要があります。

2020年に調査された総務省の「家計調査報告(家計収支編)」によると、高齢夫婦無職世帯の生活費は約26万円(月額)とされています。

資産形成の優先順位

ライフプランの変更や急な出費に対応できるように、まずは払出し制限がないNISAを使った資産形成から考えましょう。住宅ローンなどの支払いが残っている場合は、給料が減ったときの状況を踏まえて、毎月貯金も積み立てておくと、いざというときに対応できます。

例えば、給料が減ったときに住宅ローンが残っていると支払いが厳しくなるので、毎月の貯金を支払いに回すことができます。このように可能な限り貯金の取り崩しやNISAなどで運用している金融商品を売らなくてもいい状況を整えておくことが大切です。

状況に合わせた資産形成を行おう

大きな出費を伴うライフイベントは、各世帯の事情によって変わります。例えば、子どもが私立の学校に進学する場合は、さらに多くの教育資金が必要になるかもしれません。本記事の内容はあくまで一例なので、各世帯の状況に合わせた資産形成を考えましょう。