
LINE証券では、NISAは利用できず、「つみたてNISA」のみを利用できます。 初心者が投資を始めるなら、まずは税制優遇制度の「NISA」を利用したいところです。NISAでは一定金額内の投資による運用益が非課税になるので、利益が残りやすくなっています。
NISAを利用するためには証券会社で口座を開く必要がありますが、証券会社によってはNISAを取り扱っていないところもあります。LINE証券では、「つみたてNISA」のみを利用できます。
そこで本記事では、つみたてNISAの基礎知識やLINE証券での始め方を解説します。
目次
LINE証券が「つみたてNISA」を開始!いつから利用できる?
LINE証券がつみたてNISAの提供を開始したのは、2022年2月です。毎月1,000円という少額から積立投資が可能な点や、貯めたLINEポイントで投資ができる点、人気がある投資信託に投資が可能な点などで話題になりました。
LINE証券はつみたてNISAの取り扱いを開始した理由について、「投資未経験者の方もはじめやすい『つみたてNISA』をLINE証券のユーザーにご用意することで、今まで以上に一人ひとりのニーズにあった投資機会の提供をいたします」と説明しています。
参考:LINE「LINE証券、『つみたてNISA』の提供を開始」
LINE証券でつみたてNISAを始めると、積み立てに伴う引き落とし予定などがLINEの通知で届き、便利です。
つみたてNISAとは?
そもそも「つみたてNISA」とは、どのような制度なのでしょうか。つみたてNISAの概要は以下の通りです。
利用可能な人 | 口座開設年の1月1日現在で日本在住の成人 |
---|---|
投資対象 | 投資信託(長期積立や分散投資に向いた一定の投資信託に限る) |
税制優遇 | 投資信託の運用で得られる分配金や譲渡益 |
非課税投資枠 | 最大800万円(毎年の上限額は40万円) |
非課税期間 | 最長で20年間 |
ちなみにNISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、このうち大人向けのものが「一般NISA」と「つみたてNISA」ですが、一般NISAとつみたてNISAはどちらか一方しか利用することができません。
一般NISAのほうが短期的に大きな金額を投資できますが、長期で少額を積み立てるほうがリスクを軽減しやすいため、つみたてNISAは堅実に資産運用したい投資家に選ばれています。
「年単位」にはなりますが、利用するNISAを途中で一般NISAからつみたてNISAに、もしくはつみたてNISAから一般NISAに変更することも可能です。
つみたてNISAの3つの特徴
次に、つみたてNISAについて詳しく解説します。主な特徴は以下の3つです。
(1)利益が非課税になる
ここまでの説明でも触れた通り、つみたてNISAでは保有している投資信託の「分配金」や「譲渡益」に対して税金がかかりません。
通常、投資信託の分配金と譲渡益には20.315%の税金がかかります。内訳は、所得税が15%、復興特別所得税が0.315%(2037年まで)、住民税が5%です。つみたてNISAでは、この20.315%の税金がかからないわけです。
分配金とは、投資信託を保有している投資家に対し、決算ごとに分配するお金のことです(分配金が出ない投資信託もあります)。譲渡益とは、投資信託の売却によって発生する利益のことです。
(2)基準をクリアした投資信託のみが対象
投資信託はプロに運用を任せるタイプの金融商品で、数多くの商品が存在します。しかし、つみたてNISAではどんな投資信託でも保有できるわけではありません。
具体的には、国があらかじめ設定した基準をクリアした投資信託のみが、つみたてNISAの投資対象となります。リスクが高めの投資信託を対象としないことで、投資する側が大きな損失を被るのを防ぐ狙いがあります。
ちなみに、2022年4月26日時点でつみたてNISAの対象となっている投資信託(ETFを含む)は213本です。
参考:金融庁「つみたてNISAの対象商品」
(3)「販売手数料」が無料、「信託報酬」も安め
つみたてNISAにおける投資対象の投資信託は、すべて「買付手数料」が0円となっています。ちなみに、販売手数料が0円の投資信託は「ノーロード投資信託」とも呼ばれます。
ただし、投資信託の手数料は買付手数料だけではありません。例えば、「信託報酬」は、投資信託を保有中に差し引かれる運用管理費用のことです。しかし、つみたてNISAで投資対象となっている投資信託は、信託報酬が低い投資信託のみが選ばれています。
また、投資信託の中でも「上場投資信託(ETF)」に分類される場合は、一般的に「売買委託手数料」も別途発生します。
LINE証券でつみたてNISAを利用する4つのメリット
次に、LINE証券でつみたてNISAを利用するメリットには以下の通りです。
(1)LINEアプリから申し込み&取引ができる
(2)LINEポイントで投資信託を購入できる
(3)信託報酬が0円の銘柄の取り扱いがある
