米国株投資、知らないともったいない「円貨決済」と「外貨決済」
(画像=OranTantapakul/stock.adobe.com)

2022年2月頃からの急激な円安によって、最近では米国株が注目されています。しかし、国内株とは決済方法が異なるため、取引をする前の段階でつまずいてしまう人も多いのではないでしょうか。本記事では、いま米国株が注目されている理由や、円貨決済・外貨決済の違いをわかりやすく解説します。

目次

  1. いま米国株に注目が集まっている
  2. 米国株を売買するときの決済方法は2種類
  3. 円貨決済で何度も売ると手数料がかかる
  4. 投資の幅を広げたい人には外貨決済がおすすめ


いま米国株に注目が集まっている

いま米国株が注目される理由としては、「急激な円安」と「株主への還元意識の高さ」が挙げられます。

2022年から始まった急激な円安によって、昨今では外貨建て資産の価値が上がりました。例えば、1ドル=100円のときにある米国株を100株購入し、1ドル=150円の時点で売却すると、その銘柄が成長していなくても5,000円(100株×50円)のリターンを得られる仕組みです(※)。

(※)株価変動や手数料などを含まない場合

また、米国企業は株主への還元意識が高いのが特徴です。配当金を毎年増やしている「連続増配」銘柄も多くあります。さらに米国株は日本株よりも配当頻度も多いため、一つの銘柄を長期で運用する投資家から注目されています。

米国株を売買するときの決済方法は2種類

米国株を売買するときの決済方法は、「円貨決済」と「外貨決済」に分けられます。それぞれどのような仕組みなのか、分かりやすく解説しましょう。

円貨決済とは?

円貨決済は、証券口座の日本円を使って米国株を売買する方法です。本来、米国株はドルによって取引される金融商品ですが、円貨決済ではドルへの両替えが必要ありません。

<円貨決済の特徴>
・日本円資金でそのまま米国株を購入できる
・売却時の両替えも自動で行われる
・取引の度に為替手数料がかかる

円貨決済は簡単にいえば、手元にドルがなくても米国株を取引できる方法で、スピーディーな取引をしたい人に向いています。米国株を売却する際にも、ドルから円への両替えが自動で行われるため、国内株と同じ感覚で取引できるでしょう。

なお、証券会社によって円貨決済の仕組みは異なり、証券口座のドル資金が優先的に使われる場合もあります。為替手数料にも違いがあるので、円貨決済を利用する前には各社のサービスを比較しておきましょう。

外貨決済とは?

外貨決済とは、証券口座の日本円を自分で外貨に換えてから取引をする方法です。米国株を購入するときにはドルを使い、売却時の損益もドルベースで計算されます。

<外貨決済の特徴>
・米国株を買う前に両替えをする
・売却時の損益もドルベースで計算される
・両替えするときに為替差益を狙いやすい

外貨決済では米国株を買うとき・売った後の2回に分けて、ドルへの両替えを行う必要があります。そのため、レートの動向によっては為替差益を狙ったり、円貨決済より手数料を抑えたりすることもできます。

証券会社によっては、外貨建てMMFやETF、外国債券なども対象になるので、外貨決済を選ぶと投資の幅が広がる場合もあります。

円貨決済で何度も売ると手数料がかかる

円貨決済は便利なサービスですが、さまざまな銘柄を取引する場合は手数料がかさむこともあります。どのようなケースが該当するのか、以下では分かりやすい例を紹介しましょう。

<円貨決済で手数料がかさむ例>

1回の両替えで、為替手数料が1ドルあたり25銭かかり、1株=100ドルの米国株Aを300株購入する場合は、以下の為替手数料がかかる。

米国株の購入資金×25銭=購入時の為替手数料
1株100ドル×300株×25銭=7,500円


この銘柄が1株=150ドルになったときに売却すると、以下の為替手数料も発生する。

米国株の売却額×25銭=購入時の為替手数料
1株150ドル×300株×25銭=11,250円


このリターンを使って米国株Bや米国株Cを取引する場合は、購入・売却の度に為替手数料がさらにかかる。

円貨決済では、上記例のように取引をする度に手数料がかかります。そのため、リターンを米国株に再投資する場合は、外貨決済のほうがコストを抑えやすいでしょう。

ただし、どちらの決済方法にもメリット・デメリットがあるので、自分の投資スタイルに合ったほうを選ぶ必要があります。

<円貨決済と外貨決済のメリット・デメリット>

メリットデメリット
円貨決済・両替えをする必要がない
・スピーディーに取引できる
・為替手数料がかさみやすい
・取引のタイミングでしか為替差益を狙えない
外貨決済・為替手数料を抑えられる
・為替差益を狙いやすい
・両替えの手間がかかる
・資金管理が複雑になる

上記を参考にしながら、余計なコストを抑えやすいプランを考えてみましょう。

投資の幅を広げたい人には外貨決済がおすすめ

さまざまな米国株を取引する場合、外貨決済のほうが有利になります。ただし、為替レートによっては損をすることもあるので、きちんと仕組みを理解した上で取引を始めてください。