(4)毎月1,000円から積み立てできる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
(1)LINEアプリから申し込み&取引ができる
LINE証券はすでにLINEを利用している人にとっては、使い勝手が良い証券会社です。LINEから直接証券ページに移動でき、そのページから簡単につみたてNISAの申し込みや取引ができるからです。
LINEから証券ページに移動するには、LINEアプリを起動した後ホーム画面から「ウォレット」をタップし、開く画面で「証券」ボタンをタップします(LINEのバージョンやOSによって操作が異なる場合があります)。
証券ページを開いて「メニュー」をタップし、サービスの中から「つみたてNISA」を開くと、つみたてNISAの口座開設を申し込めます。
(2)LINEポイントで投資信託を購入できる
LINE証券のつみたてNISAでは、貯まっているLINEポイントで投資信託を購入することもできます。貯まっているポイントは、「1ポイント=1円」として使えます。
LINEポイントを貯める方法は以下の4つがあります。
・LINEポイントクラブで展開されるミッションをクリアして貯める
・LINE PLACEやLINEショッピング、lacoreなどのLINEサービスを利用して貯める
・LINE PayのQRコード支払いで貯める
・店頭キャンペーンで貯める
LINEポイントが貯まっていて使い道に迷っている場合は、LINE証券のつみたてNISAで利用してはいかがでしょうか。
(3)信託報酬が0円の銘柄の取り扱いがある
つみたてNISAで投資対象となっている投資信託は、信託報酬が安く設定されています。その中には信託報酬が0円の投資信託もあり、LINE証券でも取り扱いがあります。
具体的に、LINE証券では信託報酬が無料の「野村スリーゼロ先進国株式投信」という投資信託を扱っています。この投資信託は、日本以外の先進国の株式に幅広く分散投資をすることが可能な投資信託で、2022年3月末時点の過去1年のリターンは25.75%となっています。
(4)毎月1,000円から積み立てられる
LINE証券のつみたてNISAでは、毎月1,000円からの少額で投資信託を積み立てられます。1,000円といえば、ランチなどの外食を月に数回ほど節約すれば貯まる金額です。
つみたてNISAの取り扱いがある金融機関の中には最低積立金額が1万円のところもあります。そのため、1,000円という少額から気軽に積立投資を始めることができるのが、LINE証券のつみたてNISAのメリットといえます。
ちなみに積立金額はいつでも変更することができるので、最初は1,000円の積立からスタートし、途中で金額を増やしていくことも可能です。
LINE証券の3つのデメリット
次に、LINE証券のデメリットは以下の3つです。
(1)取り扱っている投資信託の銘柄数が少ない
(2)積立金額を毎月1,000円以下に設定することができない
(3)引き落とし方法が少ない
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
(1)取り扱っている投資信託の銘柄数が少ない
つみたてNISAのサービスを提供している金融機関によって、取り扱いがある投資信託の本数・種類には違いがあります。
LINE証券では2022年4月時点で9本の投資信託の取り扱いがありますが、ネット証券の中には100本以上の取り扱いがあるところもあります。
ただし、取り扱いがある投資信託が多いことが一概に良いとはいえません。対象が多ければ多いほど、選ぶ際に迷ってしまうからです。LINE証券の取り扱い本数は少ないですが、逆に考えれば「厳選している」ともいえます。
特に投資の初心者はどの投資信託を選べばよいか判断しにくいため、LINE証券のつみたてNISAは投資の初心者向きであるといえます。
(2)積立金額を毎月1,000円以下に設定することができない
つみたてNISAを取り扱っている金融機関には銀行や証券会社などがあり、LINE証券の月1,000円という最低積立金額は銀行と比較した場合は最低水準といえます。
しかし証券会社、特にネット証券の中では、目立って最低積立金額が低いわけではありません。他のネット証券では最低積立金額が月100円のところもあります。
ただし、毎月100円の積立だと、保有している投資信託から得られる運用益も少額にとどまります。そのため資産運用で一定程度以上のリターンを求め、最低でも毎月数千円を積み立てるのであれば、最低積立金額が100円でも1,000円でも大差はありません。
(3)引き落とし方法が少ない
つみたてNISAで投資信託を毎月購入していく場合、購入代金がその都度引き落とされていくことになります。LINE証券の場合、引き落とし方法は以下の2種類です。
・LINE Pay残高からの引き落とし
・LINE Payに登録している銀行口座からの引き落とし(デビット支払い)
引き落とし方法が2種類というのは、他の金融機関と比べて少なめです。他の金融機関では証券口座の残高からの積立や、クレジットカード決済で自動積立が可能なところもあります。
ただし、LINE証券のつみたてNISAで引き落とし設定をする際には、LINEポイントの利用を優先する設定にすることも可能です。
LINE証券でつみたてNISAを始める手順
ここからは、LINE証券でつみたてNISAを始める手順について説明します。具体的には、以下の7ステップとなります。
【STEP1】総合証券口座の開設申込画面にアクセスする
【STEP2】個人情報の入力を行う
【STEP3】携帯電話番号の認証を行う
【STEP4】本人確認書類を提出する
【STEP5】暗証番号を設定する
【STEP6】審査が完了し、総合証券口座が開設される
【STEP7】つみたてNISA口座を開設する
それぞれの手順について、詳しく解説します。
【STEP1】総合証券口座の開設申込画面にアクセスする
総合証券口座を開設するためには、パソコンのブラウザでLINE証券の公式サイトを開くか、LINEアプリから証券ページに移動します。
「メニュー」などから「口座開設の流れ」を開くと、無料で口座開設の申し込みができるページへのリンクを見つけることができます。
【STEP2】個人情報の入力を行う
総合証券口座の申し込みは、まず個人情報の入力からスタートします。氏名や生年月日、性別などを画面の案内に従って入力します。
後で提出する本人確認書類と内容に違いがあると、口座開設を完了することができないので、正確な個人情報を入力しましょう。
【STEP3】携帯電話番号の認証を行う
個人情報の入力を終えた後は、携帯電話番号の入力・認証を行います。画面上で自分の携帯電話番号を入力すると、6桁の認証番号がSMSで携帯電話に届きます。
SMSが届かない場合は3回まで再送信を行うことができ、3回試しても届かない場合は電話で認証を行います。
【STEP4】本人確認書類を提出する
口座開設の申し込みを完了するためには、「本人確認書類」を提出・登録する必要があります。本人確認書類は書類によって1点でよい場合と2点必要になる場合があります。
必要とされる本人確認書類ならびに本人確認書類の組み合わせは、以下の通りです。
・マイナンバー通知カード+運転免許証
・マイナンバー個人番号カード
・マイナンバー入りの住民票の写し+運転免許証
・マイナンバー入りの住民票の写し+健康保険証
本人確認書類の提出・登録とともに、別途「本人確認」も必要になります。マイナンバー個人番号カードと運転免許証を持っていない場合は郵送ハガキで本人確認を行いますが、それらを持っている場合はスマートフォンのカメラを使って、オンラインで本人確認が可能です。
オンラインで本人確認を終えた場合、口座開設完了までに必要な日数が郵送ハガキによる本人確認の場合よりも少なくなります。
【STEP5】暗証番号を設定する
次に、暗証番号の入力・設定を行います。設定する暗証番号は数字6桁で、他人に見破られやすい「誕生年と月の組み合わせ」や「単純な番号の組み合わせ」などは避けましょう。
【STEP6】審査が完了し、総合証券口座が開設される
STEP1〜5をすべて終えると、総合証券口座の開設申し込み手続きが完了します。その後、LINE証券で審査が行われ、無事審査を通過すると総合証券口座が開設されます。
口座が開設された後は、取引開始の手続きを行います。その際、簡単なアンケートに回答する必要があります。
【STEP7】つみたてNISA口座を開設する
総合証券口座を開設すると、株式の現物取引や信用取引、IPO(新規公開株)の申し込みなどができるようになりますが、この時点ではまだ、つみたてNISAを利用できません。つみたてNISAを利用するためには、LINE証券内で別途「つみたてNISA口座」を開設する必要があります。
証券ページのトップページからつみたてNISAのサービスページを開くと、つみたてNISA口座の開設申し込みができます。申し込みの際には、つみたてNISAの利用規約に同意する必要があり、口座開設の完了には税務署の審査が必要になるため、口座開設完了まで約2週間かかります。
つみたてNISA口座の開設を無事終えたら、購入する投資信託の選択や毎月の積立額の設定などを行うと、つみたてNISAを使った投資を始めることができます。
LINE証券のおすすめ投資信託は?初心者向けの銘柄3選
LINE証券のつみたてNISAでは、厳選した投資信託の中から購入する投資信託を選びます。その中でも、初心者におすすめの分散投資ができる投資信託を3つ紹介します。
(1)eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
(2)野村スリーゼロ先進国株式投信
(3)eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
それぞれの投資信託について、詳しく解説します。
(1)eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
銘柄名 | eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) |
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純資産額 | 1,426億3,300万円 |
基準価額 | 1万3,591円 |
トータルリターン(3年) | 26.21% |
信託報酬 | 0.154% |
主な特徴 | ・8資産に12.5%ずつ均等に投資 ・8資産は「国内株」「先進国株」「新興国株」「国内債券」「先進国債券」「新興国債券」「国内リート」「先進国リート」 ・株式以外にも間接投資が可能 |
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は、8つの資産で均等に運用を行う投資信託です。株式だけではなく、債券やREIT(不動産投資信託)もポートフォリオに含まれているため、複数の資産に分散投資を行うことで、リスクの分散化が行われています。
(2)野村スリーゼロ先進国株式投信
銘柄名 | 野村スリーゼロ先進国株式投信 |
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純資産額 | 35億2,600万円 |
基準価額 | 1万9,177 円 |
トータルリターン(1年) | 25.75% |
信託報酬 | 0円 |
主な特徴 | ・信託報酬が0円 ・日本を除く先進国株式(主に米国株)で分散投資 ・NISA専用に設計された投資信託で、LINE証券と野村證券でのみ取り扱っている。 |
「野村スリーゼロ先進国株式投信」は、つみたてNISA専用に設計された投資信託です。LINE証券と野村證券でのみ取り扱っています。日本を除く先進国の株式に広く分散投資ができ、何より信託報酬が0円であることが特徴です。
具体的な運用銘柄としては、アメリカの大手IT企業の「GAFAM」、つまりGoogle(Alphabet)、Amazon、Meta(旧Faebook)、Apple、Microsoftなどが挙げられます。
(3)eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
銘柄名 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) |
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純資産額 | 1兆1,745億8,000万円 |
基準価額 | 1万9,167円 |
トータルリターン(3年) | 87.74% |
信託報酬 | 0.0968% |
主な特徴 | ・S&P500の値動きに連動する ・純資産額が大きい |
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、アメリカの主要な株価指数「S&P500」の値動きに連動する投資成果を目指して運用している投資信託です。S&P500は数十年単位で右肩上がりになっているので、今後も安定的なリターンが期待されています。
LINE証券で一般NISAは利用できる?
NISAには「つみたてNISA」の他に「一般NISA」と「ジュニアNISA」があります。これらのNISAは、LINE証券で利用できるのか確認していきましょう。
一般NISA・ジュニアNISAは利用できない
結論から言えば、LINE証券では一般NISAとジュニアNISAは利用できません。今後対応する可能性はありますが、2022年4月時点ではつみたてNISAのみに対応しています。
ちなみに一般NISAもつみたてNISAも運用益が非課税となる点は同じですが、非課税期間は一般NISAが最長5年、つみたてNISAが最長20年、非課税融資枠は一般NISAが最大600万円(年間120万円)、つみたてNISAが最大800万円(年間40万円)、といった違いがあります。
iDeCoとの併用は可能
LINE証券では一般NISAとジュニアNISAは利用できませんが、NISAと同様に税制優遇が魅力の「iDeCo」(イデコ)は利用できます。iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、掛金を運用していくことで、老後に公的年金にプラスして給付を受けることができます。
つみたてNISAとiDeCoは併用が可能であり、両方を利用することで両制度の税制優遇の恩恵を最大限に享受することができます。
ただし、つみたてNISAでは、いつでも投資信託を売却して現金化できますが、iDeCoでは特別なケースを除いて、60歳まで運用資産を現金に換えて受け取ることができません。iDeCoを併用する際には、こうしたデメリットもよく確認しておきしましょう。
将来のためにつみたてNISAを始めてみよう
つみたてNISAは、長期投資に適しており、投資初心者でも資産を増やしやすい制度です。投資は資産運用の期間が長くなるほどリスクを抑えやすくなるので、資産が減る可能性を最小限に下げてくれます。もし将来のための資産を増やしたいなら、この機会にLINE証券でつみたてNISAを始めてみてはいかがでしょうか。